チェリストは、奴隷である。
チェロという楽器を長年弾いてると、自分は何のためにチェロを弾いてるのか分からなくなってくる。
音楽を楽しむため?それとも、音色を楽しむ為?
この記事では3歳から30年間チェロをやっている現役プロの私が最近うっすらと見えてきた「チェリスト」とは何なのか、本質的な部分を語ろうと思いますので、是非最後まで読んでいただけると嬉しいです。
1.チェリストは音楽家ではく、奴隷。
チェリストが尽くすべきは作曲家でもお客さんでもなく、チェロです。チェロの奴隷です。逆らえません。
なぜならどんなに頑張ってもチェリストの体、顔から音は鳴らないからです。なので、まずは楽器の中に眠っている音を引き出すための努力を怠ってはいけないのです。
なぜ、そこまで尽くさないといけないのか…
チェロから出る音には、既に十分に音楽性が宿っているからです。
自分はここをこう弾きたい!
気持ちを全面に押し出したい!
…というのは二の次で、まずは楽器の持つポテンシャルを引き出すことに尽力するべきなんです。
「音楽性」は楽器や曲に任せて、自分は楽器を「鳴らす」ことに専念しましょう。
2.一流の演奏会はどう思っているか聞いてみた
チェリストは奴隷である。
この考えを億を超える楽器を所有している現役プロの演奏家に尋ねたところ、
「奏者は楽器のポテンシャルを引き出す存在」
とおっしゃっていました。
やはり、演奏する時の思考のプライオリティはそこなんだなと。
クラシック音楽を表現する上で、楽器と奏者の関係性は非常にセンシティブです。
どこまでが奏者の役割で、どこから楽器の役割なのか…
奴隷という言葉は相応しくないのかもしれませんが、僕はそれ以上の言葉が思いつきません。
もしかしたら1番ふさわしい言葉、
それがまさに「チェリスト」という言葉なのかもしれませんね。
皆様の演奏のヒントになればと思います。
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