「コーディネーターの学校」開講2ヶ月レポート ーー「コーディネーター」としての在りたい姿を探究し続けて、見えてきた景色ーー
Next Commons Lab(NCL)は起業家をはじめとし、さまざまな人材を社会に輩出しています。
多様なセクターを横断しつなぎ合わせるコーディネーターの育成を目指すため、「コーディネーターの学校」を2021年4月から開講しました。
私たちはコーディネーターという仕事を一つの職能として捉え、ソーシャルセクターだけでなく大企業のメンバーや自治体の職員としても重要な役割を担うと考えています。
新たに2021年7月1日(木)から始まる「コーディネーターの学校 入門編」の受講生を現在募集しています。今回は、インタビューを交えて受講生の様子や講座の内容、また「コーディネーターの学校 入門編」について紹介します!
ディレクター・コーディネーター紹介
・土肥潤也(どひ じゅんや)
【コミュニティファシリテーター みんなの図書館さんかく/さんかく沼津 館長】
静岡県焼津市生まれ。早稲田大学社会科学研究科修士課程 都市・コミュニティデザイン論修了、修士(社会科学)。2013年から若者の社会・政治参加に関する活動に参加し、2015年に、NPO法人わかもののまちを設立(現在は代表理事)。静岡県内を中心に、全国各地でわかもののまちづくりの中間支援に取り組む。2020年に、一般社団法人トリナスを共同創業、現在は代表理事。焼津を中心とした地域コーディネート専門集団として、「みんなの図書館さんかく」の運営など、本を通じたコミュニティづくりを行う。元内閣府「子供・若者育成支援推進のための有識者会議」構成員。
・コーディネーターの学校とは
Q.なぜ今回コーディネーターの学校を開講したのですか?
【土肥さん】
いま、そしてこれからの時代は、社会全体の複雑さが増し、不確実性が高まっています。誰もが予想し得ない時代だからこそ、ひとりのスーパーマンではなく、多様な経験や知識を持った人同士が連携し、新しい価値を社会に見出していくことが求められています。しかし、ただ指をくわえていても、こうした多様な人材同士の協働は生まれません。異質なもの同士を繋ぎ、バックグランドの異なる互いの言語を翻訳し、ときには旗振り役となって、プロジェクトを推進していくコーディネーターの存在が欠かせません。
コーディネーターの学校は、こうした時代背景をもとに、ともに新しい社会を生み出していく媒介としてのコーディネーターを増やしていく試みです。コーディネーターに求められる様々なスキルを実践を通じて学ぶ、学び合う講座となっています。
受講者紹介
和泉宏(いずみ ひろし)
【萩市地域おこし協力隊(萩市教育委員会所属)萩高校・萩光塩高校勤務】
山口県光市出身。大学時代にNPOカタリバ、社会人として人材育成・組織開発コンサルティング会社にて勤務した後、2021年4月より現職。「自分なりの意志を探究する町ぐるみの学び・成長の土壌を創りたい」という想いから、コーディネーターの学校で学ぶことを決意。
村松可菜(むらまつ かな)
【一般社団法人グリーンパークあさはた あさはた緑地管理事務所勤務】
長野県長野市出身。静岡県立大学で環境サークルCO-COに所属し「人と自然の共生」と「持続可能な地域づくり」が個人のテーマとなる。卒業後、株式会社自遊人に入社するも、もっと地域に寄り添った働き方をしたい、自然に関わる仕事をしたいと思い退職。2021年4月から現職。土曜日は竹林整備をしてリフレッシュ(?)😆
岩田かなみ(いわた かなみ)
【パラレルコミュニティコーディネーター】
人と<情報×場×チャンス>が有機的につながり新しい価値が生まれる、想いを形にする人が増える場づくりを仕事にすべく、2019年2月からフリーランスのキャリアを開始。神戸を中心に複数のコワーキングスペースや一般社団法人、スタートアップの運営に参画。
・自分自身の在りたい姿を探求していく
Q.なぜコーディネーターの学校を受講しようと思ったのですか?
【和泉さん】
山口県萩市の高校魅力化コーディネーター(萩市では「地域連携サポーター」という呼称)に、今年の4月から着任しました。
これまで「コーディネート」を正直あまり考えたことがなかったので、まずはコーディネーターとしてどんなことが必要なのか、基礎基本をしっかり学びたかったためです。
また、コーディネーターとしての自分が成長する目指しどころもあわせて描きたいと考えています。ここで学んだからすごいコーディネーターになれるわけではなく、こういうコーディネーターになりたいという在りたい姿・持論を磨き上げることで、現場で日々成長していけるのではないかと思いました。
【村松さん】
知人の紹介をきっかけに、この講座を知りました。
4月から静岡のあさはた緑地で働かせていただくにあたり、地域の人たちと関わっていくことは大切だと思っていましたし、よりよい緑地公園にしていくために地域の方々と共に考えていきたかったので、参加を決めました。
また、転職を機にこれからの働き方を考えていて、この講座で色々な働き方をされている方々とお話できるのも魅力に感じていました。
【岩田さん】
SNSでタイトルをみた時に、自分のための講座だと思いましたね。
自分のやっていることに肩書きをつけるとしたらコーディネーターかなと思い、「パラレルコミュニティコーディネーター」という肩書きを名乗っています。しかし、実際プロのコーディネーターの方が何をしているのか、コーディネーターとして働く上で何が大事なのか、もっと知識を身につけたいと思いました。
また、現在フリーランスで活動しており、コーディネーターとしての5年後、10年後のキャリアをどう作っていけばいいのかを考えていたところだったので、今後のキャリアビジョンも描いていきたいです。
・学びと実践の行き来
Q.印象に残っている学び、またそれが現場にどう活きていますか?
【和泉さん】
「同じ場を共にする」経験が、協働につながる関係性を築くトリガーになるかもしれないという話を聞いたときは、ハッとさせられました。
グループワークの時間で、受講生の一人の方が「地域の運動会で、全然仲良くなかった地域のおじさんと、一日一緒に頑張って競技に取り組んでいたら、よくわからないけど仲良くなった」という話をグループワークでされていて。シンプルに同じ場や同じ苦楽を共にすることが関係性を築く上で大事だと気づきました。
これまでは、コーディネイトをしていく上で、お互いの価値観を対話を通して分かり合えるかどうかが大事だと思い、そこに固執しがちで苦しさがありましたが、この気づきを経て一回の対話で全てを分かり合おうとしなくなり、心も楽になりました。
授業について先生と話す時に、いきなり本質にたどり着こうとするのではなくて、とりあえず「今日どうでしたかね~」と感覚を共有することをまずは五回積み重ねようと意識するようになりました。先生達とのコミュニケーションを重ねていく中で、今ではだいぶざっくばらんに話せる関係になってきたと思います。
【村松さん】
自分にとって、ひとつキーワードになるのが「訊く力」です。コーディネーターにとって、相手の想いや考えを引き出す質問力は必要な力であり、今の自分に足りていない部分だと思いました。
この気づきは、組織内でのすり合わせをしていく際にものすごく役立っていると感じます。以前より、本音を話せるようになったり、自分の想いをそれぞれが伝えられるようになりました。スタッフ間で、共通認識や仕事に対してのミッション・想いがまだまだ共有出来ていないと思う場面もあるので、相手のことを引き出すというのを念頭に置いて対話していきたいです。スタッフ間で訊き方の演習をして、いずれ地域の方と対話する際にもうまく聴いていけたらいいなと思っています。
【岩田さん】
初回のオリエンテーションでの”コーディネーターってなんだろう”という問いから、コーディネーターとコミュニティマネージャーの違いの話になり、今まで自分は「コミュニティマネージャー」だったんだなと気づいたことが、自分にとってこの講座を受けるにあたってのスイッチが入って、人生の階段を一つ上がった瞬間だったような気がしています。
コミュニティマネージャーは、マネージするコミュニティの範囲が決まっていると思うのですが、コーディネーターはそこの垣根がない。じゃあコーディネーターとしてどんな関係を作っていきたいのか、何を調整していきたいかをじっくり考えることが出来ました。
最近は、日々の仕事や人との関係性において自分の見方が変わってきているように感じます。以前は、違いに敏感でイライラしてしまっていたのですが、その時その時はイラっとしても、「そっか違うよね~」とか「当たり前だよね」とか、自分の思い込みやこだわりが分裂や分断を生んでしまうんだなと後から考えられるようになりました。
・今後の目標
Q.みなさんのこれからの目標・挑戦したいことについて教えてください。
【和泉さん】
地域おこし協力隊は任期が最大3年なんですが、山口県で高校・高校生の探究のことにおいて、最初に相談がくる存在になるというのをこの3年の自分の中の目標として掲げています。それと共に今年度の終わりか来年度のはじめくらいにかけて、山口の探究的な学びの土壌を作るために仲間たちで法人立ち上げようという話になっていて。そこに向けて事業化していくことも、自分の中でホットな目指しどころかなと思っています。
【村松さん】
公園の管理者としては、様々な人や団体が公園に関わっている中でコーディネーターとしての役割を果たして、みんなを巻き込んだ状態でより良い公園を創っていきたいです。静岡に来た理由としては、もう一つの地域で何かやりたいという想いがあって、それらをコーディネーターの学校を通して確立させていきたいという目標があります。
自分のコーディネーター像をしっかり描けるようになり、それをどう活かしていくかというところまで考えていけたらいいなと思っております。
【岩田さん】
コミュニティの力で一人一人が自分の人生の主人公でいられる社会を作れたらいいなと思っています。弱さも含めた自分らしさとか人間らしさとかを大事にするようなつながりを作ったりとか、そこで人がつながって何かが出来るエコシステムを作れるようなコーディネーターになりたいですね。将来的に泊まれるコワーキングスペースや、いろんな人と住むシェアハウスのようなco-livingの場所で、そのエコシステムを運営するハコがつくれたら更に面白いだろうなと思っていて、今後はそこを目指していきたいです。
「入門編」の開講
Q.今回の講座と入門編にどんな違いがありますか?
【土肥さん】
コーディネーターの学校は、全10回のプログラムで構成されており、ただ聞くだけではなく、実践的なワークも交えての講座であることから、ハードルが高い印象を持つ人もいると思います。そもそも講座の受講対象も、「1年以内にコーディネーターとして働きたい意志がある、もしくは、既にコーディネーター的な仕事や活動を行なっている」としており、実践に結びつけることに重きをおいた講座になっています。
一方で、今回の入門編は、コーディネーターの仕事に興味がある方を対象にしており、全3回のプログラムです。コーディネーターとして働く意思のある方も、そうでない方も、「コーディネーターってなにやってるんだろう?どんな役割なんだろう?」が体型的に学べる講座になっています。
これからコーディネーターを目指すあなたへ
【土肥さん】
コーディネーターの学校入門編は、気軽に参加することができる初級プログラムです。これからの時代に欠かせない存在である「コーディネーター」について、一度は学んでみても損はないと思います!
「コーディネーターの学校 入門編」詳細について
日時:7月1日(木)、7月8日(木)、7月15日(木)いずれも19:00-21:00
回数:全3回
料金:9,000円(税込)
定員:30名(先着順)
講師:林篤志(NCLファウンダー)、白水雄治(NCL理事/クリエイティブディレクター)、仁志出憲聖(株式会社ガクトラボ 代表取締役)、森田優子(NCL弘前 チーフコーディネーター)、石山紗希(NCL弘前 コーディネーター)
受講条件:
・コーディネーターの活動や働き方に興味がある人
・NCLコーディネーターとして働くことに関心がある人
・zoomを利用できる環境がある
申し込み:Peatixページから
*締め切り 6月30日(水)
第1回目 7月1日(木) コーディネーターへの招待状
ゲスト:林篤志(Next Commons Lab ファウンダー)
コーディネーターとはなにか?なぜいまの時代に求められているのか?について、NCLファウンダー林篤志が語ります。
第2回目 7月8日(木) コーディネーターって楽しいの?儲かるの?
ゲスト:仁志出憲聖(株式会社ガクトラボ 代表取締役)
石川県金沢市を中心に学生と地域を繋ぐコーディネートをされている株式会社ガクトラボの仁志出憲聖さんをお招きし、コーディネータとしての働きがいやマネタイズなどについて伺っていきます。
第3回目 7月15日(木)NCLコーディネーターのリアル
ゲスト:白水雄治(NCL理事/クリエイティブディレクター)、森田優子(NCL弘前 チーフコーディネーター)、石山紗希(NCL弘前 コーディネーター)
NCL理事の白水が聴き手となり、NCLで実際にコーディネーターとして働く森田、石山をゲストに、NCLコーディネーターの日常の仕事ぶりなどについて話していきます。