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【特別編】2周年だよ想造楽工〜障害福祉×デザインの事業をちゃんと振り返ってみる
こんにちは!株式会社ニューモア代表のYORIKOです。
この10/17をもって想造楽工は、2歳になりました!パチパチパチ〜。
少し前にメンバーに「3周年企画何が良いかなぁ〜」と言っていたら、
あれっまだ2周年だった、と発覚。カンチガイ…
濃密な日々ゆえという感じですがこの機会に、ここまでの歩みを振り返ってみようと思います。
1.そもそも想造楽工って?
改めまして、ユーザー辞書登録をしなければ絶対に表記を間違えるややこしい名前ですが、想造楽工(そうぞうがっこう)といいます。
これは何かというと福祉施設に通う利用者さん=障害のある人々に「イラストレーター」という仕事人になってもらい協働する、デザインチームです。
想像して創造する楽しい工房、そして学校のような学び合う場所になったらよいなぁとの気持ちからこんな変な造語にしました。
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運営は株式会社ニューモアという小さなデザイン制作会社です。といってもこの事業をやるために法人化したわけで、それまで私は万年フリーランス生活を送っていました。
(立ち上げ時の決意表明なる記事はこちら)
福祉施設にもさまざまな種類がありますが、
ここでは就労継続支援B型事業所と呼ばれる作業所さんを基本的に対象としています。
福祉施設の細かな説明は割愛しますが、一般的には一般就労が困難とされる、障害の度合いが中〜中重度の方々が利用されています。
今お付き合いしている作業所さんでは知的•精神に障害がある方が多いですが、もちろんその症状は人によってさまざまです。
その彼らにはイラストレーター(商業美術家)として原画の制作•提供をしていただき、受け取った絵にこちらでアレンジを加え、完成させるといった事業です。
<お仕事の流れ>
案件発生、作るものの内容や予算が決まる
施設に依頼をし、利用者さんに絵を描いてもらう
原画を預かりニューモアで着彩、レイアウトなどデザインを加え完成
お仕事完成後、施設にお支払い
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お仕事完了後、ぜひ今後も続けたいと言ってくださった施設さんとはパートナー契約を結び、その後の受注制作依頼の対象や、定期的に開発しているプロダクトでイラストレーター仲間入りとさせてもらっています。
2020年に八王子を起点にはじめて、現時点で全国に6カ所のパートナー施設さんが生まれました。
やみくもに増やしたいわけではなく、ご縁を大切に関係を育て、イラストレーターさんの成長に寄り添いたいなあという姿勢でやっています。
どこの施設さんも最高にあたたかくチャーミングな職員さん、利用者さんたちで、ご縁に感謝です。
2.数字で振り返る想造楽工
ここまでが想造楽工の概要ですが、ではこの2年間でどんな成果が出たか、初めて!数字でまとめてみようと思います。
まず立ち上げから今までに取り組んだ受注制作の案件数は、72件。24ヶ月なので、およそ1ヶ月に3-4件ほどのお仕事数となります。
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少しずつSNSやメディア経由も含め、個人の方から企業、行政の方まで幅広くご相談をいただけるようになってきました。
もちろん待っているだけではなく、この春に副班長みきさんが加入してくれてからは、自分たちからもノックしていかねば!と、営業というフィールドにも足を伸ばしてみています。少しずつ、蒔いた種が芽を出してきている感覚です。
そして受注制作と並行して、自社プロダクト開発にも取り組んでいます。半年に一度ラインナップを更新していて、今までに3シリーズ、48種類の商品をリリースしました。
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小さな文具からTシャツ、お皿までさまざまなものに展開させています。作家さんやメーカーさんとのコラボレーションも広がってきました。オンラインだけではなく、委託販売も少しずつ開拓していて、全国16の店舗さんでお取り扱いいただいています。パートナー店舗さん、常に募集しています。
そして大事な、お金の話。
まず、プロダクトの売上については、経費を引いて残った利益を担当の施設と半分に折半します。
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このような小さな規模でこだわって作るプロダクト開発では、正直、手元に残る利益はほんの僅かです。
ここの目的は利益そのものではなく、事業の認知。プロダクトをきっかけに色々な人に想造楽工のこと、イラストレーターさんの魅力を知ってもらいたいと、半年ごとにせっせと開発•精算をしています。
主力の受注制作においては、総予算からデザイン•イラストそれぞれの工数やボリュームを加味して予算を設定します。
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デザインというのは当然、なかなかに時間と労力、技術が必要なもので、原画を受け取ってからが実は長き道のりです。
そのため受注制作におけるお金の割合は、デザイン費とイラスト費で異なります。会社としてはここできちんと得るものを得て、はじめて存続が可能となります。
ただ姿勢としてイラスト費については、あくまでプロにお願いするのと同様に設定するようにしています。
前述したようにボリュームや総予算で都度異なりますが、ひとつの案件でおよそ3万円〜15万円ほどがイラストの費用感です。
ニューモアから施設にお支払いをし、そこから利用者さん全員のお給料になるか、個人の担当者に分配するか等は施設さんにお任せしています。
プロダクトと受注制作を合計すると、
2020/10-2022/9月末までに福祉施設さんにお支払いした総額は、およそ320万円となりました。
プロダクトを買ってくださったり、お仕事を頼んでくださった方々からの大切なお金です。
この場を借りて御礼申し上げます。
まだまだ、予算より実績優先段階ではありますが、お金のしくみ、仕事の仕方どちらにおいても、常に誠実で有りたいとは心がけています。
誰にいくらお渡ししたというのはデリケートなことなので開示は不要と考えていますが、聞かれた時には正直にお答えします。
3.想造楽工の目指すもの
想造楽工は、一体ぜんたい何を目指しているのか。
現段階の答えとしては、
「各人が持ち味を発揮し、
互いの個性•属性を尊重し合える協働を生み出すこと」
です。
想造楽工としては障害福祉の分野に特化していますが、運営会社のニューモアとしての指針もこれに尽きます。
年齢、性別、国籍、エトセトラエトセトラ。
私たちは生きている限り、色々な属性がついて周ります。障害、というものもある種、そのひとつだと思っています。
色々な属性に個々の性格、感性、得意不得意などが合わさったものを個性と呼ぶのかなと個人的には考えています。
各々の個性を受け入れ、他者と共生する。
どこの学校にも掲げてありそうなこのスローガンを実際に実現するのはなかなかに難しいことだと理解していますが、
それぞれの持ち味を活かした仕事を一緒にすることがベストな方法だと思っています。
共にゴール達成し、やるじゃん、と互いの素敵な点を認め合える機会を、誰かがつくること。なるべく自然な形で。
そのひとつの方法と旗振り役を、想造楽工として取り組んでいます。
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福祉施設における工賃の低さ(B型で全国平均の時給は150-200円)を知って事業を始めた、という経緯も事実ですが、
想造楽工としてはシンプルに、彼らの持つ素敵な力に惚れ込んでいて、一緒に仕事がしたい。
そのためには出来るだけ、正当な価格も提示したいという姿勢でいます。
なので口酸っぱくこれは慈善事業ではなくビジネスです、と言っています。
逆に障害があるということを持ち上げすぎるようなこともしたくなく、
何でも描きさえすればオッケー、にもしたくありません。
絵を描くことが好きで、それを仕事にしたいという意志のある方•施設さんと、対等なパートナーとして練習、実験を重ねて、
イラストレーターとしての成長に寄り添えたらという想いを持ってやっています。
先日またひとつ嬉しい協働が実現。
東京都町田市の大きな商業施設「町田東急ツインズ」さまの15周年記念祭ビジュアルを、地元の就労継続支援B型事業所「町田ゆめ工房」さんと一緒に制作しました。
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商業施設という日常に溶け込んだ場所で、
福祉施設の人たちの描いた絵が、特別ではなく至って自然に、その場に溶け込んで存在する。
柔らかく親しみの持てる世界観を演出して、お店のイメージアップのお手伝いをする。
お客さんはこういった方々が描いた絵ということを知るかもしれないし、知らずにお買い物を楽しむかもしれない。それが良いのです。
特定の場所に強いスポットライトを当てるというより、
明るくやわらかな自然光の当たる場所が増えるといいなぁと思っています。
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4.まとめとこれから
想造楽工をはじめて以来、それはそれはたくさんの発見がありました。
なによりも、チームでやることの大変さと、それを勝る喜びったら!
意志ある人たちが次々挙手をしてくれ、想造楽工運営メンバーは11人となりました。(と言ってもフルタイム前提ではなく、色々な働き方を挑戦しているところです。その話はまた後日…)
今まではずっと、あれもこれもほぼ自分一人でやっていたので、物理的に凄まじい変化です。
さらに全国のパートナー施設のイラストレーターさんを含めると、
150人以上!
ひとりじゃできなかったことをチームとして取り組めている幸せを日々実感しています。
きれいごとだけではうまくいきませんし、
伴う課題も山ほどある中、事業全体としては続けることでしか説得力は生み出せません。
とはいえ個々の人生も世界の情勢も日々移り変わるもので、
先を読もうとしたところでわからない!結局。
変わることと変わらないことを見据えて、
これからもちまちまと、健康的に柔軟に頑張っていきたいと思っています。
さあ、3年目!
どんな年になるか、わくわくです。
11月は新プロダクトも出るよー!
これからの想造楽工も、どうかよろしくお願いします。
想造楽工(ニューモア)代表
YORIKO
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