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不動産事業について考える
今回も引き続き、不動産投資について掘り下げていく。
これまで様々なお金に関する本を読み込んできたが、経済的に成功している人たちのポートフォリオには、例外なく不動産が含まれていると言っても過言ではない。これは、何年も観察してきた中で揺るぎない事実だと思う。
では、なぜ株や債券、その他の現物資産ではなく、不動産が選ばれるのか。理由として思いつく要素は以下の通りだ。
1. 安定収入
2. レバレッジ効果
3. 時間を味方にできる
4. 他人資本を活用できる
5. コンクリート貯金
6. 事業者としての実績
今回は、この中から特に重要な要素を取り上げ、2回に分けて深掘りしていこうと思う。
1. 安定収入
不動産といえば、真っ先に「安定収入」というイメージを抱く人が多いだろう。実際、このイメージは間違っていない。不動産は、他の事業に比べて収入や支出の予測がしやすい。適切な物件を選び、適切に運用すれば、安定した収入を得ることができる。
ただし、不動産収入を「不労所得」と勘違いしてはいけない。不動産投資は、れっきとした事業だ。人的資本と時間を投下する覚悟が必要になる。ただ、一度軌道に乗せることができれば、安定した収入源として長期間機能し続ける可能性が高い。
2. レバレッジ効果
不動産投資の大きな魅力の一つが「レバレッジ効果」だ。これは、金融機関から融資を受けることで、自己資金の何倍もの規模の物件を購入できるという特徴だ。
たとえば、手元に100万円の自己資金があったとする。この100万円で利回り10%の一軒家を購入すれば、年間10万円の収入が得られる。
しかし、金融機関から1000万円の融資を受け、同じ利回り10%のアパートを購入すれば、年間100万円の収入が得られる計算になる。
単純化すると:
• 借入なし:年間10万円の収入
• 借入あり:年間100万円の収入
この差は圧倒的だ。これがレバレッジ効果の力であり、不動産投資の醍醐味でもある。一方、株や債券にはこのような仕組みがない。金融機関が投資目的の融資をしないからだ。不動産に対しては融資が行われる理由については、後ほど詳しく触れる。
3. 時間を味方にできる
不動産投資は「時間を味方にするゲーム」だと言える。早く始めるほど、負けるリスクが下がる。
なぜかというと、返済が進むことで物件が「金融機関のもの」から「自分のもの」へと変わっていき、売却時に利益を得られる可能性が高まるからだ。
たとえば、キャッシュフローがゼロの物件を購入した場合、購入直後に売却すると諸経費を差し引いて赤字になる可能性が高い。しかし、10年後に売却すれば、返済が進んでいる分だけ売却益が期待できる。
つまり、時間が経つほど出口(売却)の選択肢が広がるわけだ。もちろん、条件が悪すぎる物件ではリスクが高まるが、一定のリスクであれば時間の力で吸収できる。不動産投資においては、この「時間」をどう味方につけるかが重要なポイントだ。
次回は、「他人資本の活用」や「コンクリート貯金」について詳しく掘り下げる予定だ。不動産投資を検討している人にとって、これらの要素は外せない話題だと思う。