子どもの読解力を伸ばす方法に関する、ちょっとしたご提案。
拝啓、新井 紀子(@noricoco)教授
突然、このようなお手紙を出すことをお許し下さい。
さいたま市で6歳と3歳の男の子を育てているuoryと申します。
今回、どうしても新井教授にお伝えしたいことがあり、
こうして筆をとった次第です。
少し長くなりますが、お付き合いいただけますと幸いです。
先日、オフィスで仕事をしていると若手営業マンのK君から内線がかかってきました。
「ちょっと、uoryさん聞いてくださいよ」と挨拶もそこそこにボヤきはじめます。彼の話を要約すると以下の様になります
我々の会社は広告代理店です。得意先の一つに全国に支社を持つ企業がいます。その年間の広告の効果を振り返り、今後の打ち手を考えるために、まず各支社の弊社側の担当営業に簡単なレポートを作成してもらいました。その取りまとめ役がK君であり、彼いわくその各営業担当が作成したレポートの出来がヒドすぎるというのです。
ヒドいというのは、分析が甘いとか精度が低いというレベルの問題ではなく、「日本語の問題」だと言うのです。そのレポートは1年間の広告の効果と前年の効果の比較が数値としてまとめられた上で、その結果に影響を及ぼした(と思われる)「要因」を入力する欄と、それを踏まえた上での今後の「打ち手」を入力する欄という構成になっています。
しかし、担当営業の何人かはその「要因」に「今年度は、こういう施策を実施している」や「担当の方は満足している」といったことを入力してしまっていたのです。
「要因なんだから、『競合他社の広告出稿が多かったから』とか『昨年に比べて費用対効果が改善したのは、こういうキャンペーンを適用したから』とか書くんじゃないんですか!」
とK君は、どんどんヒートアップしていきます。
私はこういう事がある度に、新井教授が問題提起している「読解力不足」を思い出さずにはいられません。というか、この「読解力不足」や「リーディングスキルテスト」が、これだけウケたのは多くの人が薄々、その問題の存在を認識していたからではないでしょうか。少なくとも、私は初めてYAHOOニュースか何かの記事で新井教授の主張を読んだ時、首がちぎれそうな勢いでウンウンと肯いたものです。
広告媒体の入稿スキームがマニュアルでまとめられているのに、ほとんど理解せずにミスしてしまう若手社員。社内の労務手続きのメールを、とんでもなく誤読して多くの人に迷惑をかける50代のベテラン社員。そんな「日本語の問題」は仕事をしていると無数に出会います。
結局、レポートはK君が大幅に書き直すはめになりました。
一方、我が家の6歳の長男です。彼はテキストを注意深く読みます。上野動物園のパンダの観覧時間について、小さな文字で「※日曜日は14時まで」と書いてあれば、しっかりと読んでパパの早合点を訂正してくれたりします。彼がなぜテキストを注意深く読むのか。それはポケカプレイヤーだからです。
やっと本題です。
ポケカとは、ポケモンカードの略称であり、ポケモンカードとはポケモンをモチーフとしたトレーディングカードゲーム(※以下TCG)です。
https://www.pokemon-card.com/
トレーディングカードゲームとは、Wikipediaの説明を引用すると以下のようになります。
トレーディングカードゲーム(以下TCG)とは、各プレイヤーがコレクションしたカードの中から、自由に、あるいはルールに則して組み合わせたカードの束(「デッキ」と呼ぶ)を持ち寄り、2人以上で対戦を行うゲームである。原則として、デッキはプレイヤーひとりひとりが1つずつ用意し、同じタイトルでも持ち主が異なるカードやデッキを混ぜて遊ぶことはない。
TCGには通常、何百種類という数のカードが存在し、それぞれのカードにはオリジナルモンスターやアニメーション原作などのキャラクターをはじめ、様々なイラストが描かれている。また、その描かれたイラストに合わせて、カードごとに異なった能力値や効果が与えられ、数字や文章などで表記されている。
そうカードごとの能力や効果が数値や文章で表記されています。ゆえに「テキストを読み、正確に理解する」ことは、強くなるための必須条件です。一言違うだけで、カードの効果はまったく変わります。
実際に我が家でもあるカードの「バトル場で」という部分を見落としたせいで、あるカードが猛威を振るうという事件がありました。
ゆえに我が家の長男は、カードに限らずテキストをちゃんと読むようになりました。幼稚園の遠足のしおり。公園の注意書き。おもちゃの説明書。理解力もなかなかのものです。
すでに結論めいたものはご推察いただけると思います。子どもの読解力を向上させるのにポケモンカードなどのTCGが役に立つのではという提案です。新井教授が子どもの読解力を向上させるために、様々な授業方法の開発など試行錯誤をされているのは存じています。
TCGは授業ですらなく「遊び」です。しかも、テキストを読めるようになればなるほど強くなっていきます(もちろん、強さが読解力と正比例するわけではないですが、ある程度の読解力は強さの十分条件です)。その構造において、子どもたちは自然とテキストを正しく読む大切さと姿勢を身につけていきます。
特にポケモンカードはポケモンという親しみやすく知名度の高いコンテンツがモチーフとなっており多くの人に薦めることができるのです。
恐らく、世代的に新井教授はTCGは触れたことがないと推察されます。ちょうど、先日、ポケモンカードでは「ファミリーポケモンカードゲーム」という初心者向けの商品が出たばかり。
少しでも興味を持っていただけたなら、梅雨の気分転換にこちらでご主人と遊んでみてください。子どもの遊びと思われるかもしれませんが、世界初のTCG「マジック:ザ・ギャザリング」のゲームデザイナーは新井教授と同じ数学者だそうですよ。
長々と最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
毎日毎日雨ばかりの日がつづきます。風邪などめされませんようご自愛くださいませ。
草々
uory
※半分は冗談ですが、半分は本気です。基本的な読解力を身につけるにはTCGは、いい教材になるのではと思って書いてみました。
※新井(@noricoco)教授への手紙という体裁にしたのは、その方が面白いかなと思っただけで、他意はありません。ご本人の目に入れば、それはそれで面白いですが。