スポーツチームにおけるtoB商品・サービス
昨今競技性だけでなく、ビジネスの視点からもスポーツチームは注目を浴びています。
先の記事ではスポーツチームのセールスパーソンとして、どのような観点でサービスの利点を訴求できるかをまとめました。
この記事では、再びスポーツチームのセールスパーソン視点で、法人に対してどのような商品・サービスを提案できるかをまとめてみたいと思います。
スポンサーをしたいと考える法人に適切な商品・サービスを提供することで、感情から入った一時的なスポンサーであっても実利的で継続的な関係を構築することができるかもしれません。
商品・サービスの分類
営利を求める企業であれば各々商品・サービスを持っています。
多くの企業は独自の強みを生かした、有形無形様々な価値提供を行っています。
飲料メーカーであればおいしく清潔な清涼飲料水、コンサルティング会社であれば経営・人事・マーケティングの知識など。
スポーツチームはその「ブランド」を生かした有形無形どちらでの商品・サービスも提案可能です。toBという観点では主に以下5種類に分けられます。
グッズ
ライセンス
広告
協賛
チケット
ファンクラブ
以下、個別に詳細を見ていきましょう。
1. グッズ
チーム、選手オリジナルのグッズです。現場のスタジアムやECサイトで購入できるものですが、大口で値引き等対応できるのであれば企業に福利厚生や販促景品用として提案すると良いかもしれません。
小売業などの顧客であればにぎやかし抽選会の景品としての利用があります。
チームのリソースが許すのであれば、先方企業とチームのコラボグッズを受注ベースで製作すると付加価値が付くので喜んでもらえるケースも多いでしょう。
現物があるため在庫管理が発生してしまうこと、toCグッズ販売部門とカニバリが多少ある、粗利が限定的といったネックがあり法人営業としては注力する商品ではないかもしれません。
2. ライセンス
選手の肖像やチームのロゴなどの利用権を提供し、先方サービスに活用してもらうというものです。
カルビーの「プロ野球チップス」が典型的なものです。
その選手やチームのファンがSNS等で見つけて購入したり、売り場で足を止めたりすることが期待され、直接的な売上UPに貢献できる可能性があります。
toB業態でもCMや広告素材に用いる、などの活用方法があります。
粗利はほぼゼロであるのでガンガン売っていきたいサービスですが、チーム側のブランド管理や選手の不祥事リスクなども潜在的には存在するので注意が必要です。
3. 広告
スタジアム場内外への企業ロゴ等の看板掲載などで、来場者やメディア視聴者へ企業認知・イメージUPを促します。
チームとCSR的な取り組みを行っている場合はそれを記事にしてチームメディアに掲載する記事広告などもあります。
最近では現地での広告掲出だけでなく、公式HPやスマホアプリのバナー広告、SNSでのRPやYoutubeタイアップなどオンラインでの広告も使えるようになりました。
費用対効果の提示は永遠の課題ではあります。
観客動員数やマスメディアの露出の広告換算価値、オンライン商品であればPV,IMPなどの客観的な数字を出すことはもちろん、可能であれば来場者・オンラインアンケートなどで広告掲出に関するポジティブなフィードバックを集めその価値を理解してもらえる努力が必要です。
4. 協賛
「〇〇デー」などと銘打った冠試合や、始球式・キックオフセレモニーの権益付協賛などがあり、特定のイベントへのスポットでのスポンサーを指します。
横浜ベイスターズが毎年開催している「横浜スターナイト」のようなイベントも大口小口の協賛を集めることで原資を獲得し、来場者へのオリジナルユニフォーム無料配布などを実現しています。
広義の広告にはなると思いますが、それ自体で露出が主の目的ではなく、グッズや上記権益等をセットにした商品が多いです。
「〇〇提供バスケットボール教室」などCSR的な文脈で協賛メニューを利用してもらうことも可能です。
「協賛」という言葉自体が曖昧なので、魅力的なイベントを企画し商品組みできれば高い価値を持つ「協賛メニュー」ができるのでは思います。
5.チケット
団体観戦チケットや年間指定席などが、企業としての利用に必然性があり、かつ営業担当としてもまとまった売り上げになる商品かと思います。
福利厚生、営業活用、販促など紙のチケットであれば手離れが良いので様々な場面で活用していただけます。
もしそのチームをあまり知らないという担当者・決裁権者の方であれば、無料の招待券をお渡しするなどして実際にスタジアムで観戦してもらう経験が大切です。
スポーツの魅力、現実的な有用性は実際に体験してもらわないとわかりません。可能であれば招待当日、スタジアム内を案内して協賛や広告など他営業商品をさらっと紹介すると、先方には特別感を抱いていただきながらさらに先の営業商品へのステップが踏めるかもしれません。
6. ファンクラブ
ファンクラブは主にtoCサービスなので企業に対して提案することは少ないかもしれませんが、「社を上げて応援したい」という熱い企業も時々いてくださいます。
その象徴的なかたちとしてファンクラブを希望する社員全員に社費で加入させるといった施策もまれにあります。
ファンクラブは多くのチームで単体でのマネタイズというよりは満足感醸成やデータの取得といったファンの囲い込み施策の一つとして行っているケースが多いので、法人担当営業がそれほど注力するものではないかもしれません。
ただ、チームにファンクラブ担当の方には喜ばれると思います。
おわりに
ご紹介した定義や事例には過不足、突っ込みどころもあると思います。
スタジアムのレンタルや放映権など、上記に限らず多くのサービスが存在していますが、標準的なものとしてご紹介させていただきました。
デジタル領域の進化でサービスの多様化も進んでおり、今後新たなサービスもどんどん出てくることでしょう。
スポーツチームは「ブランド」という唯一無二の価値を軸に様々な展開が可能です。
セールスパーソンとして顧客にどんな価値を提供できるか、チームも喜ぶ座組みができるか、販売するというだけではなく新しい商品・サービスを考え出していきたいですね!