タバコのポイ捨ては環境に大変な影響を与える!タバコのごみについて知っておきたいこと
世界中でどれだけタバコの吸い殻が発生しているかご存知でしょうか。
世界中で毎年、約6兆個のタバコが消費され、吸い殻となっています。そのうちの75%に当たる4兆5,000億本の吸い殻がポイ捨てされています。*
近所を散歩しながらごみ拾いをしていると、プラスチックごみよりも多く見つかるのがタバコのごみです。意識して歩いて見ると、本当にたくさんのタバコの吸い殻が落ちています。
実は、タバコごみは深刻な汚染問題を起こしています。
たばこのポイ捨てと吸い殻汚染
ポイ捨てされたタバコの中には、多くの有害物質が含まれます。
タバコのフィルターには、農薬、除草剤、殺虫剤などタバコを栽培するときに使用された化学物質や、ヒ素、ニコチン、多環芳香族炭化水素、クロム・カドミウムなどの重金属などタバコ生産と製造に使用された化学物質の残留物が含まれています。
ヒ素、カドミウム、鉛はWHOの「公衆衛生上重大な懸念がある10の化学物質」のリストに含まれていますが、これらの物質も廃棄されたフィルターからニコチン、ヒ素などと共に溶出することが分かっています。*
有害物質は、分解されにくいタバコのフィルターを通じて、自然界に拡散しています。 タバコによって、有害物質が自然界を汚染し、植物や魚をはじめとするさまざまな生きものの体内に入り込み、食物連鎖に影響を与えています。
ポイ捨てされる4兆5,000億本の吸い殻は、ベンゼン、ニコチン、カドミウム、その他数十種類の化学物質が吸収された非生分解性のフィルター7億5,000万〜10億キログラムに相当します。*
たばこの吸い殻も海洋プラ汚染の原因
1年間に製造されるたばこは約6兆本。そのうち90%以上にプラスチックフィルターが含まれ、これは100万トン以上のプラスチックに相当します。路上や側溝に捨てられた吸い殻は、排水を伝わって河川や海に流れ込み、少しずつ小さくなりながら分解されず海を汚染します。*
世界保健機関(WHO)によると、ごみの投げ捨ての中でも特に横行しているのが「たばこの吸い殻の投げ捨て」で、吸い殻の約3分の2は無責任に捨てられています。*
海の生態系を壊す化学物質汚染
最近の研究では、たばこの吸い殻を浸した水に魚を入れると、4日後に半分の魚が死ぬという実験結果も発表されました。
この実験についてサンディエゴ州立大学の専門家は、「たばこの吸い殻が原因で海洋環境に有毒物質が染み出し、生物を死なせている」と指摘しています。*
汚染物質が海の生態系に大きな影響を与えた事例は既に多くあります。
例えば、欧州の海に生息するシャチが、有毒なポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物のせいで絶滅の危機に瀕しているとの研究報告も。自然分解されにくいPCBは、イルカなどさまざまな海洋生物の脅威にもなっており、繁殖能力を著しく害していることも報告されています。*
1987年に禁止されるまで欧州各地の工場や建築現場で広く利用されていたPCBは、食物連鎖を通じて濃縮され、シャチやイルカの脂肪組織に蓄積されています。その上、母乳を介して子世代の体内にも有毒物質が引き継がれるそうです。
喫煙者の中には気軽に吸い殻をポイ捨てする人もいますが、タバコの吸い殻は海へたどり着き、有害物質は生態系で濃縮されて私たちの身体の中へ戻ってくる可能性があります。
海のごみの7〜8割は陸から
海洋ごみの7〜8割は街から川を伝って流れ出たものと言われています。*
タバコは一つひとつが小さいため、「問題にもならない」と思って、ポイ捨てをしてしまうのかもしれません。ですが実際は、路上や側溝に捨てられた吸い殻は、排水を伝わって河川や海に流れ込み、とんでもない環境汚染の原因を作っています。
街中で見かけるタバコのごみは実は海洋汚染と無関係ではありません。
猛毒のタバコのごみは鳥も巣に持ち帰ってしまうなど影響を受けています
あなたの一歩が、明日を変えます。
タバコは人の健康を損なうだけではありません。 世界中の環境、生態系に関わってくる問題であり、喫煙者が責任を持って廃棄することが必要です。
自分や家族、地球のためにタバコを辞めることを検討するのも良いかもしれません。
未来のために良い選択をしましょう!
ゼロから分かるプラスチック問題と海洋汚染
買う・使う・捨てる・また買う…。プラスチック使用量世界2位の日本。多くはごみとなり、海や土に溜まって、動物たち、そして私たちの健康に悪影響を与えています。タバコのポイ捨ては環境に大変な影響を与える!タバコのごみについて知っておきたいこと - 国際環境NGOグリーンピース (greenpeace.org)