私の映画鑑賞術~インターナショナル編~
映画館で映画を観ると、笑い声やすすり泣く音、拍手、途中退出など、作品に対する観客のリアクションが作品を楽しむ助けになります。
私は渋谷で『8人の女たち』(フランソワ・オゾン)を観た後、銀座で同じ映画を観たことがあります。
この作品の場合は銀座のマダム達と観た方が確実におもしろい。家族のいざこざの話で、より笑いが起きたのは銀座でした。
ニューヨーク、フィラデルフィア、ロンドン、タイなどで映画館に行きましたが、海外の映画館の方が日本の映画館より観客のリアクションが大きいことに気がつきます。
そして、その反応から得られる気付きがあります。
今回、ニューヨーク出張中に観たのは次の2本です。
『リトルマーメイド』(2023)
私が観た回はアフリカ系の若い女性で満席でした。
彼女たちの反応はダイレクトで、セリフに爆笑し、大声でツッコミを入れ、劇中歌の後には拍手が起きました。
アフリカ系のハリー・ベイリーが主役のアリエルを演じたことで話題になった今作ですが、
ポリティカルコレクトネス(ポリコレ)の本来目指すところである「平等」や「寛容」が、
それを強調するばかりに「不平等」「非寛容」を際立たせる結果になるという逆転をしばしば目にします。
リアクションの薄い日本で観たらそのあたりが気になったかもしれませんが、ニューヨークで観ることで笑い飛ばすことができました。
「考えるな、感じろ」っていうやつです。
『恋する惑星』(1994)
香港映画『恋する惑星』(ウォン・カーウァイ)をメトログラフというおしゃれな映画館で観ました。
中国語の映画を英語字幕で観たのですが、これまでに何度も観た時より深く、楽しく、作品を堪能できました。
夜遅く、おしゃれな映画館に、古い香港映画をわざわざ観に行く人は、(たぶん)その映画が好きで来ている人でしょう。
笑いが起きるシーンはその手前から笑い声が漏れ、フェイ・ウォンの ”Dreams” が流れるのを待ってそわそわします。
そういう観客の反応は作品を楽しむためのガイドになり、また、感情を共有することができます。
初めて行った映画館を、私はまるで同窓会のように感じました。
映画を介せば言語も文化も超えて誰とも友達に(なったような気に)なれます。
番外編:『PEE MAK ~愛しのゴースト』(2013)
2013年にバンコクで観た映画です。タイに伝わる怪談を基にしたホラー・コメディですが、タイ語の映画で字幕もなかったので内容はマッタク理解できませんでした。
が、観客のリアクションが大爆笑に次ぐ大爆笑と拍手喝采だったので、なんかいい映画でいい国だなというよい印象だけが残っています。
それと、上映前に国歌と共に「国王に感謝しましょう」みたいなVTRが放映され、観客が全員起立して国王に敬意を表していたのも忘れられません。
その時観たVTRがYouTubeにアップロードされていました。↓↓↓
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