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チケミーで既存の事業に合同会社型を利用してみる

初めまして、Nextmergeの飯島です。

Nextmergeでは、TIPWAVEというウォレットを運営しており、
ウォレットを持っていない相手にも、SNSのIDを宛先として、コミュニティのトークン(オフチェーンも可)も送付することができます。

DiscordやTwitterをやっていればユーザがウォレットを作るという行為をしなくても自動的にトークンを受け取ることができます。

日本DAO協会のレップホルダーをやらせていただいております。

はじめに

今回は、チケット業界に切り込んだ「チケミー」と共に、トークンや合同会社型DAOの仕組みを利用し、どのように既存事業にあった形で利用できるかを考えていきます。

私は、士業の人間でもありませんので、曖昧な部分や誤りがあることがあります。

ご指摘いただけますと幸いです。
ご自分の知りたい部分から読んでいただけますと幸いです。

チケミーについて


ブロックチェーン技術を利用して、コンサートやイベントのチケット(本質的には日本の法律で定められている規制に反するすべてのモノ以外の引換券)を売買できるプロダクトです。
詳しくはこちらをご確認ください。

STEP1: 何に使えるかを考える

合同会社型の特徴を考え、既存の事業に相性が良い形を探していく
・幅広く資金を集められる
・投資家(社員)に対して一定の範囲内で配当できる
・投資家(社員)NFTなどを低いコストで配布できる

前もって資金の調達の可能性が高くなるができるので、チケミー利用者の「イベント主催者/企画者」に使ってもらうのがよさそうです

こちらを踏まえると、イベントの開催で最初に資金を調達しつつ、NFTチケットをリターンとして返すような形がよいと考えられ、
イベント主催者に合同会社を設立してもらい、社員権による資金調達をして、イベントを開催させやすくする
という効果が得られそうです。

STEP2: ビジネスモデルの設計

イベントのケースを想定して、現実的なビジネスモデルを考えていきます。
チケミーとプロモーターと合同会社へ出資する社員の関係はこのようなイメージです。

  1. 合同会社を設立登記する

  2. 社員権を投資家(ファン支援者)が購入する

  3. 金額に応じた適切な量のイベントチケットを金額に応じた量を社員へ配布する

  4. 一般参加者向けのチケットを販売する

  5. 社員(投資家)はチケミー上でチケットを自由な値段で販売する(販売代行をチケミー側で実施しても良い)

  6. 手数料収益(順番はあまり関係ない)

  7. 社員へリターン余剰利益を分配

このようなビジネスモデルを構築することで、

  • チケミーはPF手数料を得つつ、合同会社での資金調達の手数料も上乗せされる

  • プロモーターは興行リスクを背負うことなく、コンサートを実施しつつ、キャッシュフロー圧迫のリスクを回避することができる

  • 投資家(ファン)は自分でコンサートの開催を応援することもできるし、チケミーPFでチケットを販売することで、ファン活動と並行して収益を得ることも可能になる

上記のようにイベントに需要があれば、エコシステムを効率的に回すことができるため、大きなメリットがあります。

STEP3:具体的なケースワーク

今回は会場を借り、コンサートを行いたいケースで考えます。
イベント内容:X コンサート
規模:10,000人=チケットの発行枚数
イベント開催の原価:1,000万円(会場費)+2000万円(開催経費)
公式チケット価格:10,000円
※会場費は前金で500万円、開催経費も前金が500万円かかるとします

社員権を購入することで、「初期チケット価格」でチケットを受け取ることができ、 
イベントの期待値や需要が上昇することで、チケットの販売価格の値上がりに期待することができます。

イベント自体は社員権での資金調達が完了すれば、会場を抑えられるので、開催準備を進め、
社員たちもチケットの需要を増やしたいので、マーケを手伝ったり、チケットを販売したりしてくれます。

※席のグレード差などは必要だと思いますが、一旦考慮せずに1種類のチケットのみを販売する形を想定します。

1.合同会社を設立する

まずは、プロモーター会社が(チケミーが他人のために法的書類を作成することは不可です)、イベント用の合同会社を設立します。

会社のロールが持つ権限や割り当ては以下のようになります。

業務執行社員:プロモーターやチケミーなどの法人(業務を執行した社員)
社員:一般の投資家(ファン含む)
※リターン額が初期投資額を超えそうであれば、業務を執行した社員を業務執行社員にする、超えない場合は社員で良い

業務執行社員には、株式会社チケミーが入り、チケットの販売などの業務を実施します。
社員は、チケットを対価として受け取り、それらをチケミー上で二次流通することで、間接的にリターンを得ることができます。

定款や諸規程に以下の内容を追加します。

・利益の20%を社員にJPYCで還元する
・イベントの利益分配までを1セットとし、1セットごとに社員権を無効化する

上記のようなコントラクト的要件を定款など諸規程に盛り込みます。


2.社員権を投資家が購入する
3.イベントチケットを社員へ配布する

社員権NFTを購入できる、ミントサイトを開発します。
今回はJPYCやクレカでの購入で受け付けることにしました。
※都合上『円』と表示します
そのため、合同会社のマルチシグウォレットを用意し、そこに購入された分のJPYCなどが貯まっていきます。

そして、社員権を所有しているウォレットに対し、NFTチケットをエアドロップします。

社員権を50万円で販売しました。
社員権につき、100枚のチケットをエアドロップしました。
社員全体で20人であったため、100枚✖️20人=2,000枚になります。

社員権がある場合は、1枚あたりの価格は5,000円という計算になり、
社員権を所有している人へチケットを付与することができます。
社員権は20人分発行されました。

50万円✖︎20人=1,000万円

イベント前の初期で集まった金額は、1,000万円になりました。
このお金は、会場を抑えるための前金を支払ったり、広告費に利用します。
日本円やNFTの流れは以下のようになります。

4.一般参加者向けのチケットを販売する

合同会社からチケミーを通して、販売します。
前項にて、社員権ホルダーへチケットを、1枚当たり5,000円でエアドロップしました。

そのため、社員権の持っていない一般販売の場合、それ以上の価格(公式価格)として販売します。

今回の一般販売では、1枚あたり10,000円で販売することが決定しました。

5.社員はチケミー上でチケットを自由な値段で販売する

前項で1枚あたり10,000円の公式価格で販売されました。
公式からのチケットが売り切れるまでは、この価格を下回った価格でしか基本は購入されないと考えられます。

そのため、多くの社員が7,000円から9,000円で販売しています。

購入された場合は、
チケットの入手原価は5,000円なので、2,000〜4,000円の利益を得ることができます。

一部の社員は、価格が10,000円以上になることを見越して、現在は出品をしていません。

公式のチケットが売り切れた場合、社員からの購入になるため、10,000円以上の価値になる可能性があると考える社員もいるでしょう。

現状でのチケット発行は以下のような数字になっています

市場的には、社員が付け足した価値があればそれ以上で販売は可能になると考えられます。

6.手数料収益
7.社員へ余剰利益を分配

チケットの販売が終了しました。
結果は以下のようになりました。

チケットの全体
売上と利益

利益の計算は以下のようになります。
(6,000枚✖️10,000円)+(2000枚✖️5000円)ー3,000万円=4,000万円

4,000万円が利益と計算できたので、こちらの20%を社員へ分配します。

800万円➗22人(業務執行社員の人数)=約36万円
※社員数=20人の投資家(業務執行社員)+チケミー+プロモータ

一社員あたり36万円が分配されました。

投資家は、チケットの販売益と配当を得られます。
「36万円+チケットの二次流通収益」を得ることができました。

まとめ

今回はチケミーの事業で合同会社型を利用したケースを考えてみました。

事業本体が合同会社ではなく、資金調達や配当のツールとして利用することができました。

初期の会場費用などを社員権で集めることで、プロモーター側のリスクを分配した形になります。
(※)
チケットが売れない場合は、投資家とプロモータが損をする形になります。(プロモータは損益分岐をどこに置くかですが、投資家=ファンは当日までチケットが売れなければイベントに参加することで回収は可能ですね。)

明らかにチケットが売れなそうな場合は、社員権の段階で購入されない(投資されない)ため、

人的ミスにより実施されないという場合を除いて、ある程度の回収を見込むことができます。

今回の内容においては、最初のキャッシュフローのハードルを乗り越えることができるという部分が重要です。

基本はクラウドファンディングに近い性質ですが、

クラファンよりもコストが低く、かつファンとしては貢献活動(推し活)ができ、リターンが厚くなる可能性を考えると、
選択肢が多い点からもこのスキームの方が良いと考えています。

合同会社の特徴とチケミーの二次流通の特性を活かし、新たなイベントの作り方の一つにでき、
最初のハードルを乗り越えることで、アーティストやイベント主催者の背負うリスクを小さくすることができるため、
従来よりも簡単にイベントを実施することができます。

さいごに

法解釈など間違っている部分がありましたら、ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

質問や相談などありましたら、お気軽にご連絡ください。

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メール:h-iijima@nextmerge.net


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