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ねえ知ってる? 無印良品はクルマを売ったことがあるんだよ

無印良品 Muji Car 1000

無印良品でお馴染みの良品計画と日産自動車のコラボにより生まれた無印良品唯一のオリジナルカー。
K11マーチをベースにオリジナルの装備とボディカラーを纏い、muji.netにて1000限定で販売された。価格は93万円のワンプライス。

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このクルマが発売された2001年当時、多くの消費者から絶大に支持を受ける無印良品と日産が誇るベストセラーカーのマーチ、この人気ブランド同士のコラボレーションは成功を約束されていたはずだった……
しかし蓋を開けてみれば限定1000台即完売とはならず、実際に売れたのは170台程度の惨憺たる結果だった。

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不人気の要因の一つはその貧弱な装備だ。シンプルさを売りにする無印良品のコンセプトに則り、バンパーを始めとした無塗装の樹脂部品、13インチのスチールホイールに155/70R13と軽自動車並に小さいタイヤ、ビニール張りの後部座席とラゲッジルーム、内装パネルも最低限と、当時(現在でも?)の消費者にはいささかシンプル過ぎたようだ。そしてボディカラーがマーブルホワイト一色しか選べないこと、テールレンズはなぜかマイナーチェンジ前のモデルのものを流用している点などから「新車なのに中古車みたいだ」と揶揄されてしまう。

Muji Carのテールレンズ

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こちらは後期型のテール Photo by Wikipedia

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シンプルだろうが、古臭く見えようが価格が安ければそれだけでも探求力にはなり得るはず。実際、同じオートマのマーチ コレット-f(95.5万円)よりも2.5万円安いプライスタグを掲げられていたが、既にモデルチェンジ直前のK11マーチはディーラーでの値引きも旺盛で、値引きなしのワンプライスを掲げていたMuji Carとの2.5万円の価格差が逆転してしまうことも珍しくなかったという。

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ならば無印良品ブランドと限定販売のプレミアム感で売り込むこともできるはず。限定車らしくMuji Carオリジナルの意匠は随所に施されている。最も目を引くオリジナルデザインのグリルや穴あきヘッドレスト、クリーム色のメーターパネルなど。しかし、遠目にはベースとなったマーチとの差異はあまり感じることができないくらいささやかすぎる違いだ。そしてその全てが既存の日産車からの流用パーツでありプレミアム感は薄い。
あまつさえ、ノーブランドを謳う無印良品でありながらハンドルには日産のロゴが残っている。これは無印ファンには減点要素か?

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極めつけはその販売形態の杜撰さだ。ネット限定販売と謳いながらもmuji.net上で手に入るのは予約番号のみであり、実際の注文、納車、アフターサービスは日産販売店に丸投げ状態であった。ネットで手に入るのはMuji Carを買う権利だけだったようだ。

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もちろん、このクルマにだって美点はある。最低限の装備を謳いながらもリヤシートは通常のマーチにはないフルフラットにできるタイプが備え付けられ(マーチBOXからの流用)、エアバッグやABSなどの安全装備も標準搭載された。なんとドアミラーは電動格納式だ。このあたりは日用の道具としての質実さを忘れない無印良品ならではのこだわりポイントかもしれない。
さらに、予約特典として3万円相当の折りたたみ自転車もついてきた。

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ベーシックカー
装備の豪華さやスペック至上主義を掲げる現代の自動車が忘れた道具としての質実剛健さをMuji Carは19年の時を経て現代人の我々に問いかける。

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おまけ
知人のMujiCar1000を見せてもらったので、写真を貼るついでに紹介してみた。ちなみにこのクルマを見た帰り道で別個体のMujiCarに遭遇するという奇跡を起こすのだった。
そして昨日再び別個体のMujiCarに遭遇した。MujiCarに愛された男とは私のことか……。数年後には所有しているような気がして少し怖くなるnezuko_2000であった。

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