外国人材最前線①~日本語話す即戦力"10か月で育成"~
"言葉の壁や文化の違いで
コミュニケーションが難しい"
そんな外国人労働者の
従来のイメージを根底から覆す
画期的な人材が、
続々と育っている現場。
それが、
東南アジアの発展途上国
ミャンマー。
日本企業の即戦力として、
わずか10か月で
日本語を話す若者を育てるという学校で、
外国人材の最前線を取材しました。
揃いのサングラスで
日本語の歌を披露するのは、
日本での就職を目指す
ミャンマー人の若者たち。
ミャンマーで
“最難関”の日本語学校
「JーSATアカデミー」の生徒です。
この学校では、
たった10ヶ月で
“使える日本語”を
身につけさせるといいます。
勉強を始めて
まだ半年足らずの生徒でも・・・
この学校、
いったいどんな方法で
日本語を教えているのでしょうか。
●黒河陽平記者
「日本語を『あいうえお』から
習い始めるミャンマーの若者たち。」
「10か月めのクラスになると
どの程度話せるのか、覗いてみます。」
この日、教えていたのは、
単なる日常会話ではなく、
「飲み会の“曖昧な”断り方」。
●ミャンマー人の先生
「ミャンマー人は
『いいえ、行きたくない』
はっきり断りますよね」
「日本人の場合は
はっきり断らないですよね。」
日本で働いた経験を持つ
ミャンマー人の先生が、
日本人特有の曖昧な表現と、
その裏にある心理までを
解きほぐして教えるのです。
●ミャンマー人の先生
「日本人は曖昧なのではなくて、
相手の気持ちを考えているから
曖昧になってるんですね。」
「それを分かってほしい。
日本に行ったら
そういうことが
たくさんありますので・・・」
授業は毎日5時間プラス、
テストと補修、
さらに宿題が3時間分
という日本語漬けの日々。
語学だけでなく、
日本に行ったらすぐ働けるよう、
ビジネスマナーも教え込みます。
例えば、
日本式のお辞儀の種類について、
「会釈」「敬礼」「最敬礼」と、
状況に応じた角度の使い分けまで・・・
東南アジアの中でも
国内産業の発達が遅れ、
就職口が限られているミャンマー。
多くの若者が日本での就職を目指し
毎日50人ほどが
この学校にやってきますが、
誰でも入学できるわけではありません。
日本企業に
適応できる人材を見極めるため、
7回ほどの選考を重ね、
最終的に約20人に1人を
絞り込むといいます。
この狭き門をくぐって
日本企業へと巣立っていった
卒業生はすでに365人。(内定者含む)
即戦力として活躍している
現場を訪ねました。
こちらは、
プラスチック製品などを
製造している会社。
流れ作業の工程で、
次々と運ばれてくる製品を
加工する作業を、
1人で黙々と繰り返しているのは、
ベトナム人の女性です。
一方、ミャンマー
「JーSATアカデミー」の
卒業生は別の部署にいました。
最新型の
「高精度3次元測定器」を操る
ティンさんです。
1年4か月前に
この会社に就職し、
製品の設計などを担当しています。
●上司の大阪銘板・小泉八朗取締役
「意欲が強いので
覚えるスピードが早い。」
「最近の日本人に、
これやらないかと言ったら、
ちょっと自分の分野と違うと
何で僕がやらないと
いけないんですかと言う。」
「でもティンさんは
自分の仕事の範囲外でも、
やってみたいですと言う。」
仕事を覚える上で武器となるのが、
日本語力に裏打ちされた
コミュニケーション能力です。
●上司の大阪銘板・小泉八朗取締役
「いずれミャンマーに帰ったら、
設計を覚えて
向こうで設計事務所を
開いてねと言ってます。」
「そうしたら
日本から彼女に設計の発注して
データのやりとりできる」
JーSATアカデミーで学ぶ
若者の多くは
経済的に苦しい家庭の出身で、
親族の期待を
一身に背負って勉強に励み、
日本を目指すといいます。
そんな生徒たちの姿に
目を潤ませるのは、
学校を立ち上げた西垣社長。
●西垣充社長
「貧しさ、
まだまだ厳しい現実があって
その中から
這い上がってきてる子たちに
毎回感動します」
発展途上国での
人材育成の意義について
こう語ります。
●西垣充社長
「我々が作りたいのは
将来のミャンマーを担う人材。」
「例えば我々の学校から
1年間に500人日本に行けば
10年経ったら5000人。」
「日本のことが好きで
日本語もぺらぺらで
日本のマネージメントも分かってる、
そういう人が10年後20年後
ミャンマーに帰ってきて
5000人ここにいたら
(日本にとっても)
経済インパクトはすごい。」
西垣さんの学校には今、
4月から始まる
外国人材の受け入れ拡大を前に、
様々な業種の
企業経営者らが訪れます。
●航空業社長
「もう動かざるを得ないので」
●料亭の女将
「誰でもいいというわけ
ではないのですが・・・」
●運送業社長
「今後人が取れるなら
ミャンマーじゃないかと思いまして…」
次回は、
日本企業による
ミャンマーでの
熾烈な人材獲得競争の
現状をお伝えします。記事はコチラ