赤灯台の岬/音楽との邂逅
休日、地元にある赤灯台の岬まで友達と歩き、転がりながら音楽を聴いていた。
初秋とはいえ、まだ汗のにじむ温度の夜だった。
大きなかたまりで触れる海風が、心地よい潮の匂いをさせていた。
そういう時に出会える音楽は、大体良いものと決まっている。
私は人の影響を簡単に受ける。
自分が好きな人たちに勧められたものは、しっかり履修するし、しっかりハマる。
音楽視聴遍歴を辿ると、そのことが本当によくわかるし、その時期誰と過ごし、どんな年を過ごしてきたかをそこに見ることができる。
私はAppleMusicユーザーなので、音楽は基本それで聴いている。
AppleMusicには「REPLAY」という機能があり、何をどれだけ聴いたかのデータが残っていて、その年の自分にとってのトップソングや、視聴アーティストランキングみたいなのを算出してくれるというものがある。
私は毎年の最後に必ずこの「REPLAY」で1年を振り返る。締めくくりの儀式として。
2021年のトップソングは、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」に激ハマりしていたことで、『Presence』シリーズ(STUTS&松たか子)が上位を占めたが、他に関してはその前の年と同じ顔ぶれのアーティストが並んだ。
だけどきっと今年はがらりと変わる。
2021年はほぼ引きこもっていたから、自分の知る範囲の、好きと分かっているものだけに囲まれて終わったけど、2022年は、たくさん友達に会って吸収した、新しい音楽で満たされている。
岬で転がり、セブンイレブンで買ったバーボンテイストのハイボールを飲んでいたとき、かかっていた音楽はVaundyのnaporiという曲だった。
Vaundyは今年の残り3ヶ月で、「REPLAY」上位アーティストに登りつめる予感がしている。
こういう、思いがけず出会う音楽が、今後の生活に浸透していきそうな気配を感じる瞬間が本当に好きだ。
コーヒー好きの友達だったので、今のこの状態これやん(笑)と言われて教えてもらった曲だった。
そういうシーンも、音楽と一緒に尊い記憶として残る。
何年経ってもきっと思い出す。
長い月日が過ぎて、あの日好きになった曲やアーティストを聴かなくなるときが訪れても、ふとした頃にいつか流れたとき、思い出のシーンと共に蘇る音楽って、結構素敵ではないか?
映画も、小説も、音楽も、ずっと一人だけで追い続けて、自分の中だけで完結してきた。
だけど、
観たもの、読んだもの、聴いたものを、友達に話す。
友達が気に入ってくれる。感想をくれる。語り合う。
友達のおすすめをもらう。感想を話す。語り合う。
繋がり、どんどん増えていく。
共有するだけで何倍にも楽しみが膨らむ。
そんなことに、赤灯台のふもとでやっと気がついた。
こんなにも私は人に何かをあげたり、もらったりしたことがなかったか。
近くの遊園地で絶叫マシンに振り回されたり、23時からドライブを始めて隣の県まで渡ったり、思いつきでビアガーデンに行ってたらふく飲んだり、夜中に海まで歩いたり、そういういかにも若っぽい時間を、今は過ごしている。
その時間と、その時間の中に潜んでいたカルチャーを、人生の最後に思い出したい。
ちゃんと楽しかったってことを、覚えておきたい。
そのために、自分の中身を外に出すことを、怠けずにいなければ。
何を書きたいか分からなくなってきたので終わる。今の気持ちをもっと、確かに表現できたらいいのに。
アルコールが入った頭では無理か、やっぱコーヒーの夜でなきゃ......
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