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スピッツ / 惑星のかけら (1992)

スピッツの3作目。
前作にあたるミニ・アルバムがオーケストラの導入がテーマだった反動もあり、ヘヴィなギターをメインに据えたハードなロック・サウンドが特徴的。

率直な語り口とひねくれた言葉選びが同居した掴みどころのない詞と、バンド・サウンドに埋もれてしまいそうなのに、むしろ哀愁とともに際立ってくる透徹した歌声は実にスピッツらしい。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのデビュー作に倣ったような写真も入った本作は、時代的にグランジも掠めながら懐かしのハード・ロックを楽しげに鳴らし、セカンド・アルバムで顕著だったライドっぽさや、ティーンエイジ・ファンクラブあたりのキャッチーさ、さらには日本の歌謡曲っぽさもあり、それらを強引に1枚のアルバムに詰め込むところもまたスピッツらしい。

本作もまた売れなかったため、この後バンドは最初の転換期を迎えることになる。





ポップ・ソング・メイカーとしてのスピッツが開花する前、自分好みのメロディに好き勝手に言葉を載せて好きなような音を鳴らしていた時期の最後のアルバム。

本作の大半を覆う投げやりなハード・ロック感は、良くも悪くも必要性よりも趣味性に傾いている印象で、正直に言うと僕好みの音ではないけど、それでもマサムネさんの可愛げと毒気が随所に感じられる。

本作の中でも白眉はシングルにもなった9曲目「日なたの窓に憧れて」。これはブレイク後と比べても見劣りしない、初期の名曲。
背景に流れ続けるシークエンスと、ブリッジからコーラスまでの流れが気持ちいい。
次の「ローランダー、空へ」もクイーン風の壮大さと、内省的な雰囲気を併せ持った良曲。

デビュー作から5年半で7枚ものアルバムを量産しているスピッツは、本作から4年連続で9月にアルバムをリリースしていくことになる。




7月最後の週末か。
明日からの1週間を踏ん張れば、いよいよ夏休みが近づいてくる・・・!

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