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【劇場めし 第9回】下北沢の箱根そば

「劇場周辺の、おすすめのご飯屋さんをご紹介!」するこのコーナー。今回は下北沢、皆さんご存知の演劇の街です。本多劇場を中心とした「本多劇場グループ」が運営する小劇場が複数あり、北沢タウンホールなど公共施設での演劇上演も盛ん。アトリエなども数多くあるので、演劇に限らず多様な表現活動が行われている街だと思います。

そして、下北沢はグルメの街でもあります。カレーやラーメンなどの人気店も多く、美味しいもの散策が楽しい街です。劇場めし的にも何度も訪れる街になるでしょう。過去に人気スープカレー店・マジックスパイスを紹介した記事もあるので、是非そちらもご覧下さい。

今回ご紹介するのは「名代 箱根そば 下北沢店」です。少し長くなりますが、その理由を説明します。小田急線沿線を中心に展開している立ち食い蕎麦チェーン「名代 箱根そば」は、小田急線利用者の方々に馴染みのあるお店だと思います。以前は下北沢店があったのですが、2007年の下北沢駅大改修工事に伴い、閉店してしまいました。ところが2019年10月、約12年の時を経て、下北沢に箱根そばが復活したのです!

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2019年から約2年後、遅ればせながら(苦笑)僕はその復活を知ります。2007年に下北沢から箱根そばが無くなってしまうと知った当時、随分と寂しい気持ちになりました。下北沢は頻繁に訪れる街で、劇場へ行くことが主目的でしたが、飲食店にも大変お世話になりました。朝まで営業していた喫茶店のぶーふーうー。みそパンやカレーパンで有名なアンゼリカ。たこ焼きの大阪屋……。僕は下北沢に住んだ経験はないので、常連になれるほど通っていないのですが、それでも、思い出深い飲食店が沢山あります。下北沢で最も多く口にしたのは、上演中の劇場ロビーで食べた「まい泉のかつサンド」なのですが(笑)。

箱根そば。復活以前は小田急線下北沢駅の改札隣にありました。当時の改札は2階にあり、改札を出て左へ曲がり、すぐの位置。改札外・内、どちらからも入店できる構造でした。箱根そばを通り過ぎ、階段を下ると、OFF・OFFシアターや駅前劇場が入っているビルの手前に出ます。つまり小田急線で下北沢へ通う演劇人や観客のほとんどが箱根そばの店頭を通っていたことになります。この立地、小屋入り前に小腹を空かせていたり、温かいものを食べたい季節には、魅惑的ですよね。ということで、今回は復活した箱根そばへ行ってきました!

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いざ店頭に立ちます。懐かしさ……はあまり感じませんが(スミマセン)、改札から歩いて10秒の距離は、やはり利便性が高い。京王線改札を出て右手側、小田急線改札を出て左手側にあります。ちなみに小田急線は改札内からも入店できます。この日はあまりお腹が空いておらず、何を頼むか悩みました。昔の僕がよく頼んでいたのはミニカレーセット。ここはひとつ、同じ物を頼むべきでしょう!

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かけ蕎麦とミニカレーが並んだカレーセット。見た目の懐かしさは、ありますね。昔は卓上の七味唐辛子を蕎麦にもカレーにもかけていたので、それを再現しつつ。まずお蕎麦。うん、スルスル食べられて、胃袋にストンと収まるシンプルな立ち食い蕎麦。出汁はやや甘めの後味、わかめの食感も良いアクセントに。……あれ? お腹空いてなかったのに、違和感なく食べ進めているぞ。

ミニカレーも一口。こちらは食べた瞬間「あー、これこれ!」と感じました。ほんのり出汁の効いたサラサラの甘口カレー。老若男女が食べやすいカレーライス。福神漬けと一緒に食べると個人的に懐かしさ倍増。ルー&福神漬け&ご飯の組み合わせ、好きだったなぁ。カレーを食べ、蕎麦をすすり、福神漬けを食べ、蕎麦をすすり……、あっと言う間に完食。あんなに注文を迷ったのに、結果ペロリでした。

演劇を観に行く人。演劇を上演する人。共に「常に時間の余裕を持って移動している人」は案外少ないのでは? と僕は考えます。お仕事を終え劇場へ駆け込む、他の用事を済ませて劇場へ急ぐ、等々。時間のない日に限って空腹だったりするもので、そんな時に重宝するのが駅近の立ち食い蕎麦だと思います。ある意味ゴールキーパー的な存在感・安心感を放つ下北沢の箱根そば。復活おめでとうございます! また食べに行きます。


文:園田喬し(演劇ライター・編集者・『BITE』編集長)


名代 箱根そば 下北沢店
東京都世田谷区北沢2-24-2
シモキタエキウエ1F
TEL:03-6453-2333

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