真空パックしてもフィラメントは湿気る
真空パックにしてもフィラメントと一緒に入っているシリカゲルが赤い……
どう見ても減圧が破れた様子がないフィラメントが湿気っている…….
というわけで理由を調査してみたると、信じたくない事実が判明したのでお知らせしようと思う。
調べてみた
素材は大体ポリエチレン
真空パックの袋の素材はPE(ポリエチレン)製のものが多いようである。
そこでPEフィルムの水蒸気透過性について調べてみた。
すると三洋グラビア株式会社が公開している『包装用フィルム物性一覧表』の中に水蒸気透過度の項目を見つけることができた。
それによるとPEの水蒸気透過度は40℃90%湿度環境においてPEの種類によるが5~18g/(m^2*day)と書いてあるのを見つけられた。
低密度のポリエチレンより高密度のポリエチレンの方が透湿性が低いようである。
https://sanyo-gravure.jp/cms/wp-content/uploads/2018/10/film.pdf
厚みの影響はないんかな?と探してみると
株式会社レスコンジャパンの資料では、3~10g/(m^2*day/0.1mm) @40℃90%湿度環境とあり、厚みの関数となるようであり直観に合う。
さらに調べると透湿性は厚みに反比例するらしい。
https://www.tosoh-arc.co.jp/techrepo/4394/
現物は?
実際にパックされている袋の重ね合わせ部の厚みを測ってみると0.22mmだった。これはというわけで一枚は0.11mmとなる。
袋のサイズは30cm*40cmだったので、両面合わせると0.3m*0.4m*2=0.24m^2ということになる。
計算してみる
これまでに得られた情報から一般的なPEバッグがどれぐらいの水蒸気を通すのか計算してみよう。
水蒸気透過度の値に幅があるが5g/m^2day/0.1mmを採用することにする。
厚みは 0.11 mm、
表面積は 0.24 m^2だったので単純に掛け算すればよい。
5*0.24*(0.11/0.1)=1.32g/day @40℃90%RH
一日1.32g ?!?!? 40℃90%RHは夏場の極悪な環境だが1か月もあれば完全に吸湿しそうである。
補正してみる
さすがに真夏の野外でという話は行き過ぎな気がするので、穏当な条件に補正が出来ないか検討してみる。
日本の平均気温と湿度は、
気象庁によると東京での2024年平均気温は17.6℃
エアコンなどでおなじみのダイキンによると日本の平均湿度は約70%だそうである。
再びインターネットに情報収集の旅にでる…….
すると東ソーの資料にぶつかる。PETフィルムだが、温度が高すぎない範囲であれば水蒸気分圧に比例しそうである。
https://www.tosoh-arc.co.jp/techrepo/4333/
再計算してみる
40℃90%RHでの水蒸気分圧は、66.3kPa
17℃70%RHでの水蒸気分圧は、14.1kPa
というわけで、
1.32g/day *(14.1/66.3)= 0.28 g/day @17℃70%RH
これを指標にしてよさそうである。
とはいえ、やっぱり
0.28 g/day @17℃70%RH
フィラメント1kgに1%の水分を吸収させるとして10g水蒸気が透過するまでには…….
10(g)/0.28(g/day)=35day
実際には平衡状態までは倍ぐらいの時間がかかるとして70日ぐらいが吸湿しきるまでの時間としての見積もりになる。
が、そもそも吸湿してほしくないので、吸湿し始めぐらいだと一割の7日ぐらいが安心して保存できる目安?
というわけで、
むり!長期保存は無理!!!
せいぜい一週間!!!
じゃあ購入時点だとどうなってるの???
シリカゲルってどれぐらい効くの?
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