内部映像が物語る“入管施設の実態”
先日お伝えした入管施設の実態では、
収容されていた外国人女性が
「トイレまで監視された」と訴えるなど、
人権侵害とも言える対応が
浮き彫りになりました。
今回お伝えするのは、
別の入管施設での出来事です。
職員に囲まれて取り押さえられる外国人男性。
この男性は職員から暴行を受けたとして
国に訴えを起こしています。
閉ざされた密室で
何が起こっていたのでしょうか。
(12月23日(月)NEWS23より)
もはや男性に、
抵抗する力は残っていませんでした。
不法滞在など国外退去を命じられた
外国人を収容する入管の施設。
ここに、トルコ出身のクルド人男性
デニズさんは収容されています。
彼が、トルコでの迫害を逃れ
来日したのは2007年。
難民申請は認められなかったものの
身柄を拘束されない仮放免の許可を得て
日本で暮らしていました。
その後、日本人女性と結婚。
しかし3年前、理由も示されないまま
突如、入管施設に収容されました。
そして、収容から2年8か月が経った
今年1月―
午前0時ごろ、デニズさんは、
なかなか寝付けず
職員に安定剤を求めたところ拒否され、
トラブルに発展したのです。
多数の職員が、デニズさんを取り押さえて
別室に連行しました。
職員に抱えられ
床に寝かせられるデニズさん。
後ろ手に手錠をかけられ
両腕を強く締め上げられました。
大声を出すデニズさんに対し、
さらに職員は…
この後、デニズさんは、
「懲罰房」と呼ばれる
三畳ほどの部屋で5日間、過ごしました。
デニズさんは、
職員から暴行を受けたなどとして
国に損害賠償を求める訴え
を起こしています。
今回の映像は、
入管側が撮影したものです。
裁判の過程で弁護側が要望したことで
入管側が提出しました。
入管側はデニズさんに対して
「不当行為があった」と
認めた一方で、
違法ではなかった、と主張。
私たちの取材に対しては、
「個別の案件なので答えられない」
と回答しました。
入管の収容施設をめぐっては
大阪入国管理局に収容されている
トルコ人男性が、
職員から暴行を受けたなどとして、
国に訴えを起こしています。
収容者との面会を続ける支援団体は―
●牛久入管収容所問題を考える会/田中喜美子代表
「たくさんそういうこと(職員の暴行)が聞かれます。中の被収容者は、とてつもないストレスを抱え込んでいます。そういう人と対面する入管職員も、やっぱりピリピリしているということは間違いないことです。」
背景にあるのが収容の長期化です。
全国の入管施設で6カ月以上の長期収容者は、
13年末の263人から
約2.7倍に増加しています。
では、なぜ長期収容が増加しているのか。
2020年に開催される東京オリンピック。
それを理由に、強制送還を
推し進めようとしているというのです。
これは、2016年、
入管当局が出した内部通達の文書。
(内部通達文書より)
「東京オリンピック・パラリンピック競技大会の年までに安全安心な社会の実現を図るため、送還を忌避する外国人など、我が国・社会に不安を与える外国人を大幅に縮減することは喫緊の課題」
●入管問題に詳しい 児玉晃一弁護士
「送還を拒否している人は邪魔だから減らそう。そういう人たちが社会に不安を与えているということです。長期収容して家族とばらばらにしてそういう状況を作って本人たちを苦しめて自分の足で帰るといわせるために収容を乱用している」
国の方針に翻弄される外国人たち。
いつ外に出られるか分からない不安の中、
精神的に追い詰められたデニズさんは、
何度も自殺を図ったといいます。
さらに今年6月には、抗議の意味で断食する
ハンガーストライキを決行。
8月に「仮放免」が認められました。
しかし2週間後、
理由も示されないまま再び収容されました。
私たちは今月18日、デニズさんに面会し
入管職員の対応について聞きました。
独房の中で、いまデニズさんが望むのは、
妻との日常を取り戻すことです。
奥さんの手をとってそばにいたいです。
一緒にご飯を食べたいです。
映画を見に行きたいです。
冗談を言い合いたいです。―
動画版は以下のURLからご覧いただけます。
↓↓↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=95piEZ54y34
【第一弾 強制収容のクルド人女性が証言】
動画)https://www.youtube.com/watch?v=zKb42seJR7U
note)https://note.com/news23/n/nbd3f351a6f51