(全国)罠を仕掛けているようだった。



 https://news.yahoo.co.jp/articles/b5203b289af70afd5e468064e048ea53341d9e9f 


「週刊文春1月4日・11日号」に第一報 「《呼び出された複数の女性が告発》ダウンタウン・松本人志(60)と恐怖の一夜「俺の子ども産めや!」 が掲載されてから、大きな反響と議論を呼んでいるダウンタウン・松本人志(60)をめぐる問題。  一連の報道、松本本人の言動、メディアや世間の反応について、各界の識者たちはどうみていたのか――。「週刊文春」で2週にわたって掲載された特集「松本問題『私はこう考える』」を公開する。 「被害を訴える女性の声に正面から向き合う、これしかないのではないか」 『女帝』などの著書がある
ノンフィクション作家の
石井妙子氏(55)は指摘する。


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罠を仕掛けて楽しんでいるような印象を受けた

 最初に認識しておかねばならないことは、これは芸能スキャンダルなどではなく、“性加害”に近い事件だということです。  松本人志氏から性的な被害を受けたと訴える女性がいて、週刊文春がとりあげました。記事によれば、松本氏の後輩芸人たちは松本氏に献上するための女性を選別する飲み会を日常的に開いていたとされます。  酒の勢いを借りた一夜のあやまちとか、恋愛感情のもつれのような浮気、不倫とは質が違う。危険なゲーム、ある種の罠を仕掛けて楽しんでいるような印象を受けます。罠にかかった獲物のように扱われた女性からすれば非常な嫌悪感があるでしょう。  ここにあるメンタリティはかつて国際問題にもなった日本人男性の買春ツアーにも重なって見えます。アジア各地に出向き、金に物を言わせて現地の女性を性の捌け口にした――相手を対等な人格として尊重しないという点で、とてもよく似ているんじゃないでしょうか。

事実無根ならば、文春の間違いを満天下に示すべき

 さらに男性が群れをなした際に剥きだしになりがちな野蛮さも背後にあるように思えてなりません。女性に手を出したのが松本氏だけであったとしても、彼を頂点にした複数の芸人たちが作るサークルの存在がなければ、ここまで悪質なゲームは続かなかったことでしょう。その点で、疑似的な集団レイプのような印象を受けました。  なぜ松本氏は語ろうとしないのか。私の疑問はこれに尽きます。  記事が詳細に伝えた女性の被害は口にするのも憚られるほどだったようです。松本氏はXで「事実無根」と言ったけれど、仮に記事が事実と違うのなら、松本氏は堂々と文春の間違いを満天下に示すべきではないでしょうか。


自身の言動に言いがかりをつけられたのなら、反論なり抗弁なりするのが普通の反応です。真実を知っているのは外ならぬ彼自身なのだから、自分の真実を語ればいいし、語るべきでしょう。松本氏が真実を語る場はいくらでもある。週刊誌を駆け込み寺にせざるをえなかった女性よりはるかに強い立場にいるのだから。

この騒ぎで一番問題なのは…

 裁判という公の場で反論するからいいじゃないか、もしかしたら松本氏はそう考えているかもしれない。世の中にも一定数そういう声があるようです。ですが、それは裁判という司法制度に対する歪んだ信仰です。裁判は必ずしも真偽を争う場にはなりません。弁護士が説得力を競って、裁判官が司法判断を下すだけです。これまでの松本氏の芸風からすれば、司法判断に下駄を預けるという選択は大変残念です。  この一連の騒ぎの中で一番問題なのは、被害を訴える女性の声に真剣に向き合う人が誰もいないということです。  メディアは松本vs文春の構図や裁判の行方だけに関心を払い、女性の訴えの真偽すら検証しない。そもそも、まずテレビメディアが率先して松本氏の言い分を聞きにいくべきでしょう。あるいは、飲み会に参加した他の女性の証言を取ってきてもいい。「松本さんとセックスできて嬉しかった」という女性がいたなら、それだって立派な真実のはず。  単なる芸能ゴシップに矮小化して告発に真摯に向き合わず、真偽を確かめない。女の発言など聞くに値しないという男たちの論理がまかり通る様をまざまざと見せつけられているようです。

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2月21日(水)12時配信の
「 週刊文春 電子版 」および
22日(木)発売の「週刊文春」では、
「松本人志5.5億円訴訟」について特集。

 A4用紙13枚におよぶ訴状の内容を詳しく紹介し、
「週刊文春」を訴えた経験もある弘中惇一郎弁護士や、
伊藤詩織さんの代理人・佃克彦弁護士が訴状のポイントを解説する。
またA子さん、B子さんが訴状を読んだ感想、3年半前からスタートした「週刊文春」の
取材経緯、編集部の主張も掲載。


「週刊文春」編集部/週刊文春
2024年2月15日号

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