MindaRyn 2ndアルバム「Across Miles」発売記念インタビュー(後編) 「自身の“居場所”を求めて」
タイ出身のアニソンシンガーMindaRyn(マイダリン)さんが、待望の2ndアルバム「Across Miles」を8月21日にリリース。それにちなんで前後編でお届けする今回のインタビューでは、同作に到達するまでの彼女の軌跡や、新曲に込めた思いなどを聞いている。後編となる本稿では、アルバムのために制作された新曲について、そして8月末に開催される「Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-」への出演や今後の目標に関して語っていただきました。
いっしょにコール&レスポンスしてほしい「Remaining Story」
──アルバムのために制作された新曲「searchlight」「Remaining Story」についても話を聞かせてください。まずは「searchlight」から。
MindaRyn 「searchlight」は私のダークサイドを表現した一曲です。夢を追いかけることはいつもハッピーというわけではなくて、時には悩んだり迷ってしまうこともあると思うんですけど、そういう気持ちをリスナーの皆さんと共有することができる曲をつくりたかったんです。私はデビューしてからもうすぐ4年になりますが、時々「私、どうしてここ(日本)に来たんだろう?」と悩んでしまうこともあって。私の曲を聴いてくれる皆さんの中には、私と同じように悩みを抱えている人も多いと思います。だから、この曲ではそういう人たちに向けて「私はあなたの気持ちと同じものをもってると思うし、いっしょに頑張っていきましょう。いっしょに自分だけの光(=light)を探しにいきましょう」と伝えたかったんです。
──〈Waiting on the sun to rise〉というフレーズからは、そういうモヤモヤした気持ちが晴れることを待っているという思いが伝わりました。もうひとつの「Remaining Story」はいかがでしょう。
MindaRyn 「Remaining Story」はテンポの速い曲なんですけど、ストーリーは結構暗いんです。私はたまに「自分の居場所はどこにあるんだろう?」と不安になってしまうことがあるんですけど、そういうときは「見つかるかわからないけど、あとで後悔しないようにできることを全力で頑張ろう」と思うようにしていて。そういう「たとえ自分が死んでもすてきな物語はそこに残っている」っていう気持ちを込めた曲になっています。
──今のMindaRynさんにとって、自分の居場所はどこですか?
MindaRyn 私はタイ人で、今は日本で活動していますけど、まだここ(日本)を100%ホームだと言い切ることはできなくて。でも、タイにいるときも自分の好きなものは周りの人と結構違ったから、「ここ(タイ)は自分の場所じゃないかもな」という気持ちがありました。なので「今のMindaRynは自分の居場所を頑張って探すためにサバイブしている」という気持ちでこの曲を歌いました。
──この曲をライブで歌ったら、ファンの皆さんが集まっているその場所こそがホームになりそうですね。
MindaRyn 確かに。それはすてきですね! ライブのたびに新しいホームがたくさん生まれていきそうな気がします。なので、この曲を歌うときはちゃんと皆さんの目を見ながら、私の気持ちを伝えられたらいいなと思います。あと、この曲はコール&レスポンスのパートがたくさんあるので、いっしょに歌ってくれたらうれしいです。
──この2曲のあとに「Miracle Soup」があるという流れもすてきです。
MindaRyn 悩みやダークサイドを歌った曲のあとに「Miracle Soup」が来ると、「その大変なことも、乗り越えられたら全部いい思い出になるんだよ」という思いがより強くなりますもんね。ただ、この2曲みたいに私の気持ちをストレートに出した曲はこれが初めてなので、ファンの皆さんがどう受け取ってくれるのかも気になります。もし「こんなマイちゃんももっと聴いてみたい」という声が多かったら、これからもこういうタイプの曲にトライしてみたいと思います。
──アルバムのラストナンバーとして用意された「Void (Japanese Version)」はタイの人気楽曲「Sing Kaung」の日本語カバーですが、なぜ日本語でカバーしようと思ったんですか?
MindaRyn 「Sing Kaung」はKlearというグループが2015年にリリースし、大ヒットしたラブソングで、毎年バレンタインの時期になるとたくさん流れているんです。MindaRynというアーティストはYouTubeでアニソンカバーを発表したところから始まったので、これまでリリースしたシングルには毎回有名なアニソンの英語カバーを収録してきました。今回の2ndアルバムでは何か特別なことをやろうと考えたときに、日本の曲を英訳するんじゃなくて、自分の国の曲を日本の皆さんに伝えたいなと思って、日本語で歌ってみようと思ったんです。それで、タイで大人気のこの曲を選びました。オリジナルの歌詞は愛する人に捨てられた女の子が新たな出会いの中でもう一度愛を受け取り自分を取り戻すというストーリーで、その女の子の感謝の気持ちが込められた内容なので、「こんな私をファンの皆さんが愛してくれる」という今の私ともリンクしていると思って。そういう私の想いが伝わるような歌詞にしていただきました。
──さまざまなアニメのテーマソングに加え、「機動戦士ガンダム」や「ウルトラマン」といった日本の国民的人気作品のテーマソングも収録された今回のアルバムは非常に充実した内容で、シンガーとしても「My Journey」からの成長がしっかり伝わる仕上がりだと思います。
MindaRyn ありがとうございます。まずは2ndアルバムまでたどり着くことができて、安心感とうれしい気持ちでいっぱいです。聴いてくれている皆さんもいろんな場所へ連れていけるようなアルバムにしたかったので、今まで知らなかったMindaRynの一面も感じてもらいたいですし、1stアルバムからどれだけ成長できたかをこのアルバムを通して感じ取ってもらえたらうれしいです。
いろんな場所で歌い、アニソンを広げていきたい
──アルバムリリース後の8月30日(金)には、「Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-」への出演も控えています。
MindaRyn 「アニサマ」出演は自分にとってとても大きな夢だったので、本当に光栄です。去年は会場外のステージに出演させてもらえて、そのときも本当にうれしかったですし、「アニサマ」の一部になれて本当に感動しました。それだけでも幸せなのに、こんなにも早くメインステージに出演させていただくことになるなんて想像もしていなかったですし、もう倒れちゃうくらいうれしいです(笑)。
──今年の「アニサマ」で初めてMindaRynさんのステージを見るという方も多いと思います。
MindaRyn MindaRynのことを知らない方はまだまだいっぱいいると思うし、しかもあんなにも大勢のアニソンファンの皆さんの前で歌うことも初めてなので、まるでデビューするときのような気持ちです。まずは「MindaRynです、タイ人です」ってことだけでも覚えて帰ってもらいたいし、「アニメ大好きです!!」という熱い気持ちを伝えたいなと思います。
──ではアーティストとして今後かなえたい夢や、ここからの目標を教えてください。
MindaRyn 今までいろんな場所でライブをしてきましたが、そのほとんどがアニメイベントやアニメコンベンションでのステージだったので、次は自分のワンマンツアーを日本のいろんな場所でやりたいです。
──そういえば、ワンマンライブはまだ東京でしか行なっていないですしね。
MindaRyn そうなんです。日本にもまだ行ったことがない場所はたくさんありますし、海外も行ったことのない国がたくさんあるので、そういう初めての場所に行ってアニソンを歌うことで、もっとアニソンのすばらしさを伝えていきたいです。
【取材・文:西廣智一】
MindaRyn 「Across Miles」
発売:ランティス
発売・販売元:バンダイナムコミュージックライブ
価格:初回限定盤 5280円(税込)/通常盤 3300円(税込)
リンク:MindaRyn公式サイト https://mindaryn.com/
公式X(Twitter) https://x.com/mindaryn_