【通訳案内士試験】視座を上げるプレゼンを
現在、私が保有している資格のうち、名刺の表に書いているのが中小企業診断士(本日受験の皆様、お疲れさまでした)と全国通訳案内士。きょうは全国通訳案内士のお話をしてみたいと思います。通訳案内士のお仕事は、外国人観光客に対し、日本の歴史や文化を伝えるプロ。国家資格でありながら、試験の方法も独特です。きょうは通訳案内士の試験そして、海外の人に伝える際に気を付けるポイントについて考えてみたいと思います。
全国通訳案内士とは?
まず、全国通訳案内士とは何か?観光庁の説明を見てみましょう。
「やりがい」を強調する行政特有の「悪弊」は置いておくとして、この資格は「語学3冠」のうちの一角ともいわれます。つまり、英語だとTOEIC860点、英検1級と並び称される資格でもあります。ポイントしては、「歴史・地理・文化等に関する幅広い知識・教養を持って日本を紹介する」というところ。ほかの語学試験は言語力そのものが試されるのに対し、通訳案内士は日本語での知識を持っていないと試験に通過できないという特徴があります。
ポイントは2次試験
2次試験は「通訳」と「プレゼン」から成り立っています。
通訳は20秒程度の日本文化に関する文章を面接官が読み上げ、それを受験者が通訳するというもの。「プレゼン」は3つのお題から1つを選び、それについて2分スピーチした後、面接官と受験者が質疑応答を行うというものです。ちなみに、私が受験したときのお題は①講談、②マイナンバーカード、③ゆず湯から1つを選ばなければならず、一瞬頭が真っ白になりましたが、ゆず湯についてしゃべりました。ゆず湯の定義、ゆず湯は冬至に入るものという話(winter solsticeという単語が即座に出てこなかったので、we take the citrus bath on the day when the night is the longest in a yearみたいに言いました)、あとは、別府市営温泉でこの時期に無料のゆず湯に入れるぜ、という話をして終わりました。しかし、この3つのお題、かなり意地悪に感じたものです。
地域通訳案内士の罠
その一方で、地域通訳案内士という制度もあります。
ここ、私にとって、すごく引っかかるポイントがあります。それは、「特定の地域において、その固有の…」という部分。つい最近も、多くの地域通訳案内士の方々と接する機会があったのですが、そこで感じたのは、「地域固有のことにフォーカスが当たりすぎていないか」ということです。
例えば、京都・東寺の五重塔を案内するとします。「弘法大師がおつくりになった」「五重塔の内部構造」「金剛界曼荼羅の意味」など、もちろん知識として知っておくことはいいのだけど、私としてはもう少し全体像を伝えてほしいとも思うのです。例えば、「釈迦の仏舎利をお納めする建物」というジェネラルな情報はもちろん、「タイや中国でも同様の建物があり、それぞれの建築様式と結びついている。日本では木材建築と結びついた」など、一般的な話があれば、具体の話が入ってきやすいのではないかと考えます。
木も見る、森も見る
説明の基本は全体→個別。であれば、通訳案内士も全国であれ、地域であれ、全体も個別も両方話せるほうがいいに決まっています。地域に固有のことだけを学んでも、それはあくまで氷山の一角。
じつは、この週末もとある自治体のガイド育成にかかわっており、面接官をしたのだけど、改めてそのことを強く感じた次第です。
もう一度言います。全体と個別。これは両輪だとつよく主張して本日の投稿を〆たいと思います。