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HEROSHOW / vol.12/ 社会を前進させる北欧のリアルと、対話のプロセス。

こんにちは。NEWHERO事務局の堀内です。

毎回テーマに応じたゲストを招き、インタビューや参加者の皆さまとのワークや議論を交えながら開催しているHEROSHOW。


今回は、2021年11月17日(水)に開催した、第12回HEROSHOW「社会を前進させる北欧のリアルと、対話のプロセス。」のレポートをお届けします!

【ゲスト】
さわひろあやさん
フリーランス  (司書/ライター/デンマーク・ガイド) 
デンマーク在住

轡田いずみさん
株式会社ノルディック・インスピレーション 代表
学生時代にスウェーデン留学を経験

幸せの国の話で終わらせない

イベント冒頭【あなたが持つ北欧のイメージを教えてください】というチェックインでは参加者のみなさまから「すごく静かな感じ」「洗練されたクールなイメージ」「幸福の国ですごい」という言葉があがりました。中には、「北欧の良さを学びたい気持ちはあるけれど、ゴールが遠すぎて現実味がない」というご意見も。

今回は、ゲストのお二人から幸福の国のイメージだけで終わらせてほしくないという想いや、北欧のリアルなお話、現地のお話を伺っていきたいと思います。

ー日本人が持つ北欧のイメージに違和感を持たれたり、「こうしたらもっと北欧の実情が伝わるのに」と感じられることはありますか?ー

轡田さん「私の活動は、北欧の情報を伝えたいという気持ちからスタートしたというより、出産を期に自身の働き方や子どもをとりまく環境の課題を解決したいと考えたところから始まりました。今は、どうしたら北欧の知見を日本の社会が抱えている課題にソリューションとして、学びとして落とせるのかを試行錯誤しています。」

さわひろさん「【北欧は何でもタダで、すごいパラダイス!】という印象が日本に広がっていることが気になっていました。それだけではない
北欧の様子も知ってもらえたらと常々思っていて。もともと社会の変化やデンマークの教育について興味があったので、現地で暮らしているライターとして自分の感じたことや、現地で調べたこと書くことで北欧社会の多様な側面を補い、伝えていけたらと考えています。」

ー轡田さんは北欧関連の事業開発支援や個性と多様性を生かす北欧の教育アプローチを軸にした教育関連事業をされていますが、北欧の良いエッセンスを日本の現場に落とすためには、どのようなプロセスを踏んだらよいとお考えですか?ー

轡田さん「現在、ビジネスと教育の両面で北欧のものを日本へ伝えるお手伝いをしています。ビジネスにおいてはプロダクト自体に【その人がその人の人生をそのまま生きられるように】という思想が込められており、北欧のエッセンスがわかりやすいかもしれません。例えば車いすの事例として、立っている姿勢がとれたり小回りがきいたりその人らしい人生の実現を最大限にサポートしようという思想が根底にあるプロダクトがあったりします。そういった”その人らしさ”を実現できるような物がもっと日本に広がっていったらいいなと願っています。
教育の方は、どの部分を日本に伝えていくべきかという点で難しい点があるなと感じます。
1つのアプローチ案として、【何が正解かわからない時代の中で、情報を精査して批判的に読み取り、他社と協力して道を切り開いていく力】を育む教育について、北欧にある先生育成プログラムがあり、それを日本向けにカスタマイズして伝えていけたらと考えているところです。」

ーさわひろさんは轡田さんのお話を聞いていかがですか?ー

さわひろさん「轡田さんに伺ってみたいのですが、幼稚園や保育園の先生に講演会をした後、【わぁ~素晴らしい!】という感想だけで終わってしまいそうな時に、どのようにフォローアップをされていますか?」

轡田さん「試行錯誤中ではあるのですが、一方的な講義にしないということを心がけています。なるべく、【どうしたら目の前の現場に活かしていけそうか?】とリフレクションをはさむなど、実践へ繋がる思考へ切り替えるきっかけを提供しています。また熱量の高い人達が繋がり続ける仕組みを作り、自分たちの経験をシェアし、日本の土壌に合った学びを作っていくことが、「すごい」や「いいなあ」で終わらないきっかけになれるのでは?と検証を続けているところです。」

さまざまな試行錯誤をしないと、北欧の文化は日本ではなかなか根付いていかないのかもしれません。失敗体験をシェアできる仲間やこれまでとは違うやり方をしている仲間がいる、そういった前に進めるネットワークが作れたら素晴らしいと思います。

北欧は北欧で進化している途中。日本も日本なりに進化していければ


さわひろさんにスライドをシェアして頂きました。

DSB・デンマーク鉄道のファミリーゾーン表示をめぐって(2018 年) 左が当初提案されたもの。女性が子どもを抱き、男性に一方的に話してい る様子が批判された。右が採用されたもの。


北欧でも過去にさまざまな女性差別があり、昔だけでなく2000年代の発言にも現れています。

【女は責任能力がないのだから、政治のことは夫の意見を自分の意見とし
ておけばよい。国会議員(1858 年)】
【女には論理的思考ができない。編集者(1888 年)】
【我が社では育児休暇は採用しない。通例として女性は解雇されてきたん
だから。妊娠する女ではなく、安定して働ける社員が必要だ。銀食器会社
人事課課長(1973 年)】
【女性哲学者や女性数学者、女性建築家などは存在しない。女による素晴
らしい発見というものはそもそも存在しない。
医学博士(1975 年)】
【女は男が働いている間、家庭で子どもと過ごしたいと思うのが、生まれ持った本能なんだ。国会議員(2016年)】


そのような過程を経て、少しずつ社会が変化してきたのだなと感じました。
北欧には北欧のペースがあり、今もまだゴールではありません。日本も日本なりに歩みを進めていく中で、少しずつ進んでいけると信じています。

最後に参加者の皆さまからと、轡田さん、さわひろさんにコメントをいただきました。

日本は輪を乱さないことで全体の幸せを追求する社会で、北欧は自分を大切にできるからこそ他人も大切にできる社会だと感じました。

デンマークは対話社会で、日本は我慢社会だと思うので日本とデンマークを行き来する場合『話すと聞く』のバランスを学んでいきたいと思いました。

轡田さん「【北欧社会は常に変化の希望を感じられます。】というコメントも頂きましたが、まさにそうだなと感じました。日本の社会制度を北欧と同じようにしたいと思っているわけではなく、さまざまな立場の人が安心して自分の意見を口に出し、対話を始められる土壌をつくれたらと考えています。」

さわひろさん「私個人としては、日本は変わってきていると感じています。夫婦別姓の件や、同性婚、パートナーシップ制などの話を目にしますし、自分が大学生の頃と比べたら確実に変化を感じます。今回もこうやって知らない人たちと対話を通して【明日またこんなふうに生きていきたい】と考えを持つ人がいるから、今回のHEROSHOWがあるわけですよね。変化は起こっていると思います。」

今回出演された、さわひろあやさん・轡田いずみさん、そしてご参加頂いた皆さま。
貴重なお時間をありがとうございました!

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NEW HEROはこれからも、社会課題に向き合い活動されるソーシャルアクティビストのみなさまをクリエーティブの力で社会とつなぎ、サスティナブルに活動を続けていくためのお手伝いを通して全国のソーシャルアクションを加速していく活動を続けてまいります。

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ゲスト:さわひろあやさん
フリーランス  (司書/ライター/デンマーク・ガイド) 
デンマーク在住
轡田いずみさん
株式会社ノルディック・インスピレーション 代表
インタビュアー:谷本 明夢
グラフィック:藤田 絵梨(NEWHERO事務局)
文:堀内香(NEWHERO事務局)
















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