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(全国)消防車や救急車も「官公庁オークション」で買える「意外な出品物」の数々。
(週刊現代)
→ https://news.yahoo.co.jp/articles/689048257f32c59a2e80f155ad7f4543bcbe344b?page=1
出品者は行政機関。税金の滞納者から差し押さえたものを出品して、税金の支払いにあてることが目的になっている官公庁オークションがあります。前回の記事ではその仕組みや参加方法を紹介してきましたが、今回はこれまでに出品された驚きの物件(官公庁オークションで出品された商品は「物件」と呼びます)を紹介していきましょう。
不動産は定番商品。中には20億円超えの不動産も
官公庁オークションには不動産がよく出品されています。 出品する行政機関や不動産の状態、広さなどによって価格は異なりますが、過去には20億円を超える金額で落札された不動産もありました。2021年に公有財産売却で神奈川県が出品した元茅ヶ崎警察署の不動産物件です。当初の予定価格3億8790万円の5倍以上となる20億5510万円で落札されています。この金額は、2004年以降の日本国内におけるインターネット公売、公有財産売却の歴史のなかで、 1つの出品での最高額となっていす(2021年現在、KSI 調べ)。 2025年1月開催の官公庁オークションでは、不動産物件価格が最も高額なのは仙台国税局が出品している福島県の土地付き建物です。物件価格は1億5669万2000円です。この記事を書いている2025年1月下旬の時点ではオークションが終了していないのでこの物件がいくらで落札されたのかはわかりませんが、このような高額な不動産も出品されています。 逆に最も物件価格が安いのは大分県大分県税事務所が出品している「大分県九重町の会員制別荘(くじゅう倶楽部3号館)・持分144分の1」で2万円です。このように金額の差は大きいですが、毎回多くの不動産が出品されています。 参考:「KSI官公庁オークション」の第一回落札総額が33億円を突破
不動産でいうと小学校も出品されたことがある
廃校になった小学校が官公庁オークションに出品されて話題になったことがありました。出品したのは北海道新冠町。学校の統廃合によって学校が使用されなくなりますが、その後の維持費もかかります。そこで官公庁オークションに出品をして購入してもらい、学校を再利用してほしいとの思いがありました。 廃校になった学校はその後で企業が買い取ることもありますし、病院や宿泊施設として使用されることもあります。吉本興業は旧新宿区立四谷第5小学校の校舎を東京本社として活用していますし、京都国際マンガミュージアムは京都市中京区の旧龍池小学校を再利用しています。この2つは官公庁オークションの物件ではありませんが、学校が活用される例は少なくありません。 また廃校になった学校がある地元の学校が部活の合宿所として入札を検討することもあると聞いたこともあります。特に運動部の場合は、広いグラウンドと体育館までそろっているとなれば、新たに施設を建設することを考えるとかなり安く購入ができるようです。
官公庁オークションの目玉は、一般的に買うことができない車両です。例えば救急車や消防車です。出品されているときには赤色灯やサイレンが付いていることが多いですが、元々は緊急車両として使用されていたからです。 緊急車両は人命救助や火災や事故の緊急事態に対応するための車両で、法的な許可を得ています。個人がプライベートで使うとなれば緊急車両ではなくなるので、赤色灯やサイレンをつけると道路運送車両法違反になる可能性があります。また消防本部などの名称が記載されていることもありますが、そのままの状態で走るのも法律に触れることになる可能性があります。見た目は消防車や救急車であっても、もともとの役割のままで使うのは難しいというわけです。 一方で救急車や消防車が購入される理由としてはコレクターの存在があります。以前テレビで放送されていたのですが、消防車を複数台所有して博物館を作られた方もいます。またノリで落札をして、その後はボランティア活動で使っている方も。 参考:関西テレビ「newsランナー」2024年11月22日放送 使い方は落札した人によって異なりますが、いろいろな需要があることがわかります。
なかなか買えないエルメスのケリーバッグが出品
2025年1月開催の官公庁オークションで、エルメスのケリーバッグが出品されていると話題になりました。現在エルメスのバッグは店頭でもオンラインでも入手困難な状況です。そして中古品でも価値が上がり、かなり高額になっていることからも話題性のある物件といえるのでしょう。出品したのは福岡国税局です。すでに参加申込期間は終わっていますが、見積価格は308万円です。 ほかにもエルメスの「コンスタンス3ミニ」が110万円、「エブリンTPM」が27万5000円、そしてジュエリーや食器なども出品されています。入札は2月4日から2月6日に行われるので、これらの物件がいくらで買われるのかは今(2025年1月下旬)の時点ではわからないですが、注目をしている人も多いのかもしれません。
官公庁オークションは出品者が行政機関ということもあって、落札した後で商品がない、出品者と連絡が取れないということはないと思われます。取引相手としては申し分ないのでしょうが、商品に関してはしっかりとした確認が必要になることもあります。 例えば先ほどのエルメスのケリーバッグの場合には、2023年購入店のショップカードがあると商品説明に書かれているので、これが本物の証明になるのでしょう。また精通者から意見を聞いているとも書かれていますから、本物と考えて良い物件だと思います。でも、出品される物件によっては、証明書がなかったりします。また真贋鑑定がされてない場合もあるので、本物なのかどうかわからないこともあるのです。 さらに不動産の場合には、実際にその物件を見る必要があるでしょう。商品説明に書かれているのは物件についてだけなので、周囲の環境などはわかりません。もちろんGoogleMAPなどを使えばある程度わかるのかもしれませんが、やはり1回は見にいくことが求められそうです。 そして最も注意したいのが、開催期間です。Yahoo!オークションは24時間365日参加ができますが、官公庁オークションはいつでも参加できるわけではありません。開催期間が決まっていて、参加申込期間もあります。それを逃すと入札ができませんから、年間スケジュールを確認しながら、ほしい商品を探していくのが官公庁オークションの大切なポイントといえます。 参考:官公庁オークション
川崎 さちえ(フリマアプリ・ネットオークションガイド)