児童養護施設って何?
みなさん、こんにちは!
ネクサススペースのぶっちーです😃
本日は、以前書いた記事で紹介した「児童養護施設」について、さらに詳しく説明をしていきます!
どうぞ最後までお読みください!!
児童養護施設
児童養護施設は、保護者のいない児童や虐待されている児童など、社会的な養護が必要な児童が生活する場です。2020年時点で全国に612カ所あり、24,539人の子どもたちが生活しています。
また、入所児童の平均在籍期間は5.2年ですが、10年以上の在籍期間の児童が14.6%となっています。(厚生労働省HPより)
●児童養護施設の目的
児童養護施設とは、例えば父母が死亡、行方不明になっている児童や、父母などから虐待されている児童、父母が養育を放棄している児童(ネグレクト)などを対象に、養護を行い、退所後も自立のための援助を行うことが目的の施設です。(社会的養護)
これは、児童福祉法第一条の、全ての児童が適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されることなどの権利を有するという考えに基づいています。また、国及び地方公共団体には、児童を家庭において養育することが困難である場合や適切でない場合は、必要な措置を講じる責務があります。
●児童養護施設(社会的養護)の種類
児童養護施設は現在4種類から分けられている。大きく分けると「大舎制(20名以上)」「中舎制(13~19名)」「小舎制(12名以下)」「ユニットケア・グループホーム(6名)」となります。
<大舎制>
20名以上の団体で生活することを指し、施設にもよりますが、1部屋6-7名ずつの部屋割で生活をします。食事や入浴などは基本的に共同で利用することになります。
デメリットとしては、集団生活感が強くなり、「家庭的」とは言えない、そして人数が多いために保育士の負担も大きくなってしまいます。
大きい施設では、80名の収容が条件としている施設も少なくありません。
<中舎制>
13~19名収容可能な施設で、やや規模が小さめですが、基準については大舎制と変わらない場合が多く、大舎制と同様なデメリットが感じられる可能性があります。
施設規模は小さいため、若干の経費削減にも繋がります。
<小舎制>
12名以下の施設です。かなり規模感としては小さくなります。かんたんに表すならば、大家族や一般家庭で言うところの、「二世帯住宅」のような形になります。
<ユニットケア・グループホーム>
小規模グループケア(ユニットケア)は、施設内によって 1グループ6名(職員最大2名)の小規模なグループによるケアを行います。
地域小規模児童養護施設(グループホーム)は、本体施設の支援のもと地域の民間住宅などを活用して家庭的な養護を行うことを目的としています。
近年は複数人数制の小舎~大舎は減少傾向にあり、国として ユニットケア・グループホーム を増やすように推進しており、2026年度までにユニットケアが、190箇所→300箇所/グループホームが49箇所から140箇所まで増やしていくために整備を始めています。
児童養護施設での生活
●普段の生活について
基本的にどの児童養護施設でも、朝起きてから夜寝るまで、保育士や指導員の見守りを受けながら、一般家庭と変わらない生活リズムで生活できます。
しかし、一般家庭にも増してスケジュール管理が徹底されている場合が多く、「○時からは食事」「学校から帰ってきたら1時間宿題の時間」など、集団生活ならではの団体行動の側面も見られます。
多くの施設では栄養士さんや調理師さんがおり、食事は毎日3食食べることができます。
また規模の大きい施設では、学校のように運動会や季節の祝日には、地域の方の協力の上でお祝い事も提供されることが多いです。
●学校
基本的にすべての入所児童は、小/中/高校/特別支援学校など一般家庭と同じように通学します。部活に加入することも可能ですが、ほとんどの場合は公立高校へ進学をします。
また高校生からは施設によって制限がありますが、アルバイトを行うことも可能です。
●習い事
すべての習い事を希望することはできませんが、地域の方の協力と毎年自治体から支援される予算内で可能であれば、習い事をすることも可能です。
学習塾などは高価な場合が多いため難しいですが、少年野球やサッカー、合唱団などは可能な場合が多いです。
ただすべての子どもたちができるわけではなく、希望をしても状況やその子の特性によって難しい場合もあります。
児童養護施設で生活をしている子どもたちの現状
●入所理由の60%以上がさまざまな虐待が原因
令和3年4月現在、全国には一時保護を担う「児童相談所」が、約300カ所程度あります。その中で近年本人・近所問わず、「児童虐待」についての相談が増えてきています。
虐待とは、「身体的虐待(暴力等)」「性的虐待」「心理的虐待」「ネグレクト(育児義務放棄)」の4つに分類されますが、近年では見た目で分かりづらい、「心理的虐待」が増加しています。
●卒業後の進路
一般家庭の子どもたちは、高校卒業後大学・短大・専修系などに進学する率が約70%以上なのに対して、社会的養護に置かれている子どもたちは、わずか約14%程度となっています。
児童養護施設で生活する子どもは、原則18歳になると退所することとなります。そのため退所後は頼れる大人がいなかったり、経済的な不安があったりするため、進学を選択しづらい現状があります。また、進学するための受験料や入学金、4月以降の生活費などの諸費用捻出のため、受験直前でもアルバイトを続ける例もあります。そのため、進学したくてもできない子どもが多数存在しています。
現在は様々な奨学金制度や助成金などの整備もされてきていますが、そもそもそのような制度があることを狭い世界で育ってきた子どもたちに伝わらず、退所をしていくケースも少なくありません。
周りの大人達は、子どもたちの将来を見据えて、いろいろな情報提供をしていくべきだと考えています。
●退所後の生活困窮・再スタートを切れない。
前述の通り、進学をする子どもたちが少ない一方で、約60%以上の子どもたちは就職をし、退所していきます。
しかし、長年児童養護施設という「狭い世界」で生活していたために、社会に出てからの理想と現実に戸惑い、3年以内に退職をするケースが大変多くなっています。
★一般家庭 高卒3年以内離職率 約40%
★社会的養護下 高卒3年以内離職率 約80%
離職後、再就職ができないために、生活困窮に陥ったり、若者の自殺・犯罪につながるケースもあり、大きな問題になっています。
要因としては、社会に出てからの生活の仕方や一般的な常識の教育が不足、そして実際に社会へ出てから”理想と現実”を感じる結果となっています。
現在進行系で社会的養護下の子どもたちへ行う支援は、もちろん大変必要ですが、退所後の子どもたちへの支援の輪もどんどん広げ、退所後の子どもたちがたくましく生きていくための手助けを行っていく必要があります。
さて、いかがでしょうか。
問題点のもう一つに「18歳退所ルール」があります。
これは、高校を卒業した年の3月31日には、施設を退所しなくてはいけないというルールです。
このルールにより、進学率低下・生活困窮が起こる可能性も考えられ、長年国内では問題視されておりましたが、先日政府はようやく今国会において「年齢制限の撤廃」についての法改正議論を行うことを決定しました。
まだまだこれからなところもありますが、私たちは政府の方針を見据えて「退所者支援」に取り組んでまいります!
以上、最後までお読みいただきありがとうございました😃