【演奏曲紹介】風紋 / 保科洋
この曲は、1987年度吹奏楽コンクール課題曲として作曲されました。発表から40年近くたった今なお多くの人に愛され、演奏されている名作です。
静かな木管楽器の揺らぎからはじまり、時おり歯切れのよい金管楽器のサウンドを挟みながら冒頭部は収束します。
次いでティンパニの音色から快速部がはじまり、吹き抜けていく風とそれが残していく痕跡が伸びのある大きなフレーズで表現されます。
クライマックスでは、“偉大さ”とは異なる、風の“存在の大きさ”を感じさせ、吹き抜けた余韻を残し幕を閉じます。
曲名の『風紋』とは、“砂丘の表面などに風によってできた模様”のことだそうです。砂地形の表面にできた波状の起伏のことを指します。“砂紋”といった方が想像しやすいかもしれませんね。
枯山水の砂の波のようなものではなく、砂丘が波を打ってうねっているような姿を想像してみると良いでしょう。
しかしこの「風紋」という曲名について作曲者の保科氏は、
『曲名の「風紋」に特別な意味はありません。強いて言えば、前半の曲想のイメージのサラサラした表情によってかもし出される文様などのトータルした主観的印象ということでしょう』
とコメントしています。
では「風紋」とは何でしょうか。ここからは編集者個人の見解を紹介します。
この作品は「風」という自然界の存在をモチーフに描かれていますが、同じ自然界の存在でも「大地」「太陽」「海」のようなものとは似て非なる性質をもちます。
大地や太陽は目で見てその存在を感じることができ、我々はその偉大さを十分に知ることができます。一方で、「風」は目に見えるものではありません。同じところにとどまってくれるものでもありませんし、掴んで押さえておくことも難しいでしょう。
偉大な存在ではないと言いたいわけではありませんが、大地や海の偉大さ存在に対し「風」の存在はやや異なります。ならば「風」をどう表現すれば良いのでしょうか......
そのある種の答えがこの「風紋」なのではないでしょうか。皆さん一緒に、NEW-Sでその答えを見つけてみませんか?
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NEW-S Wind Ensemble
2025年1月11日(土)夜公演
西宮市民会館アミティ・ベイコムホールにて開催!
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E-mail : newswindensemble@gmail.com
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