MindaRyn 2ndアルバム「Across Miles」発売記念インタビュー(前編) 「タイトルには自分の名前の“マイ”も“smile”も含まれています!」
タイ出身のアニソンシンガーMindaRyn(マイダリン)さんが、待望の2ndアルバム「Across Miles」を8月21日にリリース! 2020年のデビュー以降、さまざまなアニソンを歌唱してきた彼女ですが、本作には「転生したらスライムだった件」シリーズをはじめとする人気アニメのテーマソングに加え、「機動戦士ガンダム アーセナルベース UNITRIBE」「ウルトラマンブレーザー」など人気作品のテーマソングも収録。さらに、彼女の新たな側面を伝える新曲も用意されており、充実の一枚に仕上がっています。
そんなMindaRynさんに新譜をテーマにインタビューを実施。前編にあたる本稿では、1stアルバム「My Journey」から現在までの活動を振り返りつつ、2ndアルバム「Across Miles」制作へ向かう過程などをうかがいました。
さまざまな場所へ行った経験を生かして
──1stアルバム「My Journey」のリリースが2022年12月のこと。そこからしばらく時間が経ちましたが、外から見ていると1stアルバム以降の活動はすごく充実しているように映ります。
MindaRyn アニメタイアップ曲もたくさん歌わせていただいて、さらに特撮ドラマのエンディングテーマまで歌わせていただいてと、新しいことにいっぱいチャレンジした期間でした。あと、日本のいろんな場所で歌いましたし、海外にもたくさん行きました。そういう経験を通して、自分自身人間として成長できたなと感じています。
──実際にどういうところがご自身のなかで変わったな、成長したなと感じますか?
MindaRyn 海外にたくさん行かせてもらったおかげで、いろんな人たちやいろんな文化と出会って、世界は私が思っていた以上に広いんだなと感じることができて。文化が違う国に行くと最初は理解しにくいかもしれないけど、みんなの生活、みんなの笑顔、みんなの幸せを目にすることで、普通に幸せに生きているんだ、違いはいいとか悪いとかじゃなくてただ違うというだけと、受け入れられるようになりました。それによって、人と世界をよりリスペクトできるようになった気がします。
──ライブに関しても、昨年9月に初ワンマンライブを実施。今年2月にはアコースティックによるソロライブも実現しました。
MindaRyn 1stワンマンライブは本当に緊張しましたし、失敗したこともたくさんありましたけど、全てが忘れられない経験になりました。なので、終わったあとも「ライブっていいな、また早くみんなに会いたいな」という気持ちがどんどん大きくなって、次のアコースティックライブが決まったんです。弾き語りライブだったらみんなと楽しいホームパーティみたいな空気がつくれるんじゃないかと思って、そういうコンセプトのアコースティックライブが生まれました。
──過去のインタビューを拝見すると、最初はYouTubeを中心に活動していたから人前で歌うことが大変だったとおっしゃっていましたが、その悩みは徐々に解消されているんでしょうか?
MindaRyn それはまだ難しくて(笑)。私はいつも、バックステージからステージに上がるときがいちばん緊張するんです。でも、最近はお客さんから自信やパワーをもらって、その緊張がどんどん薄まっているような気がします。特に弾き語りはステージに自分だけなのでバンドのときより緊張するけど、なるべく緊張しないようにステージ上を自分の部屋と似たセットにしています。ふだん使っている私物をステージに置いたりして、リラックスできるようにしているんです。あと、お客さんとの距離も近いですし、皆さんの目を見ながら歌っていると、どんな気持ちで聴いているのかも何となく理解できる気がするんです。
──そういった充実した期間を経て、2ndアルバム制作へ向けて話が進んでいったかと思いますが、この2作目のアルバムをご自身はどんな内容にしたいと考えましたか?
MindaRyn 1stアルバム「My Journey」は私の旅が始まったというテーマでしたが、先ほども少しお話したとおり、この2ndアルバムまでの間に、いろんな場所に行かせてもらいました。最初は私がタイから日本に渡り、その後は東南アジア各国、アメリカや、サウジアラビアとか、私の音楽を通していろんな場所に行くことができました。そういう約2年の活動をそのまま表わしたのが、「Across Miles」というタイトルなんです。実は「Across Miles」には「smile」っていうことばも入っているし、自分の名前の呼び名の“マイ”も含まれているので、そこも私らしいのかなと思います。
──すごくMindaRynさんらしいタイトルだと思います。アルバムは「THIRD PARTY」から勢いよく始まり、「HIBANA」までの冒頭4曲で前作以上の攻めっぷりになっている。でも、5曲目「Fireworks」で流れが少し変わり、ダークさが際立つ新曲「searchlight」「Remaining Story」、牧歌的な「Miracle soup」と変化球が続き、終盤は「Way to go」「Shiny Girl」で再びギアを上げて、「Void (Japanese Version)」でドラマチックなエンディングを迎える。起承転結が際立つ構成がすごく気持ちよかったです。
MindaRyn うれしい! 今回はタイアップ曲が多かったので、実はアルバムの曲順を考えるのがすごく難しくて。タイアップ曲はアルバムのためにつくった曲ではないんですが、今言ってくださったような流れをつくっていくなかで、一曲一曲がもつ意味がシングルのときとはまた変わっていって。たとえば、最初の4曲は冒険のなかでいろんなことと戦っていく感じが表せたと思うし、途中で悩んだり道に迷ったりもするけど、そういう経験が全部「Miracle soup」になります。そして、最後の「Void」で応援してくれる皆さんに感謝の気持ちと伝える……全体としてそういう大きな意味をもたせることができたのかなと思います。
「Miracle soup」エンディングテーマならではのテイストに
──なるほど。今お話に上がった「Miracle soup」はTVアニメ「転生したらスライムだった件 第3期」第2弾エンディングテーマ。アルバムに先がけて先行配信されていますが、最初に聴いたときはびっくりしたんです。
MindaRyn それはどうしてですか?
──今までのMindaRynさんになかった、カントリーテイストの楽曲だったからです。MindaRynさんはこれまでも「転スラ」シリーズに2曲(「Like Flames」「Make Me Feel Better」)提供してきましたが、どちらもロック色が強かったじゃないですか。そういう意味では、この「Miracle soup」は新しい挑戦をしているなと思ったんです。
MindaRyn ありがとうございます。過去の2曲はオープニングテーマや映画の主題歌でしたが、今回はエンディングテーマということもあって、皆さんがアニメを見たあとに気持ちが落ち着くような、ちょっと余韻を残すテイストにしたくてこういうカントリーテイストの曲にしました。私はテイラー・スウィフトさんが好きなんですけど、初期のテイラーさんは「You Belong With Me」とかカントリー色が強かったじゃないですか。そういう意味では、自分にとってもこの曲調はすごく身近なものでした。
──ちょっと冒険のひと休み感が伝わる曲調で、エンディングにもぴったりだと思いました。歌詞に関してはいかがでしょう。アニメの物語とリンクする部分も多いかと思いますが、歌っていて強く響くフレーズだったり気持ちを込めやすかった歌詞はありましたか?
MindaRyn 〈別れのspice 出会いのsugar〉というフレーズが印象に残りました。出会いの幸せさを砂糖にたとえたり、別れの悲しさや寂しさをスパイスにたとえたり、そうやってダイレクトに表現しないところが素敵だなと。海外だと気持ちをストレートに伝えることが多いけど、日本のアニソンやJ-POPでは比喩を使って気持ちをボカすから、いろんな感じ方ができるんです。
──日本人らしい奥ゆかしさが、そういった表現に表われているんでしょうか。
MindaRyn そうかもしれませんね。あと、私は〈みんな同じ tu ru ru tu ru〉から始まる最後のサビも大好き。ダイナミックなアレンジもあって、歌っていると気持ちがどんどんあがっていくんです。なので、今後はこういうゆったりしたテンポでエモーショナルさを伝える楽曲にもどんどんチャレンジしてみたいです。
【取材・文:西廣智一】
MindaRyn 「Across Miles」
発売:ランティス
発売・販売元:バンダイナムコミュージックライブ
価格:初回限定盤 5280円(税込)/通常盤 3300円(税込)
リンク:MindaRyn公式サイト https://mindaryn.com/
公式X(Twitter) https://x.com/mindaryn_