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M&Aから3ヶ月で掴んだ「タクシー事業」の手応え、資金調達で狙う「次の一手」

「移動で地域をカラフルに」をミッションに掲げるnewmoは、シリーズA追加ラウンドで約63億円の資金調達を実施しました。先日発表したファーストクローズと合わせると、シリーズAラウンドでは累計約167億円の資金を調達しました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000137033.html

この資金をもとに、今後newmoはどんな展開を仕掛けていくのか。創業からの歩み、そして今後の戦略について取締役COO / Co-Founderの野地春菜(@harunaXA)に聞きました。

野地春菜 newmo 取締役Co-Founder / COO
三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資銀行部門を経て、Uber Japan にてセントラル・オペレーション部長として、Uber Eats の日本展開を牽引。2021年より、Wolt Japan にて代表取締役カントリーマネジャーとして、日本事業を統括。newmo株式会社を共同創業し、2024年3月に参画。カリフォルニア大学バークレー校経営学修士。

未来都M&Aから3ヶ月を経て掴んだの手応え

──M&Aを通じ、本格的なタクシー事業の経営が始まってから3ヶ月が経過しました。手応えを感じている部分はありますか?

haruna:newmoは2024年3月に大阪府内でタクシー事業を展開する岸交(岸和田交通グループ)に資本参加し、同年7月には大阪の老舗タクシー会社である未来都(みらいと)の経営権を取得しました。2社がどのようにタクシー事業をこれまで運営してきたのか。特に、600台以上を有する未来都がグループインしてからの3ヶ月で、毎週大阪に足を運び、現場を見て学ばせていただいたことで、タクシー事業の理解が進んだのは大きな進捗でした。惜しみなくタクシー事業のいろはを教えていただいた未来都の皆さんには、とても感謝しています。

タクシー事業はnewmoの柱となる事業ですし、今後さまざまな移動に関するサービスを手がけていく上での基盤にもなります。タクシー事業への解像度を高め、両社が抱える経営課題について手触り感を持って理解できたことは、今後の経営方針を定める上で大きな自信になりました。

この3ヶ月間は、経営陣だけでなく、どのチームでもタクシー事業への知識や理解が深まりました。例えば、コーポレートのメンバーも、乗務員の皆さんがどのような会計処理をしていて、どのように営業所と本社のメンバーが連携しているかといった業務フローの理解も進みました。

また、開発のメンバーも現場に足繁く通うことで、タクシーの車載端末とnewmoが開発を進めるプロダクトをどう連携させるか、また給与計算や会計システムとどう連動させるかなど、多様な論点について一気にイメージを具体化できたことは、タクシー会社をグループ内に持つことの強みだと感じています。

──ライドシェア事業に関してはどうですか?

日本版ライドシェア事業については、2024年4月に一部解禁となったときは一定の盛り上がりがありましたが、特に大阪では曜日・時間帯が非常に限定的なこともあり、働き手としてもライドシェアドライバーという仕事の独自性や良さを体験し、理解を深められた方はまだまだ少数に留まっています。来年の大阪・関西万博に向けて、日本版ライドシェアの運行も拡大が進むことを期待しています。

newmoが目指すのは、様々な方の移動をサポートすることです。今後も時間をかけて新しい働き方であるライドシェアの価値について対話を続け、社会に実装していけたらと思っています。

大阪・万博公園で開催したライドシェア出発式の様子


──実際に現場に足を運ぶ中で、何が最も大きな発見でしたか?

haruna:発見は2つありました。1つ目がタクシー会社の経営にとって、採用が根幹であるということです。労働市場の環境が刻々と変わる中で、昔と同じ採用手法や訴求をしても人材を採用するのは難しい。いま勢いがあるタクシー会社を見ていると、先進的な取り組みをいくつも実施しているんです。学ぶべきところがあるな、と思いました。

2つ目はタクシー事業は「接客業」であるということです。現場でタクシードライバー採用において重視していることを聞くと「接客です」という答えが一番最初に返ってくるんです。タクシードライバーは、お客様のご要望をその場で理解し、対応することが求められる仕事です。タクシーの運転技術は後から学べますが、接客の得意・不得意はサービス品質とブランディングに直結するため、接客に対する意識は徹底されています。

──現在、M&A後のPMIの最中だと思いますが、その過程において何か手応えは感じていますか?

haruna:8〜9月にかけて採用の応募数が前年比1.5倍になるなど、採用も高い水準を安定的に継続できていて、チーム内でも「こういうことをもっとやりたい」とアイデアが湧き上がっている状態です。今後はより大胆に試行錯誤していきたいです。

私たちがタクシー会社のことを勉強することも大事である一方で、異業種から参入しているからこそ新しい意見が出せることもあると思っていて。いろんな人たちがいろんな角度から物事を見て意見交換をすることで、新しい良いものがどんどん生まれていくといいなと思っています。

ステアリングコミッティ(合同会議)の様子

大阪・軽井沢に続き、名古屋・沖縄に拠点を立ち上げた狙い

──大阪・軽井沢に続いて、新たな拠点の設立も発表しました。

haruna:newmoが目指す「応援されて選ばれるタクシー会社になる」というタクシー事業のゴールに到達するためには、やりたいこと・やるべきことが沢山あります。目指すゴールから逆算したときに、とにかく早く始めておくことが重要だと思ったんです。

この3ヶ月ほどでタクシー事業の理解も進み、やらなければいけないことも明確に見えてきたので大阪・軽井沢に続いて、新たな拠点を設立することにしました。

──なぜ、名古屋と沖縄だったのでしょうか?

haruna:まず沖縄に関しては、タクシーの供給過剰を理由に車両数を制限する「準特定地域」の指定が解除されたことをきっかけに、拠点の設立を決めました。

名古屋に関しては、準特定地域の指定がすでに解除されており、全国4位のタクシー市場かつアプリを導入しているタクシー事業者の比率も高いことから、優先度高く取り組むべきエリアだと考え、立ち上げを決めました。

その他の都市に関しても、「ここはやりたい」と考えている場所はたくさんあります。タクシー事業者としては、複数の都市できちんと存在感を出していきたいですね。

──今後、どのようにタクシー事業を展開していく予定ですか?

haruna:タクシー事業のビジネスモデル自体は一つひとつの拠点で似たようなものになると思いますが、エリアごとに求められるニーズは異なると思っています。競合などの事業環境も異なるので、きちんとそのエリアの事業環境を理解し、応援してもらえるタクシー事業を作ることが大切です。そうして各エリアで実績を積み重ねていくことが、結果的にnewmoがタクシー事業で全国でトップになることにつながるはずです。

──harunaさんは、どういうタクシー会社にしていきたいと思っていますか?

haruna:やはり多様な方が活躍できる会社にしていきたいです。今まさにいろいろな検討をしていて、より柔軟な働き方ができるような勤務形態を整備したり、時代に合わせて身だしなみの基準もアップデートしていくなども考えています。

また、ドライバーの皆さんに安全に運行いただいたり、より効率的に稼ぎやすくなるようにテクノロジーを活用していきたいですね。配車アプリや無線による売上の最大化や、運行管理の効率化、安全性能が高いUD(ユニバーサルデザイン)車両の導入なども検討を進めています。

「交通の担い手の裾野を広げる」というライドシェア事業の意義

──ライドシェア事業についてはいかがですか。

haruna:ライドシェア事業も手応えを感じています。募集開始以来たくさんの応募をいただき、私たちの想像を超えるくらいライドシェアドライバーのニーズ・関心が高いんだなと思いました。やはり限られた運行枠は一番のネックで、その他にも本業が正社員だと受け入れられないなど条件面などで残念ながら雇用に至らなかった方も多いのですが、そこはポジティブに捉えていて、今後ライドシェアの運行が広がれば、多くの方が活躍していただけると確信を持っています。

稼働可能な時間が限定的なので最初は「どうなるんだろう」と思っていたのですが、これまで退職もほとんど発生しておらず、そこはポジティブサプライズでした。ライドシェアドライバーという働き方の魅力はすごくあると感じました。

──乗客であるお客様の反応はいかがでしたか。

haruna:現在はタクシー配車アプリからの呼び出しに限られているので、お客様側はライドシェアを呼んでいるという実感がないんですよね。なので、ライドシェアの車両が到着すると、ほとんどの方がびっくりされていますね。

ただ、着実にライドシェアが街に浸透し始めているのも感じていて。ライドシェアドライバーの方が毎回お客様に「初めて乗りますか?」と聞くそうなのですが、ここ1ヶ月くらいで「複数回乗ったことあります」という方が増えているみたいなんです。またライドシェアドライバー同士でもnewmoのライドシェア車両を見かける機会が増えているそうで、少しずつ大阪の街に浸透していることが感じられて、すごく嬉しいですね。

──タクシー事業とライドシェア事業は今後どうやって共存させていこうと考えているのでしょうか?

haruna:運転の仕事に興味があってもすぐ「タクシードライバーになろう!」と転職する方ばかりではないと思っています。そういう方にも機会を提供することができる。交通の担い手の裾野を広げるためには、ライドシェアは本当に意味があることだな、と実感してます。

もちろん、既存のタクシー需給を壊すような形でライドシェアを拡大するのは本末転倒ですし、私たちがやりたいことではありません。

今のところライドシェアが増えたからタクシーの需要は減るという影響はないですし、むしろライドシェアドライバーで稼働いただいた方がタクシードライバーを検討したいと言っている事例も生まれているので、良い相乗効果があるのかなと思っています。

タクシー配車アプリで狙うドライバー、お客様への「使いやすさ」の提供

──newmoとしてタクシー配車アプリを年内にローンチする予定とのことですが、どういったサービスにしていきたいと思っていますか?

haruna:まずはドライバーの方にとって使いやすく、なおかつ収入を増やしやすいサービスにしていきたいなと思っています。今のタクシーの車載端末はすごく混雑していて、たくさん案件を受けようとすると安全面が疎かになる側面があります。収入機会を最大化させつつ、車載端末をより効率的に集約することができないかと考えているところです。

後発で参入したからこそ、既存のサービスとうまく手を取り合っていく共存戦略もとれる。タクシー会社様がnewmoと契約し、newmoのシステム・端末を入れたら、配車効率を最大化できるという世界観は絶対に実現したいです。

また、ユーザー向けには、お得さや使いやすさ、待ち合わせのしやすさ、配車の決まりやすさといった総合的に優れた利用体験を提供していきたいと思ってます。今はまだまだアプリが使われないシーンもたくさんあります。いかにお客様のユースケースを捉えて、使っていただけるようにするかも課題です。

いずれは総合的な移動サービスのプラットフォームを構想しているので、「アプリを開いたらタクシー以外の移動サービスも簡単に検索・予約ができる」世界を目指したいですね。

「ロールアップ戦略」を軸に、今後も事業を拡大

──今回大きな資金を調達しました。今後どう勝負を仕掛けていくのですか?

haruna:既存のタクシー会社をM&Aする「ロールアップ戦略」はnewmoにとって大きな戦略の軸でもあるので、そこに資金を優先的に投下していきます。グループインしたタクシー会社のビジネスをよりスケールさせるにあたって、タクシードライバーの採用が大事になるので、そこも引き続き投資ポイントになると思います。

タクシー会社やドライバーから支持を得てタクシー事業を拡大していくことができれば、配車アプリにも大きく投資していける素地が整うはずです。エリアの拡大ペースや、配車アプリの浸透度が、これから1年ぐらいでどのくらい加速できるかで、そこから先の成長角度も大きく変わる、勝負の1年だなと思います。

──採用の面では、どういった人にnewmoに入ってきてほしいと思いますか?

haruna:どんな切り口でもいいので「移動サービス」に対してパッション(情熱)がある人ですね。どんな移動サービスにしたいか、移動サービスを通じて何を実現したいか、面接でアツく語ってくれる人がnewmoには合うのではないかと思います。

また、法規制も絡む事業の特性上、先の展開が読み切れなかったり、事業の前提条件が変わったりすることが多々あります。そういったことに対してワクワクできる人、答えがわかっていないことに取り組むことを楽しめる人にはぴったりの環境があります。

──ありがとうございます。最後にメッセージがあればお願いします。

haruna:ぜひ一度、newmoのメンバーと話してほしいなと思います。newmoには熱い想いを持った人たちが集まっています。newmoにしかない体験があることは保証するので、もし少しでもnewmoに興味を持っていただけたら、カジュアル面談でも何でもいいのでメンバーと話をしてみてください!

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