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フォロワーを育てるセミナーはするもんじゃない

「もうセミナーに来ないでください」

僕はこれまでのセミナー講師人生の中で、何度かそのようなことを言ったことがある。

その理由は、その参加者がセミナーに依存するようになったからだ。


今から9年程前、僕はセミナービジネス実践会という勉強会を開催していた。

その勉強会では、フロントセミナーをつくる、ということを毎回やっていて、既にセミナーをやっている人が多く参加していたんだ。

その中でひとり、これからセミナーをすることを考えている男性がいて、毎回、勉強会に来ていた。

すごく熱心に僕の講義を聞き、熱心にノートをとる。

しかし、いっこうに実践に移さない。

半年くらい毎月かかさず勉強会に参加しているが、セミナーをする気配すらない。

勉強会が終わった後は、いつも懇親会をしていたのだけど、そこで他のメンバーから

「いつセミナーやるの?」

と聞かれて、いつもモゴモゴと言い逃れをしていた。

正直なところ、僕は、その男性がセミナーをしようがしまいがどっちでも良かった。

だって、セミナーをするしないは男性の自由だから。

でも、ある時、もう来てほしくないと伝えたんだ。

なぜなら、彼は僕や勉強会に依存していることに気が付いたからだ。


その勉強会では、フロントセミナーの作り方を学び、10分のミニセミナーを作成し、最期に発表するということをやっていた。

その男性は、毎月参加しているので、プレゼンテーションがうまくなり、他の参加者の評価も上がっていった。

しかし、特にセミナーをするつもりはない。

彼は、褒められるために勉強会に参加していることに気が付いたんだ。

セミナー依存、というかコミュニティ依存の状態になっていることに気が付いた。

これは僕も経験があるけど、自分では気づかない間にコミュニティ依存になっていることってのはよくある。

普段の日常生活で、褒められたり、認められたりしないから、みんなが褒めてくれるセミナーやコミュニティが居心地よくて、そのコミュニティに居ついてしまうんだ。

コミュニティ依存の怖いところは、人格の分離が起きてしまう可能性があること。

コミュニティの中と外で違う人格が産まれ、そのギャップに苦しむことがある。

僕自身がそれを体験したし、他にもそういう人を見てきたので、勉強会に毎月参加しているその男性もいずれそうなってしまうかもしれない。

ということで、心を鬼にして、突き放すことにしたんだ。

「もう参加しないで」

その後、男性は勉強会に参加しなくなった。


ビジネスとして考えるのであれば、参加者をセミナーやコミュニティに依存させ、フォロワーにしてしまった方がお金はもうかる。

だから、参加者をフォロワーにさせる仕掛けを作って、お金をたくさん落とさせようと画策するセミナー講師は多い。

フォロワーが多い方がお金は入ってくるし、チヤホヤしてもらえて、気分良くなれるからね。

でもそれって、リーダーのすることかな? って思うんだ。

リーダーって、フォロワーが多い人のことではないと思うんだよね。

僕のメンターであるピーター・セージは、

『真のリーダーはリーダーを育てる』

って言ってるんだけど、まさにその通りだなと。

フォロワーを育てれば、依存する人が増える。

リーダーを育てれば、自立する人が増える。

どっちがリーダーの姿にふさわしいかというと、もう一目瞭然だよね。


別にセミナー講師の全員が真のリーダーを目指しているわけではないと思う。

でもね、本当に参加者の幸せを願うなら、世界の幸せを願うなら、参加者をフォロワーにするようなセミナーはするもんじゃない。

リーダーを育てるセミナーをした方が良い。

そして、そのためには、時には心を鬼にして、参加者を突き放すことも大事なんじゃないかと僕は思うんだ。

確かにフォロワーはお金になる。

でも、セミナーを通じて手に入れたい結果は、お金なのかな?

少なくとも僕は、真のリーダーになりたいし、世界をもっと良くしたいと思っているから、リーダーを育てるセミナーをしている。

実際に育ったかどうかは別として、フォロワーにしないということを心がけてきたい、これからもそうしていくよ。

この世界にリーダーが増えた方が、楽しくなるからね。

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