スポーツ選手のセカンドキャリア支援の一環としてのスポンサーシップ
スポーツ選手のキャリアは、彼らがコートやフィールドで見せる輝かしい活躍に限定されません。
現役を退いた後の人生、すなわち「セカンドキャリア」は、彼らにとって重要なステージの一つです。
このセカンドキャリアの準備と支援において、スポンサーシップが果たす役割は小さくありません。
本記事では、スポーツ選手のセカンドキャリア支援の一環としてのスポンサーシップに焦点を当て、その現状と重要性、そして具体的な取り組みについて掘り下げていきます。
スポーツ選手のセカンドキャリア支援の現状と重要性
セカンドキャリアの現状
多くのアスリートが現役引退後の人生に対する不安を抱えています。
2022年NPB若手選手への調査によると、「不安はない」と答えた選手は20%程度と多くの選手が心配しています。
引退後の職業選択や生活設計は、選手生活に専念してきた彼らにとって大きな挑戦です。特に、長年競技に打ち込んできた選手にとって、スポーツ以外の分野でのキャリア構築は容易ではありません。
しかし、特定の分野で突出した成績を残した彼らはスポーツ以外の舞台でも輝く素地を持っており、その才能を開花させる別の努力、仕組みが必要です。
支援の重要性
選手が精神的、経済的に安定したセカンドキャリアを送るためには、引退前からの準備が必要不可欠です。
ここでスポンサーシップが重要な役割を果たします。
スポンサー企業は、選手が新たなキャリアを模索する過程で、資金的な支援だけでなく、教育プログラムや研修機会を提供することが可能です。
スポンサーという関係があることで、選手やチームは安心してそのプログラムや研修に身を任せることができるのです。
企業との連携の利点
選手と企業双方にとってメリットがあります。
企業は選手のイメージを利用してブランド価値を高めることができる一方で、選手は企業の支援によってセカンドキャリアの準備を進めることができます。
これにより、選手の社会的価値の維持と、企業の社会貢献活動の実現が同時に進むのです。
また企業のブランド価値向上だけでなく、人手不足が叫ばれる昨今、優秀な若い人材をリクルートできるという採用面でも直接的な効果を得ることができます。
2008年リーマンショックなどの経済危機から休部が相次いだ社会人野球でも復活した企業や新規参入の例も増えており、優秀な若手人材を自社に囲い込みたいという思惑も入っていると思います。
スポンサーシップを通じたセカンドキャリア支援の具体的な取り組み
スポンサーシップの形態
スポンサーシップには資金提供、商品提供、トレーニングサポート、育成プログラムへの参加支援など、多岐にわたる方法が存在します。
育成プログラムへの参加支援や就職先紹介などは、選手が新たな分野でのスキルを身につけたり、新たなステップを踏み出す後押しになり、セカンドキャリアを構築する上で特に有効です。
総合人材サービスのパーソルホールディングス株式会社はNPBのパリーグ公式スポンサーを務めるなど、長くプロ野球のスポンサーを続けています。
その取り組みの中で単に広告媒体の利用による露出だけでなく、アスリートへの研修プログラムの提供やキャリアアドバイザーによる就職支援も行っているのです。
今後の展望と課題
スポンサーシップによるセカンドキャリア支援の拡大と深化が求められます。
選手個人の将来設計だけでなく、スポーツ界全体の発展に貢献するためにも、企業と選手が互いに協力し合うことが重要です。
アスリートのセカンドキャリアが充実したものなればなるほど、若い世代、学生やその親の世代が安心でき、プロアスリートを目指す人口が増えていくことでしょう。
それは競技人口の増加、競技レベルの向上にもつながるのです。
現時点セカンドキャリアを支援するという形のスポンサーシップはそれほど一般的でないため、必ずしもその支援の対象が大きいわけではありません。
ノウハウの蓄積と包括的な支援体制の構築が今後の課題として挙げられます。
まとめ
スポーツ選手のセカンドキャリア支援におけるスポンサーシップは、選手個人の未来を豊かにするだけでなく、スポーツ界の持続可能な発展にも寄与します。
企業と選手が互いに支え合う関係を築くことで、選手が社会のさまざまな分野で活躍するための基盤を作り上げることができます。
このような取り組みを通じて、スポーツ選手がセカンドキャリアにおいても成功を収め、その経験を社会に還元していくことが期待されます。