仕事のやり取りやお金を借りるときの民法の契約の効力|お金を借りるための教科書№4
本業であっても副業であっても、仕事の受注・発注には契約が重要です。
民法による契約の形態はいくつかあります。
民法で記載されている「契約」とは?
契約とは、⼀定の権利・義務(債権・債務)の関係を発⽣、変更、消滅させる目的で⾏われる、相対する2⼈以上の当事者による意思表⽰(合意)です。
契約は「法律⾏為」です。
債権者と債務者の関係
例えば車を売たい人と買いたい人がいるとします。2人の関係は次のとおり。
債権者(車を売りたいA)の権利は代金請求権です。そして債務者(車を買いたいB)は代金としてお金を支払う義務を負います。
契約の権利・義務の話になると、お金を払わない場合の債務不履行の方の是非の話題に偏りがちですが、代金を支払う義務のある(車を買いたいB)の債務者も債権者になりえます。
(車を買いたいB)は引渡請求権があり、債権者です。そして(車を売りたいA)は車を引き渡す義務を負います。
つまり、契約とは双方に権利義務が発生するということです。
仕事を受注するときは代金請求権を持つために契約しましょう
以前にこんな話を聞きました。
個人事業主の方が、SNSでWEBコンテンツ作成の仕事の依頼を契約せずに受け、納品したがなかなか代金をもらえなかった
という話です。仕事が少ない個人事業主や副業をしている方は、仕事をもらえることを優先して、契約については相手の流れのままにした結果、契約を交わさず仕事を履行する方も多いようです。
仕事を発注する人、仕事を受注する人の契約上の立場に優越はありません。たとえ仕事を発注する人が、有名であってもお金持ちであっても、それによって契約をないがしろにする必要はありません。
それぞれの立場で権利と義務をはっきりさせ、契約に基づいて履行することが仕事では重要です。
契約の成立後は一方からの変更は原則できない
契約には拘束⼒があります。契約成⽴後は、原則として⼀⽅から契約内容の変更や解除ができません。
なので、契約はとても慎重におこなう必要があります。
契約をして途中で仕事を投げ出したり、代金を支払わなかったとき等、債務不履⾏による契約違反があった場合には、債務者は損害賠償責任など法的責任を負います。
債権者は、裁判⼿続等を経て、法的に履⾏を強制することができます。
信用のある相手と契約をするには
債権者は、債務者に債務不履行があれば、裁判等で契約の履行を求めることができますが、個人事業主や副業の方は受注金額が数千円~程度の金額の仕事を受注することも多いと思います。
その場合、債権の権利があってもわざわざ裁判をして契約の履行を求めるのは、時間と労力のロスが大きすぎます。
なので、契約の前にまずは信用のある相手とのやりとりができることを重視する必要があります。
最近は副業をされる方が増えています。その場合、個人間同士の契約をするなら、個人間の仕事が探せるマッチングサイトを利用するのがおすすめです。
副業におすすめの仕事マッチングサイト
ランサーズ
クラウドワークス
どちらともクラウドソーシングで有名なサイトです。筆者も利用したことがあります。
マッチングサイトであれば、双方の立場に応じて、債務不履行がないように、システムが用意されています。
例えば、仕事を発注する人と仕事を受注する人がマッチングサイト上で契約するには、仕事を発注する人は、取り決めた代金をマッチングサイト会社に「仮払い」として支払います。
これによって、受注者は納品後に支払いの不履行をされることなく、マッチング会社から確実に代金を受け取ることができます。
マッチング会社は、利用手数料を引いた代金を受注者に支払います。
もし、何らかの理由で最終的に契約が履行されなかった場合は、仮払い代金は、発注者に返金されます。
返金の場合は、手数料は取られません。
このように、仕事のマッチングができるサイトがいくつかあります。仕事の履歴やレビューも見れますので、単なる個人間での取引より信用がある相手が見つかります。
お金を借りるときの契約
最後にお金を借りるときの契約について触れておきます。
民法では13種類の典型契約があります。
この中に「消費貸借契約」があります。これがお金を借りるときの契約です。
他の12種類の契約は、「諾成(だくせい)契約」といって、合意のみで成立します。
一方、消費貸借契約は唯一、「要物契約」です。要物契約とは、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約して相手から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生じます。(民法第587条)
「消費」とついているのは、お金を借りる場合、製造番号がある紙幣、物理的に存在する世の中に1つの硬貨を受け取り、一旦消費します。返還する際は、受け取ったお金そのものは消費されているので、全く同じ物ではありません。同じ金額の紙幣や硬貨を返還します。
なので、厳密にいうと一旦消費されるので全く同じ物が返還されるのではなく、種類、品質及び数量が同じものを返還することで効力があるので消費貸借とよばれます。
カードローンは諾成契約です。
お金を借りる時の消費貸借契約は「要物契約」というお話しをしましたが、一般的なカードローンは「諾成的消費貸借」です。
要物契約の消費貸借との違いは、「書面(又は電磁的記録)でする消費貸借」という点です。
当事者の⼀⽅が⾦銭その他の物を引き渡すことを約し、相⼿⽅がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効⼒を⽣じます(諾成的消費貸借。民法587条の2第1項・4項)。
書面で返還の約束をすることで、契約時に必ず物(この場合はお金)を受け取る必要はありません。つまり、カードローンは契約をしても、契約と同時にお金を受け取る必要はなく、(借りる義務が生じない)契約後にお金を借りたいときにいつでも借りられる利便性があります。
また、返済義務についてはいつでも任意返済ができます。カードローンでお金を借りると、毎月決まった日に返済する義務を契約で交わしますが、お金を借りる必要がなくなったときは、返済日でなくてもすぐに返済ができる任意返済もできる契約がほとんどです。
1日でも早く返済できれば、利息をできるだけ減らすこともできます。
カードローンでお金を借りるときは、利息を減らすことを重視すれば、お金の節約につながります。
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