
Uber配達員は使い捨て?アメリカ地獄の副業を辞めた理由
私がアメリカUber配達を辞めた理由 〜Uber Eats配送システムの闇〜ヤバい
最近、日本で🔥炎上したUber Eatsの配送問題について。アメリカでUberの配達を経験した者として、その裏側を少し見てみようと思う。
実際、Uber Eatsの配送システムの問題点を肌で感じた。Uberは結局のところ、配送員を使い捨ての駒としてしか見ておらず、手数料や配送料の設定、ランクシステムの仕組み、そして顧客対応に大きな問題がある、と私の経験から悟った。
配送料・手数料・経費とUberアプリシステムの問題点
Uber配送の収入は地域によって大きく変わる。アメリカはチップ制度だからだ。
Uber配達員の収入は地域や客層によって大きく変化し、チップ制度があるため、場所によって収入の格差が激しいのが特徴だ。
例えば、「リッチな立地」ではチップが高めに支払われることが多く、配達員にとっては魅力的な地域になる。しかし、そういったエリアでは競争率が高く、良い案件を獲得するのが難しい。一方で、低所得層の多い地域では、チップがほぼ期待できない。しかも、そういった地域の配達リクエストは走行距離が長く、ガソリン代の負担が増すため、配達員にとっては大きなリスクとなる。アメリカでは(ダウンタウン周辺以外では)片道25マイル(約40km)、往復50マイル(約80km)の配達も珍しくない。
ダウンタウン周辺が魅力的に感じるかも知れないが、駐車場が見付からない、高層階へ持って行くから時間が掛かる、などの支障が生じる。
しかし、そうした長距離配達でもUberのシステムが十分な報酬を保証するわけではなく、手数料を差し引くと赤字ギリギリになることも多い。
さらに、Uberの「ランク制度」*がこの不公平な格差を助長している。
「ランク制度」とは、*Uber Pro*と言われ、配達員の努力に応じて特典を提供するプログラムだが、3か月ごとにポイントがリセットされるため、パートタイムの配達員にとって高いランクを維持するのは難しい。
**Uberのリワードプログラム**
ランクは Blue → Gold → Platinum → Diamond と上がっていくが、プレミアムからダイアモンドへの昇格には500ポイントが必要。1配達毎に1ポイントである為、500ポイント溜めるには500配送⁉…毎日8配送以上してやっと次のランクョ!
ブルーからゴールドまでは比較的簡単に達成できるものの、実際に得られるメリットはほとんど感じられない。
上級ランクの配送員プラチナやダイアモンドのランク配達員には良い案件が優先的に回る
低ランクの配達員ブルーやゴールドは、チップの少ない客層の配達ばかり割り当てられる
3ヵ月ごとにポイントがリセットされるため、せっかく貯めたポイントを次のランクであるダイアモンドへ移行のが難しい
このため、新しく始めた配達員やパートタイムの人は、稼げるレベルに達する前に辞めてしまうケースが多い。
さらに、Uberは「客向けのプロモーション」(例:「初回2回無料」「配送料$0キャンペーン」など)を頻繁に実施するが、そのしわ寄せは配達員に来る。Uberは手数料をしっかり確保する一方、配達員の報酬は大きく削られる。しかも、Uberは配達ごとの手数料を25〜40%も取るとされており、時には顧客が支払う総額の50%以上をUberが搾取するのだ。
加えて、Uberの料金システムは「予測値」で提示されるため、実際にいくら稼げるかは配送後にならないとわからない。チップの少ない客に当たると、最初に表示されていた金額より大幅に低くなることもザラにある。
結果として、「配達してみないと損か得かわからないギャンブルのようなシステム」になっており、これが配達員のモチベーション低下につながっている。
結局、Uberは配達員を「使い捨ての労働力」として扱い、手数料を最大限搾取することで利益を得ている。一生懸命働く配達員ほど、このシステムの不条理に気づき、最終的には辞めていく。
Uberの悪質なルート設定
さらに問題なのが、Uber配達システムが配達員をどんどん遠く(人気のない地域)へ送り込む仕組みになっていることだ。
危険なルート誘導と、強制であり無理な意思決定
ピーク時には、2件同時配達が発生することがある。例えば、2件目の配達終了間際、あと数分で到着というタイミングで、ほぼ必ずと言っていいほど次の配達リクエストであるポップアップが表示される。
「配達先近郊」なので、実際にはプレミアムランクで選択した「お気に入り地域」から20分ほど離れた場所になる。そのため、次のリクエストもその配達先周辺エリアで発生し、結果的に元いた場所からどんどん遠ざかってしまい、気づけば「お気に入り地域」を出て40〜50分も遠くへ来てしまうことになる。
元の場所へ戻るのに1時間かかるなら、「うまくいけば戻りながら配達ができるかも」と期待するが、Uberのシステムはむしろ逆方向へ行かせるパターンが多い。その結果、結局元のエリアへ戻れないケースが頻発する。
このポップアップの次の配送リクエストは30秒以内に受け入れるかどうか判断する仕組み。これには配達先住所、報酬額、走行距離など記載されていて、運転中に一瞬で判断しなければならない。
もしスキップすると自分の受け入れ率(acceptance rate)が下がり、ランク維持に悪影響が出る。
しかも運転中に確認しなければならないため極めて危険!
OKすると、どんどん遠くへと誘導され、気づけば治安の悪いエリアに到達していることも多い。
なので、もの凄いジレンマなのである。
私自身は "プレミアムランク"(受け入れ率70%以上が条件の一部) を維持したかったため、半分以上のリクエストを仕方なく受けていた。
なぜなら、プレミアムランクになると "Favoriteエリア"(お気に入り地域) を選択できるが、これも一見メリットに見えて 実際は"外れの配達"を押し付けられる罠 のようなものだ。
結局、元いた場所へ戻るのにガソリン代だけがかさみ、効率の悪い働き方を強いられる。
収入が見合わない、Uberの配達員に未来はない
ガソリン代の高騰により、配達コストは増加する一方で、報酬は減少。
結果的に時給換算で10ドル前後となるケースも多く、期待値の収入を維持するのは困難。時々マクドナルドの方が時給$良いじゃん!って感じる。
こんな状況では、やる気のある配達員ほど辞めていき、悪循環が生まれている。
Uberのシステムは交通違反を助長している
そもそも論で、このUberシステム自体、道路交通法違反を強要しているようなものだ。
運転中のテキスト禁止されている州はアメリカにも多く、それにも関わらず、Uberアプリでは小さな画面に表示された住所を30秒以内に読まなければならない。
信号で止まっているときならまだしも、大抵の場合、「あと5分で配達先に到着」という運転中のタイミングで邪魔なポップアップが出る。
このシステムがある限り、配達員にとって安全で且つ快適な働き方はありえないと痛感した。
配達員のキャンセルペナルティと理不尽なレートシステム
配達員が不満を感じる最大のポイントの一つが、キャンセルに対するペナルティだ。
配達員がキャンセルすると、自分のレートが下がる。
しかし、客やレストランがキャンセルしてもUber側は配達員を守らない。
時には長時間待たされた挙句にキャンセルされることもあり、その場合、ピーク時の貴重な稼げる時間が無駄になってしまう。
例えば、「5分以上待たされたらキャンセルペナルティなしにしてほしい」とUber側に聞いてみたが、カスタマーサービスはただマニュアルを読むだけの形式的な対応だった。
また、ランクが下がる原因の一つとして「遅延」がある。例えば、アパートの高層階に住んでいる客が部屋番号を書かずに注文し、配達員が連絡すると「今降りて行く」と言ったままなかなか来ないという状況だ。
配達付近到着後の7分以内に配達終了しないと、遅延扱いになり、配達員の評価・レートが下がる。客の対応ミスにもかかわらず、すべての責任を配達員が負わされるため、不甲斐ない気持ちになることが多い。
アメリカではチップ制度が一般的だが、チップを支払わない、または極端に少額のチップしか渡さない顧客も存在する。そのような顧客は配達員に対して横柄な態度を取ることもあり、モチベーションの低下につながる。
まぁ毒を吐くと「この距離で$1.50の配送やってられるか!」とか感じる。
そんなこんなでUber側は金を重視しているため、客とレストランしか大事にしない。”高い手数料のぼったくり”とも言い、こういった「カスタマーサービス」や「Trust&Safety」の内部経費に充てられているから、配達員から搾取するしかない仕組みになっている。
まとめ
Uberの配送システムは、基本的に配達員を消耗品として扱い、利益の最大化しか考えていない。リッチなエリアではチップが多いが、競争が激しく、悪い地域では走行距離が長く、経費がかさむ。さらに、Uberのシステムは配達員を不利なルートに誘導し、キャンセルや遅延の責任を一方的に押し付ける。結果として、真面目に働く配達員は嫌気がさして辞め、適当な配達員だけが残る悪循環が生まれている。
報酬や待遇の悪化により、熱心で優秀な配達員は他の仕事を探す傾向がある。その結果、サービスの質が低下し、顧客満足度の低下や不満につながるだろう。
これらの要因が重なり、私はUberでの配達業務を続けることに限界を感じ、辞める決意をした。
インフレの影響で本業の後や週末に少しでも稼ぎたかったが、ハードワークをしても意味がないと悟ったからだ。
Uberが配達員を使い捨てのように扱うビジネスモデルを見直し、持続可能な労働環境を提供することが求められている。Uberが配達員を使い捨てにする企業体質を改めない限り、根本的な問題は解決しないだろう。