国軍との全面対決に戻るスー・チー 立ち塞がるアウン・フライン国軍総司令官
政治の表舞台への復帰が見えた頃から
軍政との関係を軟化させたのは当の本人
1962年にネ・ウィン将軍が軍事クーデターを起こして以来50年続いた軍事政権。2011年3月にようやく民政移管、そして今年3月末からNLD(国民民主連盟)政権が2期目に入る予定だったが、2月1日、再び軍事クーデターが発生した。民政移管からまだ10年しか経っていないミャンマーは再び軍政に戻ってしまった。
クーデターで拘束されたNLD党首のアウン・サン・スー・チー(以下スー・チー)は、「軍事クーデターへの全面対決」を国民に呼び掛けた。このメッセージは、拘束される前に用意したとされ、NLDを通じてフェイスブックで流された。スー・チーは同メッセージで、国軍は「コロナ流行も止まっていない時期にクーデターでミャンマーを軍事独裁国家に戻そうとしている」と批判した。
かつて15年間の自宅軟禁下、スー・チーは父親で建国の父とされるアウンサン将軍の威光に守られながら、言いたい放題の軍政批判を続け、支持者を増やした。しかし政治の表舞台への復帰が見えた頃から、軍政との対決姿勢を軟化、とりわけ2011年8月、元軍人で民政化を実現させたテイン・セイン大統領(当時)との会談を機に、関係を改善させた。