【海賊とよばれた男】経営者が憧れる男!国岡鐡造の人を惹きつける力!
こんにちは。
篠原継之助です。
今回は、2013年度本屋大賞を受賞したベストセラーが原作の映画、
『海賊とよばれた男』についてご紹介していきます!
『海賊とよばれた男』は、出光興産創業者の出光佐三をモデルにした主人公、
国岡鐵造の波瀾万丈な経営者人生を描いた映画で、ボクも何度も繰り返し観ている作品です。
ぜひ最後までご覧ください!
・あらすじ
1945年、空襲で焼け野原になった東京から場面は始まります。
かつて大企業だった国岡商店は、貿易の停止により石油を取り扱えなくなったことから倒産の危機にありました。
従業員達は首を切られる覚悟を決めますが、社長である国岡鐡造は
「従業員は誰一人解雇しない」と宣言します。
倒産の危機にありながら従業員を解雇しないのは、
立ち上げの頃から持ち続けている、『士魂商才』という信念に基づいた決断でした。
1)国岡商店の立ち上げ、『海賊』と呼ばれた理由
1912年、27歳の鐡造は近いうちに石炭から石油の時代に変わると見込んで、多くの工場に石油を売り込みに向かいます。
しかし、当時の石炭業界は縄張り意識が強く、新参者の鐡造が安易に参入できる業界ではないため、どの工場からも門前払いを受けてしまいました。
取引先が見つからず会社は倒産寸前。
なんとか現状を打開する方法がないか模索していたある時、鐡造にあるアイデアが思い浮かびます。
工場がダメなら、漁師達に軽油を販売するということです。
鐡造の読みは大当たり。
軽油は従来の燃料より安価なため、漁師達はこぞって国岡商店と取引をし始めました。
『下関での商いは石統と呼ばれる組織に属した企業がおこなう』という暗黙のルールがありますが、それを定めた法律はありません。
全てを無視して海上で自由に商いをする国岡商店の姿は、いつしか同業者から『海賊』と呼ばれるようになりました。
2)敗戦、GHQからの妨害
時は戻り、1945年鐡造が60歳の頃。
依然として倒産の危機にある国岡商店ですが、
再び石油を取り扱うためには、GHQから貿易の許可を得る必要がありました。
しかし、GHQからは
「現在日本が所持している石油を全て使い切ってからでないと貿易を認めない」と言われてしまいます。
当時、国内の石油は全て地下に埋まっており、地下にはガスが充満しているため機械を使って汲み上げることはできません。
石油を使うためには、全て手作業で汲み上げを行わなければならず、充満したガスの中で行うのはかなり危険をともなう作業でした。
ほぼ不可能に近いGHQからの回答に、ほとんどの企業は石油業界から手を引いてしまいますが、
絶対に石油業界から撤退しないと心に決めた鐡造は、石油を地下から汲み上げるために過酷な現場へ従業員達を派遣します。
はたして鐡造は再び貿易を再開することができるのか。
そして強大な外国からの圧力に打ち勝つことができるのか。
続きはぜひ映画、そして原作でご覧ください!
・人を惹きつける鐡造の3つの魅力!
ボクはこの映画を観て、店主・国岡鐡造の人を惹きつける魅力の強さをすごく感じました。
鐡造は決して優しい経営者ではありません。
簡単な仕事を任せることはなく、常に無茶振りばかり。
ルールに乗っ取った商いではなく、ルールの隙をついた商いをするため、まるで荒波の中を航海しているかのような経営を繰り返しています。
しかし、従業員達は皆「店主がやれというなら」の一言で任された仕事を全てやり遂げていきます。
なぜ従業員達は鐡造についていくのか。
それは、鐡造が人を惹きつける3つの魅力をもっているからだと思います。
1)強い信念
国岡商店は石統や海外から様々な妨害を受け続けますが、従業員達は誰一人店主である鐡造の経営方針に反発しません。
それは、常に鐡造が個人の利ではなく強い信念に基づいて行動しているからです。
鐡造は立ち上げの時から『士魂商才』という信念を大切にしています
士魂商才とは侍の心で商売をするということ。
つまり単なる目先の利益のためではなく、高い志をもって仕事をするということです。
自分の利益のためではなく、全ては会社のため、そして従業員のために。
そして敗戦後は日本のために、決して折れることなく逆境に立ち向かっていく鐡造の姿を見ているからこそ、
従業員達は店主のことを信じ、どんなことがあってもついていくことを決めたのではないでしょうか。
2)仲間を信頼し、任せる器の大きさ
鐡造は従業員達を「家族」と呼び、人一倍大切にしています。
無理難題を言うのも、従業員一人一人を信頼し「絶対にできる」と信じているからこそ。
本編の中でも、鐡造が従業員を信頼して仕事を任せているのが垣間見えるシーンがあります。
石油の仕事がないためGHQからラジオ修理の仕事を請け負った際、
その責任者を元海軍の藤本に任せますが、商売の経験がない藤本は次々と融資を断られてしまいます。
鐡造が進捗を聞いた際に、藤本は社会情勢の影響で融資が断られていると答えますが、
鐡造はそれを否定し「熱が足らんのよ、熱が!」と檄を飛ばします。
鐡造が藤本に怒ったのは、仕事ができなかったからではありません。
どんな状況でも藤本ならできる、と信じているからこそ「もっと本気でやってこい!」と檄を飛ばしたのです。
鐡造は従業員の人となりや仕事ぶりをよく見ています。
だからこそ重要な仕事を任せ、必ずやり遂げると信じて待つことができます。
従業員達もそれをわかっているからこそ、その期待に応えるために自分の持っている最大限の力を使って仕事をやり遂げてくるのです。
国岡商店の従業員達は、どんなに辛い仕事でも仕事をやらされていると感じていません。
任せてもらった仕事を最大限やり遂げ、店主に貢献すると常に決めています。
国岡商店がそんな素晴らしい組織になったのは、鐡造の器の大きさ、そして常に従業員達を信頼し続けた結果なのではないでしょうか。
3)共に背負う覚悟
鐡造は社運をかけた選択を何度もすることになりますが、
どんな選択をする時でも常に現場の目線に立ち従業員達の気持ちも背負った上で決断していきます。
本編でも、外国から攻撃を受けるかもしれない場所に従業員達を送り込むことになった際、
「あいつらが帰ってこなかったら、自分も生きていようとは思わない」と告げているように、
戦う場所は違っても常に従業員達と同じ戦場に立ちながら、自分の命をかけて会社の舵を切っているのです。
ただ指示をするだけでは、人はついてきません。
一緒に泥だらけになりながら創り上げて、一緒に戦って、そして一緒に達成するからこそ、雇用関係を超えて本当に心が通じ合った仲間になれるのではないでしょうか。
鐡造と従業員達は、立ち上げの時からみんなで何度も困難に立ち向かってきました。
だからこそただの店主と従業員の関係ではなく、どの組織にも負けない強い絆で結ばれた家族のような関係を築き上げてこれたのだと思います。
・あとがき
いかがでしたでしょうか。
ボクも会社を経営しているので、鐡造の器の大きさや決断力から学ぶことがたくさんありました。
今、ボクは鐡造のように、たくさんの仲間に囲まれながら仕事をしています。
だからこそ、もう一度『士魂商才』という言葉を胸に刻んで、鐡造のように志高く仕事をしていこうと、改めて決めるきっかけになりました。
映画や原作にはここでは書ききれなかった、国岡商店や鐡造の魅力的なエピソードがたくさんつまっています。
気になった方はぜひ、一度本編をご覧になってみてください。
ではまた。