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【有料】働き方改革で疲弊する「総合職」と定時上がりの「一般職」

 テレワークができないサービス業の営業マンたちの働き方改革は重荷でしかないようだ。19年4月に政府は「長時間労働の是正」や「柔軟な働き方ができる環境づくり」などを目指す「働き方改革」を推し進めてきた。おかげ様で、古い体質が残る会社であっても自宅から営業先に直接赴く「直行」、反対に営業先から会社ではなく自宅に帰宅する「直帰」ができる土壌が出来た。ただし、「そんなに甘くありませんよ」と嘆き節をつぶやくのは建設系の資材メーカーで働く青坂邦彦さん(仮名・28歳)だ。

「確かに直行・直帰の文化は定着しつつあります。だけど、この権利を実行できるは数字を残せている営業マンだけ。結果が伴わなければ見積もり作成と上司への営業進捗報告のために帰社しなくてはなりません」

 「営業は結果が全て過程なぞ評価せん」とは上司諸君が口々につぶやいているフレーズだろうが、数字を残せていない営業には「働き方改革」を実施する資格さえないのだ。では、いわゆる〝できない営業マン〟に課される「働き方改革」とはどのようなものだろうか。

「会社にもよるかもしれませんが、弊社の場合は20時以降の残業が禁止になりました。VPN(バーチャルプライベートネットワーク)を採用しており、20時以降はパソコンが強制的にシャットダウンする仕組みです。以後パソコンを使用する場合は上司への許可申請が必要で都度許可してもらわなくてはなりません。ですが、許可を求めるたびに『はぁ?なんで仕事終わんないの?今日だけだぞ!』と毎回悪態をつかれるため、ほとんどの〝できない営業マン〟はUSBやヤフーメールを駆使して仕事を持ち帰ります。強制シャットダウンされたVPNは朝の4時に解除される設定になっているので、アーリーワークで仕事の遅れを取り戻す営業マンもいます」(前出・青坂さん)

 つまり、泣く泣く家のパソコンで作業をするか早朝に会社に赴いて作業をするかの2択を迫られているのである。ちなみに、早朝に出社しても会社の勤怠システム上残業として計上されない仕様になっている。

「働き方改革とは言ったものの体のいい残業代減らしになっています。もちろん、裁量労働制でみなし残業がついている給与体系なので残業代が付くことはほとんどありませんけどね。働き方を変えようにも仕事量に変化はありません。営業は引き合いをもらって見積を作ることの繰り返しですからね。結局、夜の会社に居られる時間が制限されるので早朝か家に持ち帰って作業するしかないんです」(前出・青坂さん)

 では、〝できる営業マン〟はどのように考えているのだろうか。同じ会社で営業ノルマを3期続けて達成している中川原太郎さん(仮名・36歳)の理屈はこうだ。

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