ULTRABASEをメンテナンスする
ANYCUBIC I3 MEGAやその他シリーズにはULATRABASE(ウルトラベース)というヒートベッドがついています。
ガラス面に水玉上に多孔質のコーティングをしたものになっていて、加熱時の優れた定着性と常温に戻った時の剥がれやすさが両立されていて非常に優れた印刷面だと思います。
基本的にはガラスなので平面度はそれなりに高いそうです。
(最大±0.2mm以内、通常±0.1mm以内)
ただ端が接着や金具で固定されており、加熱時の膨張などで歪みが出るようでホウケイ酸ガラスをゼムクリップ止めした物ほど平面度は高くないかもしれません。
それでもよくあるアルミプレート等よりは断然平面は出ている印象です。
家にあるi3 MegaのULATRABASEはゆがんでいる印象はありません。
PLAやPETG、ABSの場合温度を十分に上げればきちんと定着しますし、スティックのりやマスキングテープが不要なのも素晴らしいところです。
もし必要ならスティックのりで追加の定着力を得ることも可能です。
表面のクリーニングをどうするべきか問題
ベッド面をどのようにしておくの最も定着力が強いか、そして印刷後に面倒が無いかは重要な問題です。
印刷に埃や油分がついていると定着しずらくなります。ブレーキクリーナを愛用していましたが、定着が悪くなる場合があるのに気づきました。
ULTRABASEの商品説明には「アルコールで簡単にクリーニングできる」と英語で書いてあります。
指からの油分やプリンタ自体からのオイルの飛散、埃に含まれる油分などが定着の邪魔をするので、可能な限りそういう介在物を除去する必要があります。油分を除去するならアルコールで洗浄するのが良さそうですが、ANYCUBICのFacebookグループには「高濃度のアルコールで洗浄したらテクスチャが消えて定着しなくなる」との情報がありました。
アルコールor洗浄剤or水?
ANYCUBICからのアナウンスはアルコールとなっていますがアルコールにもいろいろあります。
様々なエキスパートによる記事を見ると、エタノールかIPA(イソプロパノール)が使われることが多いようですが、IPAやエタノールで拭きすぎるとULTRABASEの定着力は落ちてしまします。
PrusaはPEI(ポリエーテルイミド、カプトン、ウルテム)シートには90%以上のIPA或いは窓ふきクリーナー(Windex)を使うようにとアナウンスしています。が、これはPEIが化学的に安定なためです。そしてIPAは徹底的に油分を除去してくれます。
BulidTakは70%程度の濃度の濃すぎないIPAを使うように勧めています。
多分濃すぎるIPAは表面を侵すのでしょう。
さて、どうするべきか.....
エタノール vs メタノール vs IPA vs Windex vs ガラスマジックリンvs水
エタノール
○IPAに比べて人体に安全(酔うけど)
○IPAに比べて分子量が小さく洗浄力が高め
△酒税がかかるので値段が上がる
×引火性がある
メタノール
×人体に有害
○この3つの中で最も分子量が小さく洗浄力が高い
×引火性がある
IPA
○酒税がかからないので安い
×引火性がある
Windex(ウィンドウクリーナー)
成分:界面活性剤(10%:2-エトキシエタノール、イソプロパノールアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸Na)、溶剤、香料、着色料
△他に比べて人体に安全?揮発性は少なそう....
○ PrusaによるとIPA以上に洗浄力がある
△Windexそのものは入手しづらい
ガラスマジックリン
成分:水、エチルアルコール 、グリコールエーテル、アルケニルコハク酸カリウム 、エタノールアミン 、アルキルグリコシド 、香料、着色剤
〇安くて入手しやすい
〇安全
△効果が不明だが、ガラスをきれいにするなら.....
○水分も入っているので消え色ピットの残滓もOK
水
主成分:水 (当たり前音頭)
〇埃や空気中の油汚れのみを考えるなら十分な洗浄力
〇消え色ピットなどの糊の除去に最適
〇ULTRABASEの表面への攻撃性が低い
メタノールは安全性と性能のバランスから判断して除外するとして
WIndexは入手難です。
強い洗浄力ならIPAかエタノールか有力でしょう。洗浄力ではエタノール>IPAでエタノールの方が安全なので、使う量が多くないガラス面の洗浄程度ならエタノールが最有力でしょう。
ガラスマジックリンはダークホース。
アルコールで洗浄するならアルコール綿を使おう
ボトルに入った液体のエタノールをキムワイプ等に湿らせて......
という手もありますが、それならアルコール綿だと個包装になっていて量もぴったりで使い勝手が良いようです。
以前IPAクリーニングワイプを探していましたし、手元にいくつかありますが、医療用のアルコール綿が入手が楽で安いです。
Amazonで購入できるアルコール綿を調べてみたところ、
アルウェッティかマッキンのアルコール綿が濃度高めでおすすめな感じです。
90%以上のアルコール綿は見当たりませんでした。
アルウェッティは薬液100ml中83mlがエタノール
ワンショットプラスは薬液100ml中76.9~81.4mlがエタノール
マッキン アルコール綿は薬液100ml中83mlがエタノール
でアルウェッティと同様
一応ガラスマジックリン
ガラスマジックリンは試してみましたがあまり良い感じがしません。
何かが残っているのか一層目で樹脂がノズル側に持っていかれるときがありました。
普段は水で拭こう
最近は水道水で拭いています。
ULTRABASEのテクスチャを守るなら水一択ですし、定着力も悪くありません。ちなみにSnapmakerのテクスチャシートは水で拭いた方が糊を塗るよりも定着力が出るような気がします。
コツとしては、水を多めに使う事とキムワイプなどのケバの出ないものを使って拭く事でしょう。
頑固な油分が気になる場合はたまにアルコール綿を使うと良いと思います。
記事をサポートしていただくと、一層のやる気と遊び心を発揮して新しい記事をすぐに書いたり、3Dプリントを購入してレビューしたりしちゃうかもしれません。