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置き去りの2匹の子猫。(1)

実は去年の暮から困惑していることがある。
家のベランダに、近所の野良猫(或いは各家庭を巡回いていた通り猫)が子猫2匹を置き去りにして行ったのである。

母猫は子どもを産むと、場所を移動しながら子育てするものらしいが、どういう了見かその過程で母猫は白いモフモフ(♂)とペンキのついた(♀)輩2匹を我が家(厳密にはベランダ)にステイさせたまま、次の日から二度と姿を現さなくなったという、捨て猫ならぬ置き去り被害者となった吾輩である。

なぜだ。わたしは犬派。母猫に置き去りにされたことを知ってか知らずか一向に立ち去ろうとしないもの静かな子猫たち。母乳がもらえず餓死されては困ると思い急遽猫まんまを差し出すこと数回、当然のことながら次なるは糞尿被害。いっちょまえに臭い。ご近所(わたくし)迷惑甚だしいだろ。仕方がないから100均で調達した小さなケースに猫砂を敷き、簡易トイレをすみっこに設置。「うち、猫飼ってません。」心の中で大家に叫ぶ。

えらい。ちゃんとそこでトイレした。よしよし。でもうち猫飼ってません。
早朝5時、薄暗い中サッシ窓扉に張り付いてピィャォーンピィァォーンとモフモフ(♂)が鳴くとその後ろでペンキ猫(♀)がイーっとハモる。飯か。ちきしょー眠い。

こうして毎日ベランダでじーっとしてどこへも行こうとも行く当てもないちいさな2体を吾輩にどうしろというのか。

姿を消して指折り数え待つこと1週間、2週間経っても母猫は連れ戻しに現れなかった。お前たち捨てられたんだな。こういうのも捨て猫っていうのか?捨て子ってことか。

みじめだ。そういう目で見てしまうとこいつらが気の毒に思えてしまう。同情心が次第に別の感情へともつれていくのを感じつつそれを極力拒み続ける。

ネットで子猫の成長の様子を調べて見るとだいたい生後2か月ーといったところ。餌場とトイレと寝床が提供されているという、猫族にとってはこのプレミアムというべき我がベランダを、モフモフとペンキーはすでに実家と勘違いしているに違いない。オイこら。でも「うち猫飼ってません。」

つづく

Emeru

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