PolymakerよりPLAフィラメントの新商品「PolyTerra」登場
Polymakerより新しいPLAフィラメント、PolyTerra が登場しました。
発売は2021年2月1日から。内容量は1kg。価格は税別2980円(税込み3278円)となっています。
PolymakerはPolyTerraについて、「バイオプラスチックをベースに新たに設計された次世代のPLAフィラメント」
としています。
低価格ながらPLAとしては非常に優れた耐衝撃性と伸びを持っていますが、さらに一般的なPLA以上の高い分解性とリサイクルされたボール紙製のフィラメントリールによりエコフレンドリーな製品となっています。
色についてはレギュラーカラーとして下記の10色が用意されています。
ナイトブラック、コットンホワイト、ロックグレー、オーシャンブルー、グラスグリーン、ラヴァレッド、ファイアオレンジ、ティール、イエロー、パープル。
他にもメタリックを含むカラーがオプションとして用意される予定とのことです。
購入先
現在はサンステラ運営のPolymaker公式ショップより購入可能となっています。
テクニカル情報&レビュー
発売前のサンプルを頂きましたので、以下使用した感想などを....
印刷前のフィラメントの表面はさらさらとしています。
比重1.31(通常1.2~1.25程度)となっており、かなりフィラーなどの添加材が多めに入っているようです。マットで美しい仕上がりには大量のフィラーによるもののようです。
今回サンプルで頂いたフィラメントの色はコットンホワイトですが、マットな感じは強力圧縮されたコットンという感じもします。
フィラメントを二つに折り曲げてみましたが、感触は細いコットン綿棒の軸という感じでしょうか?
柔軟性があり、パキっと折れることはなく、素手でちぎるためには逆方向に複数回完全に折り曲げる必要があります。
まずは0.15mmピッチ、速度80mm/s程度、1時間45分ほどで手早く3DBENCYを印刷してみました。
フィラメントの状態と変わらぬサラサラとしたマット感はそのまま出ています。反射が抑えられて造形品の形状確認がしやすいです。
マットなためレイヤーの目や吐出したライン同士の境界も気になりづらくなっています。
後加工性ですが、カッターナイフで削ってみるとPLAとしては柔らかく刃が入ります。紙やすり等で加工する場合も簡単に表面を均せるでしょう。
積層の目立たなさも余って後処理をするばあいでも手間は最小限で済むかもしれません。
大判な物をちゃんと印刷できるかどうかチェックという事で、Anycubicの4MaxProを使用して、印刷品質は直径18センチほどのロゴを印刷してみました。0.2mmピッチ、60mm/sで10時間ほどかかっています。
50cmほど離れるとほぼ積層感が分からない程の仕上がりになりました。
0.2mmピッチ、60~80mm/sの早めのスピードで印刷していますが融着も問題なく、レイヤーで破断する兆候は今のところ確認できません。
つづいて引張試験用のテストピースを印刷してみました。
両端がくっ付くまで手で曲げてみましたが、折れたりすることなく変形します。唐突な割れや破損が無く、穏やかなのは安心感があります。
フィラメント状態でも感じた伸びの良さはそのままです。伸びがある反面、復元力や硬さは控えめな感じです。
PolyLite PLAやPolyMax PLAと比較して
PolyLite PLAは印刷のしやすさ重視で硬さや耐衝撃性は一般的なPLAと同様なな感じ、PolyMax PLAは耐衝撃性の向上が大きな特徴でした。
今回のPolyTerra PLAはPLA樹脂とは思えないほど伸び、変形許容性が高いようです。
データシート上ではヤング率はPolyMax PLAとほぼ同じですが、引張強度は半分程度となっています。代わりに破断までの伸び率に関してはXY方向になんと30%以上となっており、最早PLAとは思えないほどです。それに伴って耐衝撃性もPETG並みの数値になっています。(Polymaxよりは耐衝撃性は劣る)
実際4mm厚のテストピースを二つ折りにしても千切れず、きちんと印刷されていればPLA特有の割れによって破壊されることは無さそうです。
結局3回折り曲げてやっと千切れるという結果になりました。
形状そのものが欲しい場合や、熱による後加工性やヤスリ掛けが必要な場合な製品の場合などぴったりのPLAと言えます。
また一般的なPLA以上に自然環境での分解性の高さがアピールされており、環境に還りやすい方が良い使い捨てのプロダクトにも用途が広がりそうです。
値段についてもスペックがはっきりしているフィラメントとしては破格の定価で3278円となっており、普段使いのPLAとしても価格・パフォーマンス共に優れた物となっています。
購入は下記から可能です。
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最後に
PLAらしい硬さを望む場合は向かないかもしれませんが、既存のPLAの硬くて脆いという欠点を跳ね返す製品になっています。
PLAの原材料費高騰と強度的なネガ部分を配合フィラーによっては跳ね返す製品です。3000円以下の安いフィラメントをほとんど駆逐する性能と価格のバランスになっており、2021年のMost Buyなフィラメントになるかもしれません。
記:はるかぜポポポ 2020/02/01
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