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私を構成する5つのマンガ

寄生獣

云わずと知れた名作です。父親も本・漫画をよく読むため実家に漫画はたくさんありました。そのうちの1冊が「寄生獣」、出会いは連載終了から3年後の1998年。当時小学4年生だった私はこれをきっかけに漫画にハマり、10代は漫画中心の人生でした。例えば休日のたびにBOOKOFFへ通うようになったり、埼玉の親戚の家に2週間遊びにいったときには山手線のすべてのBOOKOFFを巡り、帰りはトランク2つぶんの漫画を持って帰ったり……。

今回ざっと計算してみたところ、どうやら私は10,000冊くらい漫画を所有していて、250万〜350万円くらいは漫画に費やしているらしいことがわかりました。

それもこれも寄生獣のせいです。ありがとうございました。

作者の岩明均さんは父親が考古学者らしく、資料を収集することの重要さを自然と学んでいたそうです。寄生獣の話から逸れてしまうのですが、「ヒストリエ」での圧巻の戦場の描写や、「雪の峠・剣の舞」での武士の振る舞いや合戦の様子などは丹念な資料収集の賜物だと考えられます。

世紀末リーダー伝たけし!

小中学生のころ、たぶん最初に読んだジャンプ漫画だったと思います。漫画にハマったのが1998年なのでそれ以前のジャンプ漫画はあまり馴染みがなく、この漫画をきっかけにジャンプ漫画を毎週読むようになりました。

また漫画自体も好きだったのですが、もう1つ印象的なのは同じ沖縄出身という点。沖縄出身のアーティストは結構いたのですが音楽にはあまり興味がなく、全国で活躍している沖縄出身の人として最初に意識したのが島袋光年さんで、勝手に親近感を覚えていました。

そんな好きな漫画家さんの好きな漫画の突然の休載、そして打ち切り。衝撃的でした。まだ社会に出る前 (中学生2年生) でしたが、世間の反感を買うととんでもないダメージを受けるのだということを見せつけられ、社会に対する恐怖感を植え付けられました。

げんしけん

「オタク文化」が社会に受容されたきっかけは、2004年の「電車男」だと思っています。「げんしけん」はその前の2002年に連載が始まり、連載が終わった2007年ごろには漫画・アニメに対する世間の評価がポジティブなものに切り替わっていたように感じています。「げんしけん」の序盤、終盤、そして続編の「げんしけん二代目 」と読み進めると、「オタク」についての世間の空気感の変化が読み取れて面白いです。

ちなみに私は2004年に高専に入学しました。高専というのはたいてい山奥など僻地にあり外界と遮断されていているため世間の変化に疎くなってしまうのですが、5年間の高専生活を終えて2009年に僻地から世間に戻るとある違和感を覚えました。「オタク」が悪口ではなくなっていたのです。

私が中学のころ「オタク」は完全に100%悪口でした。僻地で過ごした5年間の間に「オタク」という言葉が必ずしも悪口ではなくなっていたので浦島太郎のような気分になりました。

「げんしけん」は私にとってその感覚を証明する作品です。

賭博破戒録カイジ 1巻

福本伸行作品としては「銀と金」のほうが好きなのですが、「私を構成する」漫画としてはこの作品、というより具体的には"破壊録"の第1巻、班長のセリフです。

「明日からがんばろう」という発想からは……
どんな芽も吹きはしない……!
そのことに20歳を越えてまだ……わからんのか……!?
明日からがんばるんじゃない……
今日……今日だけがんばるんだっ……!
今日をがんばった者……
今日をがんばり始めた者にのみ……
明日が来るんだよ・・・!

「今日だけがんばる」この言葉をたまに思い出して自身を律しています。

しかもこれ、主人公と敵対する悪役の、それも借金を背負い地下で強制労働をさせられる底辺の人間を束ねている「班長」レベルの人間のセリフです。つまりラスボスなどでは全然ない、序盤の悪役の言葉なのですが、それなのにずっと心に刺さっています。

「寄生獣」や「ハートキャッチプリキュア」でもそうでしたが、敵役に信念みたいなものがあると、作品の深みが一気に増しますよね。

電撃!ピカチュウ

おそらく、これのせいで性癖が捻じ曲げられた気がします。

10代のころ、この作者の作品は全部読みました。

この作品に限らず、ポケモンの本家のキャラクターデザイン自体、子供向けの無害そうなイラストの中に巧妙にエロを隠してくるので、新しいバージョンのポケモンが出るたびにイラストをチェックしにいくのですが、宮崎駿もそういった類の、気づいてしまったほうに責任を負わせるやりくちでのエロをしっかり描いているので、その文脈なのだと解釈しています。

まあ「電撃!ピカチュウ」は完全に狙いにいっていたのであれですが。

候補から外した作品 (ほかの人オススメできるのはむしろこちら)

今回は「私を構成する」という視点なので他の人にオススメしたい、という視点は排除して、作品としての好き嫌いや、クオリティという観点ではなく「人格形成や、人生に影響を受けた」かどうかを基準にしました。

そのため以下に挙げた漫画は候補から外したのですが、概ね作品として面白いものが集まっていると思います。なので漫画として他者にオススメできるのはむしろこちらかもしれません。

ということでもったいないので列挙しておきます!

おひっこし
「無限の住人」の沙村広明さんの別名義での短編作品で、大学を舞台にした青春群像劇 (?) と、全力でふざけているハイセンスギャグ漫画です。

絵のうまさ (特にダイナミックな構図) は、頭抜けているため注目されがちですが、この人は短編の名手だと勝手に思っています。学生のころ漫画の貸し借りをする際、何冊か渡す漫画の中に必ず潜ませていました。

EDEN 〜It's an Endless World!〜
ウィルスの大流行で人類が危機に瀕し、サイボーグ技術が発達した100年後の世界で、世界を統一しようとするキリスト教系の勢力と、抵抗するそれ以外の勢力との攻防を描いたSF作品です。

主人公が南米の麻薬カルテルの息子だったり、イスラム系のテロリスト組織に焦点を当てたり、当時あまり見ない設定もたくさんあり面白かったです。

ちなみに「ノマド (遊牧民)」という言葉はこの漫画で知りました。「ノマドワーカー」という言葉を聞くたびに、キリスト教圏の価値観で世界を統一しようとする「原父 (プロパテール) 連邦」に抵抗するテロリストのイメージが頭に浮かんでしまいます。

攻殻機動隊
映画やアニメも好きですが私はやはり漫画派です。SFとしてのクオリティがぜんぜん違うように思われます。おそらく、詰め込まれた設定について半分も理解できていないのですが、時代が進むについれて「こういうことかな」と理解できる部分が増えてくる不思議。どれだけ先が見えていたのかと。

ビジネスマンはSF読んでおいたほうがいいという言葉を聞いて、気になっている人は、まずは攻殻機動隊から読めばいいと思います。

ブレット・ザ・ウィザード
1960年代のアメリカを舞台にした、魔法 × ガンアクションです。バレルの内側に魔法の呪文が書かれていて、銃弾が発射されるときにその呪文を纏って発射される、という設定がかっこよすぎる!

皇国の守護者
漫画も好きだし伊藤悠さんも好きなのですが、どちらかというと原作小説の力もが大きいと考えるのと、漫画版は原作小説の2巻以降に登場する「個人副官」の設定がないので候補から外しました。

とある事情により漫画は絶版になっているので見かけたら即買いしてください。全5巻です。

アイシールド21
「スラムダンク」のころ、まだ漫画を読んでいなかったのでアイシールド21が、最初に出会ったスポーツ漫画でした。キャラクターや各チームの個性がバラバラで、それぞれのキャラクターが輝く場面がしっかり描かれておりアツい!

柔道部物語
スポーツ物というより部活物としては1番好きです。「スラムダンク」に匹敵する傑作と思っていますが、いまいち好きだという人に出会わないので布教したいです。

素人の主人公が何度も壁を乗り越えて実力をつけていく王道のスポーツ漫画で、尻上がりに面白くなっていくので一度読み出すと毎回最後まで読んでしまいます。そしてラスト! 何度読んでも感動します。

HUNTER×HUNTER
絵と、ストーリーと、設定が上手いという視点で語られることが多い冨樫義博さんですが、技術論として漫画が上手いです。具体的には「構図」と「コマ割りの緩急のつけかた」なのだと思うのですが「絵が上手い」と「漫画が上手い」は別物だと認識したきっかけだったので印象に残っています。

(のちに、岡田斗司夫さんの動画でも同じような指摘をしていたので嬉しかったです。)

もちろん「レベルE」も好きです。

アゴなしゲンとオレ物語
1巻と最終巻を買ってください。たぶんマンガ史上一番絵が上達していると思います。絵を描いている人なら「人間はこれだけ絵が上手くなるのか」と勇気をもらえるか、もしくは絶望するはずです。

就職難!! ゾンビ取りガール
ゾンビが社会に受容されていて、その駆除を仕事としてこなしていく荒唐無稽な設定なのに、その会社の中で創意工夫をして業務改善をしていったり、職場での人間関係などの日常が描かれていたり、あまり見ないつくりになっていて面白いです。

宗像教授伝奇考
知識欲がとにかく刺激されます。大学の民俗学教授が日本各地に伝わる伝説を取材し、推理していくのですが、漫画の中に出てくる、アジア一帯に伝わる白鳥伝説と、鉄、そして天文学を結びつけた説は説得力がありワクワクしました。

異種族レビュアーズ
作者が天才です。Twitterをフォローしていると、日々斬新な発想を提供してもらえるので毎日が楽しくなります。

メイドインアビス
作者が変態です。内容のエグさがすごいものの、ネガティブには描かれていないのがすごい。作者のつくしあきひとさんが、宮崎駿さん、田亀源五郎さんと並んでいる写真がとても好きです。

ダンジョン飯
異世界ファンタジー物は、誰も実物を見たことがないため、現代社会を舞台にした作品よりは楽に描けてしまうそうですが、その異世界ファンタジー物の中でリアリティが追求されていて、読んでいる最中は実際にそういう生き物がいるという錯覚をさせられてしまいます。

#私を構成する5つのマンガ


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