スポーツイベントにおけるVIP対応 ホスピタリティとエンゲージメントの高め方
スポーツイベントは、単にスポーツの興奮を共有する場ではなく、ビジネス関係を深め、VIP顧客や重要なビジネスパートナーとのつながりを強化する絶好の機会です。
近年スポーツビジネスの世界では、VIP顧客をターゲットとした満足度の高い高単価なサービスが注目されています。
しかし、これらのゲストにとって忘れられない体験を提供するには、綿密な計画とこだわりのホスピタリティが必要です。
以下では、印象的なホスピタリティとエンゲージメントを実現するための具体的な戦略を探ります。
ホスピタリティの基本原則
パーソナライズされた体験の提供
成功の鍵は、ゲスト一人ひとりの好みと興味に合わせてカスタマイズされた体験を提供することです。
事前にゲストの好みを把握し、それに基づいたエクスペリエンスを設計します。
たとえば、食事の好み、アレルギー、好きな選手に至るまで、細部にわたる配慮が求められます。
秘書の方への確認などがベストですが工数が計り知れないケースもあるので、VIP専用の事前登録フォームなどを準備しておくのがよいでしょう。
好きな選手の応援グッズやサイングッズなどを手土産として準備しておくとより高揚感を与えることができます。
VIPエリアの快適さやプライバシー、専任のサービス担当者による丁寧な対応も、ゲストに特別感を提供します。
特別なアクセスと体験
VIPゲストには、一般の観客とは異なる特別なアクセスや体験を提供します。
選手やコーチとのミート&グリート、チームの更衣室やトレーニング施設のバックステージツアーなどがこれに該当します。
また、イベント限定の記念品やパーソナライズされたギフトを準備することで、その日の体験を特別なものにしましょう。
選手との触れ合いができるのであればその場でサイングッズを渡したり、記念撮影をしてあげると印象的な出来事として記憶に残ることでしょう。
入場ゲートも一般来場者と別のVIP専用入口を準備し、スムーズな入場を可能にします。
ファシリティの都合上制約もあると思いますが、スタッフ導線でも特別感は得られますし、近年テーマパークのファストパス文化も根付いてきたので、通常入口の横にVIP専用入口を設置しても大きなクレームには発展しないと思います。
食事と飲料のエクスペリエンス
高品質な食事と飲料の提供は、優れたホスピタリティの不可欠な要素です。
ゲストの国籍や文化、個々の好みに合わせてメニューをカスタマイズし、食事のプレゼンテーションとサービスにもこだわります。
すべての顧客に対しカスタマイズされた食事を提供するのは困難だと思いますが、事前ヒアリングのもとアレルギーへの対応は言わずもがな、記念日などのささやかなお祝い、好きな食材の使用などの可能な範囲で配慮を示すことはできます。
顧客が食品系のお仕事(生産者、メーカー、加工会社、包装)であれば提供メニューは多少無理をしてでも関係するものを使用する、競合商品は使わない等配慮が必要です。
提供メニューは必ずしも全て高級である必要はありません。
地方のスポーツチームであれば、その土地の特産品を使ったものや、地元の有名店とのコラボなどでも「そこに来た意味」を形にすることができます。
エンゲージメントと長期的な関係構築
インタラクティブなアクティビティ
イベントを通じてゲストの参加とエンゲージメントを促すには、インタラクティブなアクティビティが効果的です。
ライブエンターテインメントの提供も、雰囲気を盛り上げる良い手段です。
大型ビジョンのあるスタジアムであれば、非プレー時間の内特定の時間そのVIPルームを映してあげると記念になったりします。
選手の試合中の稼働は難しいと思いますが、レジェンドOB選手がVIPルームへ赴き歓談しながら試合解説をする、スタジアム内でパフォーマンスを行っていたチアチーム・マスコットが遊びに行くといったアクティビティであれば提供のハードルは下がると思います。
中にはスポーツに興味のなく、数時間同じ部屋でじっとしていることが苦痛に感じてしまう顧客もいます。
VIPルームを使ってもらうすべての人に非日常感、特別感を感じてもらえるような工夫が必要です。
ネットワーキングの促進
スポーツイベントは、ビジネスミーティングやネットワーキングの場としても機能します。
専用のエリアを設け、ゲストが業界のキーパーソンや他のVIPと接触できるようにすることで、ビジネスの機会を創出します。
共通の興味を基にしたグループ活動やディスカッションセッションを企画することで、より深いつながりを築くことができます。
フォローアップとフィードバック
イベント後のフォローアップは、長期的な関係構築において非常に重要です。
お礼状やメールを送ることで感謝の意を表し、ゲストからのフィードバックを収集して次回のイベントを改善します。
また、定期的なコミュニケーションを維持することで、ゲストとの関係を強化し、次回イベントへの関心を持続させます。
固定のVIP顧客を獲得できれば、彼らは他のVIP顧客を連れて来てくれます。
高単価で数が少ないからこそ、一回一回のホスピタリティが大切になるのです。
VIP顧客へのホスピタリティ商品は近年盛んにテーマになっています。
チームとして収益を上げるためには客数と単価を上げる必要がありますが、ホスピタリティ商品は後者を一気に上げることができるからです。
上記フローについては、インフラや人員の問題ですべてを行うことは困難であると思います。
スモールスタートでよいのでできる範囲から進めていくとよいでしょう。
「スポーツ観戦」の時点で非日常感は乗っかっています。
その体験価値をさらに高めていくために工夫を重ねていきたいですね!