横断幕中耳炎
「横断幕中耳炎ですね」
「はい?」
耳の調子がおかしいと思って病院に来てみたが、こんな幻聴まで聞こえるとは。
「横断幕中耳炎です」
「幻聴じゃなかった!なんですのそれ!」
「いや、みたことないです。たった今、命名しました」
「嘘でしょ。まさかの患者第一号だし。え?なんでそんな病名を」
「いや、だって鼓膜に『頑張れ!』って書いてありますもん」
「なんでそんな冷静なんですか?」
「まあ、医者だからですかね」
「えっと、何を頑張ればいいんでしょうかね」
「それは『応援科』の先生に聞いて下さい。じゃあ次の方ー」
そこで目が覚めた。
「ご飯よー!」階下からお母さんの声。
やっぱり少し聞き取りづらくてそこは夢じゃないことにがっかりする。
それにしても、変な夢だった。
夢というのは不思議なもので、現実ではすぐにおかしいと思うこともそのまま受け入れて話が進んだりする。
本当は、私の鼓膜には
「負けるな!もう一本!」と書かれているのに。
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