雪の女王と、呪われたゴミステーションの話
落ち込みます。
数日続いた災害級の大雪。田舎で1人暮らしの私は、自宅アパートの駐車場で、絶体絶命のピンチに陥っていた。
全8戸のアパートで、住人は現在私1人。
嫌な予感はしていたのだ。この冬の除雪がどうなるのか。
毎年駐車場上に迫り出してくる、屋根の雪とか。
私1人の為にこの田舎まで、管理会社が除雪車を出すとは到底思えなかったからだ。
予感は的中した。
私の毎日は、自分の駐車スペースの確保で精一杯。
駐車場も共用玄関も、みるみる雪に埋まっていった。
みるみるとはどのぐらいかと言うと、現在高さ150センチほどだろうか。迷路でも作ってんですか?という状況だ。
誰もいないと言うことは、車の他に、道路から共用玄関までの歩行スペースを作らねばならない。ゴミステーションも掘り出しておかねばならない。まさしくライフライン。
やらねば。やらねばえらいことになる。
その呪縛で何日苦しんだだろう。
隣の一軒家に1人で住む婆さんが、よちよちと除雪に励んでいる。
全く他人事ではない。未来の自分を見ているようだ。
そんなある日、
やっと確保してる駐車スペースに、管理会社が今にも落ちそうな屋根の雪を、どっさりと落雪させて行った。
作業日の告知もなく、車体ギリギリのところに雪の瓦礫を盛大に落として行った。
落とすだけ落として持ってはいかないの?ちょっとあんまりじゃないかな。
しかしもう、力が出ない。
流氷のような固く重たい屋根雪のブロックを、重機の力も借りず排雪するのは無理だ。
やっとやっとほじくり出してるゴミステーションにしてもそうだ。
金属ボックス上に、容赦なく雪を置いていくのはどこのブルだ。
ひどいことしないで。
私は、人に期待しないように生きている。
勝手に期待して、願ったような結果が得られず、腹を立てるほど馬鹿なことはないと思うからだ。期待するからがっかりするんだ。だから少々のことじゃ怒らない。
いずれ晴れの日がやってきて気温が上がれば、この雪も心も溶けていくだろうと、不器用なりにしょんぼりと、除雪を続けた。
そしてとうとう、車がスタックした。
もう最悪だ。
助けはいない。落ち着いて、JAF。
予定到着時刻は12時間後と言われた。ですよねー。
バスで会社に向かい、不安なまま一生懸命働き、深い雪の中を40分歩いて帰宅した。
JAFさんありがとーーー!と元気に手を降り、再び駐車場にトライした。
再スタック 馬鹿な・・
次々と降りかかる不運にもめげず、気を取り直して頑張ってきたけれど、1日に2度もJAF呼ぶバカがどこにいるかと。どれだけ下手くそなんだと。馬鹿!馬鹿!
もう、体力も限界だった。
車内で、ウワーーーと声をあげて泣いた。
その後、朝までふて寝して、JAFの人に起こされ、2度目の脱出作業。ワイヤーで後方に牽引したことで、車体の下のプラスチックカバーが損傷。やれやれまたディーラーで修理だ。今日の休みはそれがメインになってしまった。
雪かきとトラブル処理で、自分の時間が全然ないよーと落ち込んだ数日。それでも、私には神様がいると思うんだ。
振り返れば、私が頑張ってる姿・私の限界を、見ている人がいつの時代も必ずいた。そして、いつ手を差し伸べたら良いのかと悩んでる。そんな神様だ。そろそろ助けてくんないかなーと空を見上げる。
その夜のことだ。
仕事から帰ると、2メートル近い氷の山に埋められていたゴミステーションが、小さいブルで除雪されていた。
掘っても掘ってもどこかの大型ブルが埋めてゆく、呪われたゴミステーションを、だ。怒
あまりにクソな出来事が続いていたから、誰かの思いやりにハッとした。
友達じゃなくても、SNSでいいね!をし合わなくても、知らない誰かに助けられて人は生きている。
今ようやく、カフェでゆっくり。
街は排雪が進んでおらず、大渋滞だ。疲れた。
マフィンサンドうまー。だ。