前編)小川キャスターがみた香港の“今”
民主派が圧勝した香港の区議会議員選挙。
抗議でもに強硬姿勢を取り続ける香港、
そしてその背後にいる中国に
香港市民が“NO”を突き付けた形となりました。
香港の方たちが何を思い、何を求めているのか
現地を取材しました。
(2019年11月25日(月)OAより)
記者)
「今、民主派の梁さんの当選が発表されました。大歓声があがっています。」
若者たちが次々と当選しました。
地元メディアによりますと、
民主派は、全452議席中388議席を獲得。
選挙前に、7割を占めていた
親中派を圧倒しました。
投票率は、71.2%と過去最高を更新。
抗議デモを強硬姿勢で排除する政府に対し
市民が明確に“NO”を突きつけた形です。
選挙結果が明らかになった、25日の香港。
記者「警察隊がデモ隊の排除を始めました。催涙スプレーを手にしています。」
街の中心部では抗議デモが行われ、
警官隊が出動する事態に発展しました。
政府への抗議デモが本格化してから
初めての選挙となった、区議会選挙。
多くの選挙区で、
「親中派」と「民主派」とが争った
選挙戦を取材しました。
小川)
「こちら投票所の入り口から列がずーっと通じていまして、この目の前の広場には500人ほどが行列をつくっているんですね。2時間待ちだということです。」
直接選挙により民意が反映される貴重な機会に、
ひとりひとり、抱える思いはさまざまです。
「(この選挙で)より民主的になってほしい。議会に多くの民主派議員がいたら、政府の権力を抑止できると思う。」
さらに、投票にはこの人も―
小川)
「今、林鄭月娥長官が投票用紙を投票箱に入れるその瞬間です。どんな思いで投票箱の前に立っているんでしょうか。」
一票を投じた長官を直撃しました。
長官自身への信任投票では?との問いに
あくまでもこの選挙は
区議会議員を選ぶものだ
と明言を避けました。
抗議活動が激しくなる中行われた、今回の選挙。
候補者が襲撃されるなど
異常な事態も相次ぎました。
親中派の候補者の一人、葛兆源さん。
先月、事務所が襲撃を受けたと言います。
襲撃の一部始終を防犯カメラが捉えていました。
小川)
「あ~来た!鉄パイプのようなものですか?何ですかね」
10人ほどの人たちが
机を倒したり、物を破壊したりする様子が・・・。
時間にしてわずか1分ほどの出来事でした。
「彼らは全員覆面をしていたので、誰か分からず捕まりません。今香港には暴力があふれている。政府と警察に取り締まってもらわないと」
「今回の選挙で政府を支持する人たち(親中派)は、今の状況を見て暴力を受け入れられない人だと思います。早く昔の香港に戻りたいのです。」
一方、襲撃を受けたのは、
親中派の候補だけではありません。
民主派の候補者・岑子杰さん。
デモを行っていた民主派団体のリーダーです。
松葉杖を使い、街頭演説に立つシンさん。
先月、路上で4~5人のグループから突然、
ハンマーで頭を殴られるなどの
襲撃を受けました。
かろうじて一命は取り留めましたが
足のケガはまだ完治していません。
「若者ですら諦めていないのに 私が恐怖に怯えている時間があるでしょうか。もしわれわれ香港人が今あきらめたら、香港の自由や未来がすべて失われてしまうと思います」
シンさんを側で見守る母親は・・・。
「息子に手を上げたことは一度もありません。それが他人にこんなことをされるなんて…。もちろん心配しています。でも彼が成し遂げたいことの方が重要だと思うんです。」
親子で闘う選挙戦。
シンさんは母親と一緒に開票作業を見守ります。
そして、25日午前1時すぎ・・・。
小川)
「大きな歓声と、そして拍手が上がりました。シン候補の勝利が発表されました。親中派の候補をおさえ、シン候補当選です!」
現職の親中派候補におよそ800票の差をつけ、
当選を決めました。
勝利演説をする息子を前に、母親も涙・・・。
「林鄭月娥長官にも、この結果をしっかりと受け止めてほしいです。暴力や警察を使ってもこの運動は鎮まらないということを。」
今後、香港はどうなるのでしょうか?
民主派団体のメンバー・周庭さんは、
ゴールはあくまでも、
普通選挙の実現などを求めた「五大要求」を
認めさせることだと強調します。
「香港市民にとって今日は決してお祝いする日ではないです。選挙に勝つことが私たちのゴールではないですから、ゴール達成させるようにもっともっと闘わないといけないと思います。」
中国政府は、今回の選挙結果を受け…。
「暴力を制止し混乱を収拾し秩序を回復することが香港の差し迫った任務だ。香港は中国の香港だ。」
訪日中の王毅外相も25日朝…
「結果はまだ出ていませんよね。香港は中国の国土の一部です。香港の安定と繁栄を破壊する者は許されません」
強硬姿勢を崩さない中国。
香港政府の出方次第では、
抗議活動は、
さらに過激化する可能性もあります。