@TheDeFiEdgeさんによるトケノミクスの基礎(翻訳記事)
NFTmeijinのナオトです。様々なNFTを分析することを趣味として生活しています。今回は@TheDeFiEdgeさんが、トケノミクスについて非常にわかりやすいツイートをしてくださったので翻訳させていただきました。
翻訳に関しては本人よりDMで許諾をいただいております。
以下、元ツイートと翻訳
もしもトケノミクスのことを理解していないのであれば、これからの将来、困ったことになるかもしれません。
トケノミクスってなんでしょう?そして、どこに気をつけたらいいのでしょうか?
このスレッドではトケノミクスについて知っておくべきことをまとめます。
今日説明することは:
・トケノミクスとはなにか?
・需要、供給、報酬を通じた評価
・トケノミクスの例
・トケノミクスのチェックリスト
です。これを読んでレベルアップしよう
まずトケノミクスとは何でしょうか?
トケノミクスでは、トークンの需要をコントロールする要素について学びます。
具体的には次のものを含みます。
・数学
・需要と供給
・インセンティブ
・価値の創造
・人間の行動とゲーム理論
トケノミクス=トークン+エコノミクス
これまでいくつかの最悪の投資をしてしまったのは、私がトケノミクスについて理解していなかったのが理由です。
・トークンには十分な機能がなく、インフレ化していた
・VCやクジラによるトークンの集中により、一般購入者が売ることにつながった
トケノミクスについて学ぶことで暗号資産投資に役立つでしょう。
トケノミクスを学ぶ一番簡単な方法は、需要と供給を理解することです。
BAYCは1万トークンあり、フロア価格は111ETHです。
もしも、2万トークンと供給が倍になればどうなるでしょう?
供給が増えているので、価格は下がります。
希少であることは良いことです。
米ドルについて話しましょう。
アメリカ政府は2020年に米ドルを40%印刷(訳注:おそらく増刷のことと思われる)しました。その結果
・市場に資金があふれた
・不動産の供給量は同じ(むしろCOVIDの影響により建てることができなかった)
その結果、不動産価格はアメリカ政府がコントロールできないレベルになった
次に、トケノミクスの供給側の話です。
ここで注目すべきことは:
・どれくらいのトークン量があるか
・将来的にどれくらいのトークン量になるか
・供給するのは誰か?供給している人はいつ売ることができるか?(訳注:ロックアップのことを意味していると思われます)
・供給量は時間に応じてどのように変化するか?
・将来的な変更に対してどのようなポリシーか?
どうやって新人さんが騙されるかの例
ミームコインが$.000000002になっているを見て、いつか1ドルになったら大金持ちになれると考える。
時価総額を理解していればそんなことはありえないとわかるよね。
1ドルになるというのは、そのコインが、世界中の全マネー供給量よりも多くなるということだから。
みんなが知っておくべき供給の指標
・Supply:現時点でどのくらいのトークン量があるか
・Max supply:最大でどれくらいのトークン量になりうるか
・Market cap:現在価格 x 現在供給量
・Fully Diluted MC:価格 x 最大供給量
どうしてこれらの指標が重要なのか?
それはこの指標は、将来的な供給量と希少性を理解するのに役立つからです。
例えば、もし現在供給量がたったの40%しかなかったら、あんまり良い気はしないでしょう。
だってそれは将来供給量が60%も増えることを意味するからです。
将来コインの供給量が増えるということは、価格が押し下げられる傾向にあるということです。
1つ目の例はビットコインです。
現在、ビットコインの最大供給量は2100万しかなく、それ以上にビットコインが増えることはありません。
・ビットコインの供給量は限定されており
・需要は増えつつあるため
・価格は自然と上昇します
これがビットコインが金と比較される理由です。
ビットコインの半減期についても話しましょう
トークンの供給量に加えて、コインの放出レートも考慮しなければいけません。
どのようなペースでトークンは増えていくのでしょうか?
ビットコインマイナーは新しいビットコインを採掘しますが、放出レートは下がっています。
半減期ごとに、報酬となる排出量も半分になります。
2つ目の例は、インフレトークンとして名高いドージコインです。
ドージコインの供給量は毎年増加し、供給量に上限はありません。
これは希少性と真逆の動きをしているので、トケノミクスとしてはよくありません。
(メモ:このように悪いトケノミクスの設計ではあるものの、去年ドージコインの価格はまだ上昇しています)
3つ目の例は、デフレーショントークンです。
供給量が減少する場合、そのコインはデフレ化していきます。
基本的な考え方としては、トークンの買い戻しを行い、バーンするということです。
コインをバーンするとは、そのコインが完全になくなるという意味です。
理論的には、供給量を減らすことにより1つあたりのトークンの価値は上がるはずです。
例えば、バーバリーは自分のバッグをバーンしています。
バーバリーは高額なバッグを製造しており、限定性がブランド戦略の一つとなっています。
バーバリーは、自分のバッグを定価以下で売るのではなく、むしろ自分たちのバッグをバーンしています。
これによりバーバリーのバッグはより「限定的」になっていきます。
現実世界でのバーンの一例です。
イーサリアムはウルトラサウンドマネーになりうるか?(訳注:ウルトラサウンドマネーとは、ビットコインがサウンドマネー(金のように供給量が限定されているお金のこと)であるのに対し、それ以上であるということを表現するために利用されている表現)
・PoSを取り込むことで、ETHの供給量増加を抑えることができる
・EIP-1559によりトランザクションフィーを得て、それをバーンさせることができる
この2つのコンビネーションとさらなる需要の増加により、イーサリアムはデフレ化していくかもしれない。
初期の配分と配布
どうやって初期のトークンは配分されるのでしょうか?大まかに分けて2つの方法があります。
Pre Mined:
1)まず開発チームが自分たちにトークンを配分する
2)開発チームとVC投資家のような関係者に配布する
Fair Launch:
100%公平に配分する
これがなぜ重要なのでしょうか?
VC投資家や関係者は彼らの所有するトークンをすぐに売ることができるからです。そしてこれは価格崩壊を引き起こしかねません。
Vestingとは、VC投資家や関係者がトークンをいつ売ることができるか、です。
初期の支援者が長期的にインセンティブを得られるようになるべきというのは理解の得られるところだと思います。
VC投資家は悪魔ではありませんし、私は内部関係者が悪者だと言いたいわけでもありません。
VC投資家や内部関係者がアドバイスしたり、人脈をつなげることにより創業メンバーは価値を得ることができます。
もちろん全てのVC投資家が平等であるというわけではありません。
なかには投資で価値を創造したいという人もいるでしょうし、単にすばやくリターンを得たいと考える人もいるでしょう。
当然開発チームもトークンを売ることができます。
1)莫大な利益は?トークンを売ることで得ることができます
2)資金調達のために売ることもあります。忘れがちですが、給料や経費は通貨を売ることで支払われます。
開発チームがトークンを売ることは、価格に下落圧力をかけることに繋がります。
もう一つの重要な要素は「需要」です。
需要とは、人々に買いたいと思わせる要素であり、彼らが払いたいと思う価格のことです。
インフレ状態にも関わらず、米ドルはその実用性から高い需要があります。
世界は(少なくとも今は)米ドルで回っています。
ではトークンの場合の需要はどういう仕組みで動いているのでしょうか?
大まかに分けて3つの要素があると思っています。
・実用性
・価値の創造
・ミームとストーリー
実用性 ー ガスコスト
ガスはネットワークを利用するときの支払いです。
・OpenseaでNFTを買いたい?その場合はETHをガス代として支払うことになるでしょう。
・@fantomfoundationのようなサービスにアクセスしたい?だとすればFTMが必要ですね。
Dappが人気になればなるほど、より需要は大きくなるでしょう
実用性 ー エンタメ
GameFiは信じられないポテンシャルを秘めています。ただし、ゲームが本当の意味でエンタメ性を持つ必要がありますが。
GTAやFortniteがどれだけ大きなお金を動かしていることか・・・
illuviumのようなビッグタイトルには非常に期待していますし、こういったタイトルは一般にも普及していくでしょう。
P.S.仮想通貨を利用したMOBAs(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)はないの?
実用性 ー 採用
仮想通貨は少しずつ現実世界で利用されており、これからも需要を拡大するでしょう。
・テスラがインフレヘッジのためにビットコインをBSに取り込んだ時、ビットコインは急騰しました
・AMCがドージコイン支払いを採用した時も価格が急騰しました
・テラは$USTの採用を推し進めています。
価値の創造
プロトコルはケツを蹴っている。
プロトコルは紙幣を印刷している。
しかし、投資家はその恩恵にあずかることはできません。
UniswapやCompoundのようなDeFi 1.0の巨人たちのケースでこれを目撃しています。
人々は価値を欲しており、ガバナンストークンが欲しいわけではありません。
価値の創造 ー xStaking
昨年はxTokensが目覚ましい活躍を遂げました。
トークンをステーキングすることで、プラットフォームの報酬として一桁%を得ることができます。
• xSushi @SushiSwap
• fBeets @beethoven_x
• sSpell @MIM_Spell
これはトークンにより大きな価値を与えます。
価値の創造 ー ガバナンス
DeFi 1.0では、多くのプロトコルがガバナンス以外の機能を持たないトークンを生み出しました。
人々は利回りを稼ぎ、そしてトークンを売ります。
SushiSwapが立ち上げ時にUniswapから多くのユーザーを奪い取ったのはこの方法でした。
傭兵を阻止する
人々はDeFiにおいて傭兵になり得ます。
ファームにおける利回りは徐々に下がるため、より高い利回りのファームに移ろうとするでしょう。
しかし、ファームでは流動性を必要としています。
では、高い利回りを追いかけさせずに、人々にトークンを保持させ続けるためにはどのようなインセンティブを設計すれば良いでしょうか?
長期間ホールドさせるためのインセンティブ
昨年は長期でホールドさせるための新しいイノベーションが多く誕生した。
この仕組を利用することで、トークンの売り圧力を下げることができる。
いくつか例を見てみましょう
最近のメインとなる方法はロッキングです。
どうやって売り圧力を止めるのでしょうか?
(ときには数年スケールで)彼らのトークンをロックするようお願いするのです。
キーポイントは人々がロッキングしたくなるようなインセンティブを理解することです。
1)ロッキングすることにはリスクがある
2)流動性の機会費用
ホールド ー veTokens
Curveが披露したveTokensは驚くべきイノベーションです。
Ve=投票エスクロー(訳注:エスクローとは、仲介者のこと)
・トークンをロックアップすることで、投票パワーを得ることができます
・より長い期間ロックアップするほど、投票パワーは上がっていきます(最大で4年)
誰が投票パワーなんて気にするのか、って思いますよね?
ステーブルコインはDeFiの根幹となっており、プロトコルはステーブルコインの流動性や採用をより大きくするために戦争をしています。
毎週、Curveはどのプールが最も報酬を得られるかの投票をしています。
そして、このプロトコルの中には、自分たちに投票するようにワイロを送るものもあります。
ホールド ー ファームの強化
@traderjoe_xyz, @beethoven_x, @spirit_swapのようなAMM(自動マーケットメーカー)はこのモデルを採用しています。
トークンをロックアップすることで、プールに対する投票権を得ることができます。
プロトコルは自分たちの利益のためにガバナンス力を得る戦争をしています。
ホールド ー アンステーキングで失うもの
Platypus Financeは、Veに対して最も面白い仕組みを導入しました。
・$PTPをステーキングすることで、$vePTPを得ることができます。これはステーブルコインの利回りを高くすることができます。
・$vePTPをアンステーキングするとどうなるでしょう?所持しているすべての$vePTPを失います。
そうなると売るのは簡単ではなくなります
ホールド ー リベース
olympusdaoはリベースの概念を披露しました。実はこの概念は他のプロトコルには蔑まれていました。
リベースはゲーミフィケーションの一種です。
見かけ上、50000%の利回りを得ることができますが、実際にはトークンを利用して支払われます。両者の時価総額における割合は同じです。
ホールド ー 報酬と抽選
DeFiKingdomsはステーキングすることによりレベニューシェアを獲得できるようにしています。
ほかにも
・xJewel やxCrystalをステーキングすることでエアドロップの抽選券となります。ここには(非常に価値のある)Gen0のヒーローも含まれます
・ステーキングすればするほど、抽選券を数多く得ることができます
ホールド ー アンロック・ロックレート
Defikingdomsがその代表となるゲームです。
どうやってゲーム内トークンを売るのを阻止しているでしょうか。
彼らは自動的に一部をロックしています。
Crystalvaleというローンチしたばかりのゲームでは、4000%の利回りを得ることができますが、もしも今すぐクレームする場合、95%トークンが一年間ロックされます。
ではいまから一年後には全てが売りに出されるのでしょうか?
そうではありません
・アンロックされるときに一度に全てがアンロックされるというわけではありません。徐々にアンロックされることが予定されています
・一年の間にPVEやPVPなどの機能を追加していきます
開発チームは一年後にはより完成度の高いゲームになっていると考えています。
ミームとストーリー
人間の欲望は不思議です。
Salt Baeの黄金ステーキに20万円を支払う人のYoutubeも見ました。
仮想通貨はおそろしいトケノミクスであるにも関わらず、値上がりすることがあります。
ときにミームやストーリー性、マーケティングによって大きく値上がりすることがあります。
ドージコインの奇妙なお話
昨年ドージコインは信じられないほど値上がりしました。
世界で最も資産を持つイーロン・マスクがドージコインに異常な執着を見せていました。
そして、サタデーナイトライブという番組への出演でピークに達しました。
人々はイーロン・マスクがドージコインを上げ続けることを期待して購入しました。
人々は「お金を生む」と思うものを買います。
オタクの帽子を脱いで、人間の帽子をかぶりましょう。
素晴らしいトケノミクスを持つプロトコルはありますが、その価格はゴミのようなものだったりします。
それはもしかすると「物語」のせいかもしれません。人々はピカピカしたものを追い続けるのです。
悪いトケノミクスの一例:PancakeSwap
PancakeSwapは一年前に最高価格をつけたあと、下降トレンドにあります。
1)インフレトークンであること(需要面)
2)トークンに機能が全く無いこと(供給面)
この理由で、PancakeはCakeを印刷しますが、ユーザーはすぐにそれを売る状況となっています。
トケノミクスの再構成
プロトコルがトケノミクスを見直すことを非常に魅力的に感じています。
Trader Joeが最初にローンチしたとき基礎的なトケノミクス構造を持っていました。
彼らは第一四半期にそのモデルを再構成しました。
以前はstake JOEで、一桁%の報酬を得ることができました。
そして今ではこんな感じです
・rJOE:Launchpadにアクセスできます
・sJOE:ステーブルコインで一桁%のプラットフォーム報酬を得ることができます
・veJOE:利回りとガバナンスをブーストします(ただしアンステークしたときはPTPのように失います)
彼らはインセンティブを変化させることで需要を増加させています
これはTrader Joeの将来を逆転させたりするのでしょうか?
その他の考え:
・「経済」についてスレッドを書くことを想像してほしいのですが、非常に大きなトピックなため全てを網羅することはできません
・DeFiトケノミクスには少し飽き飽きしつつあります。創造的な手錠をつけた椅子取りゲームになりつつあるからです。
・GameFiトケノミクスは間違いなく化け物になるでしょう。
トケノミクスチェックリスト
チェックリストを作りました。
プロトコルに対して全ての項目を確認すべきです。
客観的な判断をするのに役立つでしょう。
学び:
・今後どんどん複雑になるため、基礎をマスターしておきましょう
・トケノミクスを見るときは、需要、供給、長期ホールドのインセンティブの観点から見るようにしましょう
・トケノミクスは重要ですが、それだけで終わりではありません。ストーリーや人気はトケノミクス以上に重要になることもあります
これで終わり!
1)私が書いたもので収益を得ないでね
最初のツイートにLike, RTしてください。今後、コンテンツを供給する際の長期でのインセンティブになります
2)thedefiedge.comでは1.8万人以上の人が限定コンテンツを購読しています。
謝辞
何より非常にわかりやすくトケノミクスについて解説いただき、また翻訳の許可を出してくださった@The DeFi Edgeさんに感謝を申し上げます。また、本ツイートを教えていただいた@tomui_bitcoinさんにも感謝を申し上げます。読者の皆さんにとって本記事が有用なものとなればこれ以上に嬉しいことはありません。翻訳間違い等ございましたら、私のTwitterまでDMなどでご連絡いただけますと幸いです。