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「後件肯定」で遊びたい!

批判的思考オタクらしく、論証における誤謬を紹介します。今回は「後件肯定」です。どういったものかは、実例を見たいただきたいです。

前提1:M-1で優勝した人間は、1月のテレビ出演の機会が増える
前提2:セクシー女優Aは1月でテレビ出演の機会が増えた
結論:したがって、セクシー女優AはM-1に優勝している

真面目な推論をするつもりが、論外な結論に着地してしまいました。当然ながら、セクシー女優Aがテレビ出演を増やしたのは、M-1優勝がきっかけではないでしょう。

つまり、後件肯定とは「理由はそれ以外にもあるでしょ」とツッコまれるだけで崩壊してしまうような推論を作成してしまうことです。

かなり極端な例を紹介しましたが、この誤謬割と厄介です。

あなたも無意識に引っかかっているかも?

前提1:もし人狼なら、議論では口数が減る
前提2:彼はこの議論でほとんどしゃべっていない
結論:したがって、彼は人狼だ

この推論に関しては、そもそもの前提1がかなり主観的であるという点も指摘できますが、そちらは一旦無視します。人狼を一度でも遊んだことがあれば、この結論が正しくないことはわかるはずです。もちろん、黙っている人間が本当に人狼である可能性はゼロではありませんが。

役職があると、何を喋っていいのかわからなくなります。

霊媒師と言い渡されたとき、本当に何を喋ればいいのかわからなかった。黙ってたら殺されたのを今でもはっきりと覚えているぞ。みんな、僕あのときのこと一生忘れないから。

このように罪を擦り付けられたら、「黙っている理由が人狼に紐づく理由は?」と切り返せばいい。役職者だから目立ちたくないだけだと発言しその場をやりすごせる。


後件肯定を用いた主張をもう一つ。

「これが自殺のはずがない。遺書がないからだ。これは他殺だ。」

この主張を、先ほどの形式で書き直してみます。

前提1:もし他殺なら、遺書は書けない
前提2:遺書がない
結論:したがって、彼は殺された

遺書が存在しないだけで、他殺と決めつけるのは短絡的でしょう。遺書を書かずに自殺したのかもしれません。また、ペーパーレス化推進の現代なので、遺言は電子形式で残しているのかも。


後件肯定には、物事の発生原因が一つじゃないと考えさせるきっかけを与えてくれます。まさにクリティカルシンキング。いい誤謬ですね(?)。

X:https://x.com/MajinNewType

もはやユーモアの技術だこれ

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魔人の思考

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