ストリートに出たけれど
演奏する場所があれば
聴いてくれる人がいたら
ミュージシャンであり 長い間 台所で
歌ったり演奏した私は
勇気を出して ドアを開けた
メロディは流れる
ある人はこっそり投げ銭をくれた
こうして人の耳に届いた
私の歌 だけど
やがて コロナに
介護や家事に仕事に
疲れ果てる 時が訪れる
私の歌はなんの役にも立たないのか?
初めて曲がりなりにも ジャズを演奏して
アドリブが自分から湧いてきた時の
喜び
心が熱くなり それが人に届く大きな喜び
それが 今 阻まれ
疲れ果てて 帰宅し ただ好きな音楽を聴きながら
まだ望みはあると
また明日があると
練習してうまく音が出ない そんな時に
また 明日があると 楽譜を閉じ
多くの時間を日常の所作に割いたとしても
やっぱり私は うたい続けると
必ず 必ず 明日はやってくると
信じて 冷たいハーモニカに
熱い息を吹き込み
そして優しい歌を歌う
また台所から出発するために