社会課題を生み出さない、「サステナブル・イノベーション」とは何か?|Xゼミレポート#2
こんにちは。Sustainable Innovation Lab 事務局の高田です。本業で報道に関わる傍ら、プロボノとしてSILで活動しています。Sustainable Innovation Labの月1勉強会「Xゼミ」の一部をレポートします。
前回、Xゼミはキックオフを行い、参加者の皆さんが問題意識を共有しあい、ゼミ全体のアイスブレーク、学びへの準備運動を行いました。今回は、サステナブル・イノベーションの伝道師で仕掛け人、大室悦賀(おおむろのぶよし)さんが講師として登場!社会課題を生み出さないイノベーションについて、お話を伺いました。
社会課題にフォーカスすればするほど社会課題は解決しない
大室さんは企業や行政で働いたあと「なぜ会社や組織は存在しているのだろう」と考えはじめて大学に戻りました。NPOの研究をするなかで、NPOや行政、会社など、単独では社会問題を解決できないと考えるようになったそうです。
大室「社会課題にフォーカスすればするほど社会課題が解決しないことに気づきました。私たちはよくものごとを分けて捉えようとしますが、分けて捉えることで発想が見えなくなるんです。一見わかりやすくなるが、本質が別れてしまうんです。
社会課題をどうしよう、じゃなく、社会課題そのものを生まないようなシステムとは何か、と考えるとイノベーションのチャンスが生まれてきます。イノベーターの研究から見えてきたのは、分析をせず、感覚的でもなんでもいいから捉えること。わからないもののなかにチャンスがあります。非常にあいまいなまま、全体を捉えて、そのあとで一回分ける。その循環を繰り返すんです」
サステナブル・イノベーションを創出するために
サステナブル・イノベーションとは、社会の持続可能な発展(社会問題を創出しない)と、企業の持続可能な発展(イノベーション)の両方を実現していく製品やサービス、あるいはその仕組みの創造と事業を確立すること、だと大室さんから紹介されました。
大室「いかにいいビジネスを地域の中でたくさん生んでいけるか?そして、社会課題よりも、自分たちにとっていいビジネス(Sustainable entrepreneurship)かを問うことが大切!地域に力があればイノベーションが起きます」
社会課題を生み出さない、サステナブル・イノベーションのためには、分析をせず、感覚的でもなんでもいいから捉えることが大事だと大室さんは語ります。非常にあいまいなまま、全体を捉えて、そのあとで一回分ける。その循環を繰り返す。そのために、大室さんはネガティブ・ケイパビリティの重要性を強調します。
大室「つまり、わからないことをわからないまま保持する力です。これがイノベーションにはめちゃくちゃ大切だと、近年言われています。実際には、多くのイノベーションのための試みはあいまいさを許容しない二元論的になっており、失敗しています」
こうしたあいまいさを許容するということについて、大室さんは様々な考え方を共有してくださいました。
日常の過ごし方を変え、アウェアネスを得る
筆者は普段、メディアで働いており、誰が見てもわかるように映像や文章を編集しています。今回の講義は、自分のアイデンティティを崩壊させにかかる、「分けて捉えることで見えなくなる」という不穏なことばから始まりましたが、講義から数日たった今、楽しみが増えたように感じています。
私たちの脳は、入っている情報のごく一部しか「見ない」「聞かない」「考えない」ようにセレクションしていますよね。でも、要不要を考えないようにしてぼーっと見渡してみると、部屋の冷蔵庫の立体感がいきなりあがったり、近所にあるのに存在に気づかなかった建物に気づいたりします。
これを、抽象的なこと、つまり人間関係や社会問題にも応用していくと、曖昧なまま受け止めることが上達し、どこかでイノベーションのジャンプが起きるのかなと、自分の発展に期待をしています。「毎日ワクワクした瞬間、楽しかった瞬間を5つ書き出す」などの宿題も出たので、まずはそれを実践していこうと思います。
次回のXゼミは、新しい社会OSの仕組みについてのディスカッションの回です。フェロー の上田祐司(株式会社ガイアックス代表執行役社長)さんと小川さやか(文化人類学者)さんをゲストにお迎えします。お楽しみに。
SIL導入説明会開催中
Suatainable Innovation Labでは、随時参画企業や自治体を募集しています。よろしければぜひ導入説明会にご参加ください。
この記事を書いた人
Writer:高田彩子 / SIL事務局
Editer:モリジュンヤ / 株式会社インクワイア
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