![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79758303/rectangle_large_type_2_84002f5d19c6fb6bd2e9ca0317ad9930.jpeg?width=1200)
高い壁を超える時の2つの方法
あなたの目の前に「声が小さい」ことで悩んでいる人がいるとします。
あなたは、どんなアドバイスをしますか?
果たして「大きい声を出そう」とアドバイスすれば、その人の悩みは解決するのでしょうか?
そのアドバイスでは解決できない可能性が高いです。
なぜなら、きっと今までもそのアドバイスはされてきているはず。
そのアドバイスが有効なら、とっくに悩みは解決できているはずだからです。
では、どうしたら問題解決できるのでしょうか。
問題解決のための方法は、「練習」ではない。
問題解決のために必要なことは...
「どうやったら、大きい声で話せるようになるのか?」
具体的には「どんな練習をしたら、大きい声で話せるようになるのか?」
解決するための「方法」、つまり具体的な「練習方法を考える練習」を考えるべきなのです。
この「練習方法を考える練習」こそ、第1の「出来ないことが出来るようになる”魔法の方法”」なのです。
私自身、この「練習方法を考える練習」には随分助けられました。
時間を割くべきなのは、
「練習方法を考える練習」、それはバークリー音楽大学留学時代に生まれました。
「ジャズの学校」であるバークリー音楽大学のギターの基本メソッドは全てジャズでした。
在学中に「Proficiency」(直訳:習熟度)というギターのテストを、レベル1からレベル4まで合格しなければ卒業できないシステムでした。
元々私はジャズギタリストではなかったため、「ジャズは難しかった」のです。
「こりゃ、普通にやったら無理無理。それじゃ合格できない」
でも、それでは卒業できないので、私も必死でした。
「どんな練習をしたらいいんだろう?」
…というように
「練習方法を考える練習」
をするようになりました。
電車に乗っていても「練習方法を考える練習」をしていました。
頭に浮かんだ練習方法をやってみては、
「あっこれいけそうだ!」
「あっこの練習はだめだ!」
…という「実験」を繰り返しました。
もう「あの手この手」です。
まともにやってもダメなのはわかっていたので、
頭に浮かんだ練習方法を、片っ端からトライするしかないのです。
そのような、「練習方法を考える練習」、そして「実験」を繰り返し
なんとか「Proficiency」をレベル1からレベル4まで合格、無事卒業できたのです。
でも実は、ギターを弾いている時間はそんなに多くはなかったと思います。
それより「練習方法を考える練習」に時間を割いたのを覚えています。
具体的方法
このときの経験は、作曲にも役立ちました。
いざギターやピアノを弾く前には、イメージができているべきなのです。
イメージがないままに、「作曲作業」に入ったとしても、迷うばかりです。
必要に迫られると、おのずから発明や工夫がなされる、「必要は発明の母」といいますが、「出来ないことがあった」おかげで、「練習方法を考える練習」という「魔法の方法」に辿り着けたと思っています。
この「魔法の方法」は、その後直面した様々な問題や悩みも解決してくれてましたし、現在、ボイストレーニングの指導をしていても多くの生徒さんを救ってくれています。
では「練習方法を考える練習」とは何か、具体的に説明すると...
例えば、「声が小さい」という悩みを解決したい場合
まずは、その原因を分析します。
<原因 と 対策>
「どこか自信がない自分」→「自信を持てる自分」に変える
根本的な原因は「どこか自信がない自分」
目先の結果を急いで無理やり「声を大きく」することは根本的な解決にはならないので
大元の「どこか自信がない自分」を「自信を持てる自分」に変えれば良い、ということになります。
次に具体的方法を考えます。
<方法>
「アウトプットから考える方法」
ここでの方法こそ、第2の「出来ないことが出来るようになる”魔法の方法”」の「アウトプットから考える方法」です。
「アウトプット」とは「形」、要するには「なりたい自分」です。
まずは「形から」でも「なりたい自分」=「自信を持てる自分」に変えてしまえば「中身」は後からついてくるからです。
では「自信を持てる自分」「自信がある自分」とはどんな人なのか?
アウトプットから考えると...
例えば、「ゆっくり話せる人」は、周りから見て「ゆったりした人」そして「自信がある人」に見えるのではないでしょうか。
だったら、「本当の自分」は一旦置いといて、「ゆっくり話せる人」になれば良いということになります。
「形から」でも「ゆっくり話せる人」そして「自信がある人」に見えれば、
次第に「本当の自分」も「自信がある人」に近づいていけるはずです。
この「アウトプットから考える方法」なら、
「声が小さい」という表面上の問題に固執しなくても、
大元の「どこか自信がない自分」を「自信を持てる自分」に変えさえすれば良いのです。
そして、そのためには「ゆっくり話す」こと。
事実、私が行なっているレッスンでも
「声が小さい」生徒さんには「大きい声を出して」とは言わずに「ゆっくり話そう」と指導します。
具体的にはメトロノームを使って、ゆっくりのテンポに合わせて話す練習や
「戦場カメラマン 渡部陽一」さんのモノマネでゆっくり話す練習を行うと
「声が小さい」という問題は改善されています。
この練習だけをみれば「早口を治す練習」に見えると思いますが、実はとても有効な「小さい声を改善する練習」になるのです。
問題解決は逆算で解決
人はうまくできないことがあると、ついその「症状が出ている問題」のみに目がいきがちです。
たとえば、「音程が不安定」だとすると、その「音程を良くする」ことのみ意識してしまう…
指導者にしても「そこの音程が低いよ」と単なる指摘、「音をよく聞いて」と漠然としたアドバイスに終始することが多いです。
もちろん、そのやり方で解決できれば良いですが、それでは解決できない場合は
私の30年に及ぶ指導経験から…
1.「練習方法を考える練習」
2 .「アウトプットから考える方法」
を強くオススメします。
私を含む多くの人の「出来ないことが出来るように」してくれた「魔法の方法」だからです。
小泉 誠司