野村證券も三菱UFJも「子虎」に群がった 対決再び!SPACマンvs空売りファンド 泣き面に蜂アストラゼネカ「疑惑のワクチン」

インサイダー取引の前科
売り抜けたゴールドマン

 「第2のリーマン危機の序曲ではないか」。不安の囁きが漏れてきた。3月下旬に破綻した米国の投資ファンド「アルケゴス」。一般にはほぼ無名のファンドの巻き添えを食い、クレディスイスが47億ドル、野村證券(野村ホールディングス)が20億ドルもの巨額損失を被った。半年分の利益を吹き飛ばす大打撃。2018年のリーマン危機はその前年、2つの投資ファンドの破綻から始まった。歴史は繰り返すのか。金融マンたちが青くなった。

 アルケゴスとは新約聖書に出て来るギリシャ語で「指導者」、即ちイエスのこと。アルケゴ-スの主宰者、ビル・ホワンは韓国系米国人である。常日頃、こう言っていた。「今日という日、何をなせば、また、どこに投資すれば、神がお喜びなるか。私は幼子のようにそればかり考えている」(ウォールストリートジャーナル=WSJ紙4月1日付)。

 クレディスイス、野村を始めゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、そして三菱UFJ、みずほまで。錚々たる大銀行がアルケゴスに群がったのは、敬虔な信仰心に魅了された故ではない。「子虎」だったからだ。ビル・ホワンはタイガー・マネジメントを創設した伝説の投資家、ジュリアン・ロバートソンの愛弟子だった。が、先生もこの弟子の投資術には目を剥いたのではないか。

 少数の銘柄に絞り、銀行から借りたカネで買い上がる。手数料と引き替えに、当該銘柄の値上がり益(あるいは値下がり損)を手にする「トータルリターン・スワップ」というデリバティブ(金融派生商品)も活用し、5~6倍のレバレッジ(自己資金に対する借入金)を効かせた。銘柄を絞れば効率が上がる反面、当然ながら、リスクも高まる。

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