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マイナ保険証問題とマイナンバー制度

地方で開業している知人の医師から、マイナ保険証のトラブルが多いため、紙の保険証も持参するように患者さんにお願いしているという話を聞いた。

クリニックで登録しても、被保険者の確認が容易にできないようだ。困った問題だが、早く改善して欲しいものだ。

そもそもこのオンライン資格確認の仕組みを導入すべきだということになったとき、これまでの保険証の形式だと、ミスや悪用が多く、それを防ぐことができない。

レストランや商店で、われわれがクレジットカードの有効性を簡単に確認できるように、保険証もそうすべきだし、当然技術的にできるはずだ、と考えたのだが、マイナンバーカードの仕組みは、もっと複雑で危ういとは想定していなかったといえようか。

確かに、これまでの紙か顔写真のついていないカードの保険証だと、その場で確認できるように思うのかもしれないが、その紙やカードの保険証の元になっている情報との関係は不明であり、信頼性が低いことが問題なのだ。

マイナンバーカードを保険証として使うという考え方は、カードの券面に名が書かれている者が真に被保険者としての資格を有しているのかどうかの確認をリアルタイムでできるようにしようというものである。

これまでは、保険証を確認して受診を認めたものの、その保険証は有効ではなく、保険者から診療報酬の請求が無効として返戻され、医療機関が負担を強いられる額が数百億円の規模に上っていた。また、保険証の使い回し、すなわち被保険者のなりすましを防ぐことが困難であった。

そこで、クレジットカードのように、ICチップで有効性の確認ができ、かつ顔写真の付いたカードの保険証に、保険証を変更する必要が生じたのだが、新たにそのようなカードを発行することは多額のコストがかかる。そこで、必要な機能をすでに有しているマイナンバーカードに保険証としての機能を載せるというアイディアが出てきたのだ。

ただし、マイナンバーカードを保険証として使用できるようにするためには、わが国の仕組みでは、マイナンバーを使って自動的に被保険者資格と紐付けできるわけではない。

マイナ保険証も含めて、マイナンバーをもっと便利に利用できるようにするためには、この仕組みを抜本的に改めることも検討すべきだろう。

今の仕組みでは、最初は、「齋藤」「斎藤」「斉藤」「齊藤」「斎籐」・・・など、類似した多様な文字がある中で、その同一性を調べて本人を特定し、それによってマイナンバーを付番ないし情報を結合しなければならない。だが、それは容易ではない。

視認でやればミスも出るし、手間暇がかかる。外字のコードが統一されていないと、機械的に判定もできない。ここにそもそも無理がある。

海外の場合も、当然のことだが、同様にスペルの揺れはあるし、言語によって表記が異なることもありうる。ほとんどの国で、そのような場合にも、同一の人物であることを確認するために使われているのが、唯一無二不変のID、すなわちマイナンバーである。

名字や名前の表記が、曖昧でいかに揺れていたとしても、番号が同一ならば、同一人物と判断できる仕組みを作っているのである。

それに対して、日本は逆であり、そもそも揺れのある曖昧な名前、それも読みがなと、複数ありうる漢字表記、より正確には住所等を加えた4情報で同一性を確認して、それから番号を導きだし、情報を結び付けようとする。

一度、繋げると後はうまく行くはずであるが、最初の段階で同一性を確認できない場合も少なくなく、しかも、それを本人が入力するのではなく、紙の申請書に書かれたものを公務員が手入力で登録するのであれば、ミスはますます起こりうる。

それでも実際に発生しているミスの確率は非常に低いのだが、それをケシカランといったのでは、どうすればよいのか。一見確認できているようで、実ははるかに危ういこれまでの方式に戻せというのか。

これは、保険証の問題だけではないので、マイナンバーを自由に使えるようにして、本人に自分の番号を入力させるようにすれば、事態は大きく改善するはずだ。

そのコストをどうするか。そもそもマイナンバーも人に知られてはいけない個人情報などという扱いにした、世界で他に例をみないようなおかしな制度を早く正す方向へ議論を展開して欲しい。

昔のファイルをみていたら、スウェーデンのマイナンバー制度について書かれた記事を見つけた。こんな国もあるのだ。

DENT-SWEDEN.COM
マイナンバーなんてヌルい!スウェーデンのパーソナルナンバーの実態
スウェーデン時事問題2018.02.212019.11.22マイナンバーなんてヌルい!スウェー