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「抜き」に迫る工場見学!! 【「チラシ」から「紙」の世界へ潜ってみたら最高だった!④】
こんにちは!おちらしさんスタッフの臼田です。おちらしさんラジオのパーソナリティ、ななみんでもあります。
「紙」の世界へ潜ってみたらシリーズ、第4弾です!今回はなんと!!工場見学編です!!
紙への興味が目覚めてから9ヶ月が経ちました。そんな私がチラシと共に愛用している、「紙」文具があります。
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こちらの紙クリップです!チラシが大好きな私は、観劇後に、公演チラシとその半券を一緒に保管しています。ふつうのクリップよりも跡が残りにくい紙クリップは、チラシと半券を留めておくのに非常に便利です!サラサラしていて、手触りも心地よいです。
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製作されたのは、印刷加工連の皆さん。
今年3月開催の「紙博」にも出展されていました!
印刷加工連には、製本の会社さんや箔押しの会社さんなど、紙にまつわる素敵な6社がメンバーとして集まっています。
そのメンバーのなかにいらっしゃるこちらの会社。
★株式会社 東北紙業社
抜き加工を手がけられている会社さんです。
「抜き加工」と聞いて、皆さんは何を想像しますか? 私は珍しい形をしたパンフレットなどが思い浮かびます。名前の通り、「抜く」加工をしているのだろうなぁと、創作過程をふわりとイメージしました。
しかし…他に「何を抜いている?」「どう抜いている?」「こんな抜きはできる?」と、疑問符に溢れてしまい……「よし!工場見学に伺うぞっ!」と会社を飛び出して、行ってきましたー!!
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東北紙業社さんは、墨田区千歳に工場があります。両国駅西口を出て、8〜10分程歩いたところ。今回案内をしていただいたのは、東北紙業社の加藤清隆さん。作業場に入ると…カタン、コトン、とリズムの良い音が。作業の真っ最中でした!!
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■墨田には工場が沢山
まず初めに、東北紙業社さんの会社がある、墨田の工場事情について教えていただきます!
墨田には他にも工場が沢山あるのですよー!と、すみだファクトリーめぐり「スミファ」のマップを見せていただきました!
メリヤスに印刷屋さん、金属の加工に、革の工場など……。マップに載っているだけでも、60近くもの工場が!
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スカイツリーの川を境に、地図の形に大きな違いがあるのが分かりますか…?北部は道路が入り組んでいるのに対し、南部は碁盤の目のように縦横綺麗に整っていますよね!
こちら、東京大空襲の影響で南部は燃えてしまったことにより、道が整備されているからなのだそう。東北紙業社さんも、当時は菊川にありましたが、東京大空襲で燃えてしまい、両国に場所を移されたとのことです。
■「抜き加工」は、こう関わっている!
東北紙業社さんは、もともとはPOP(ポップ)に必要な抜き加工を手がけられていました。例えば、化粧品会社が宣伝のために作る、モデルさんの等身大パネルなどです。
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もし、等身大パネルをつくるとすると…このような流れで製作が進むそうです!
化粧品会社「新商品の宣伝をしたいので、広告代理店に宣伝を相談しよう!」
↓
広告代理店「宣伝プランを考えます!店頭に並べるときに目立つように、商品を持ったモデルさんの等身大パネルを一緒に展示しよう!」
★展示台(等身大パネル)をつくることになると……
↓
印刷屋「パネルデザインを印刷!」
↓
PP貼り屋「印刷した紙の上からビニールを貼る!」
↓
合紙屋「チップ紙を貼り合わせて厚く丈夫に!」
↓
抜き加工屋(東北紙業社さん)へ到着!
さらにその後、抜き加工屋(東北紙業社さん)は、型屋に、抜き型製作の依頼をします。
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抜いた後の紙が挟まらないよう、刃にはゴムが付いています。
抜き型を機械にセットした後、プレスをして抜き加工をし、品物を内職屋さんに。資材・組立説明書・金具等を梱包して、各お店へ届きます。
「四角いものでなければ大体抜きをやっている」のひと言に、ななみんはびっくり!!例えばティッシュケースやお菓子の箱も、抜き加工をしているものなのですっ!
■「抜き」の機械
さっそく、「抜き」で扱う機械について詳しく教えていただきます。抜き加工の際に使う言葉は少し暗号のようでした!例えばこんな言い方。
・”ビク型”で”ビク抜き機”を使って”ビク抜き”をする
・”ビク型”で”たおし”をつかって”ビク抜き”をする
・”腐食型”で”たおし”をつかって”トムソン抜き”をする
どの言葉も、
どんな型で、
どんな機械を使って
どんな抜き方をするか。
を、言い表しています。
この3つのなかに、沢山出てくる”ビク”。
ビクとは、戦前に抜きの機械をつくっていた会社、ビクトリア社の名前が由来なのだそう。ちなみに、関東にはビクトリア社、関西にはトムソン社があったため、関西では「トムソン」という名前が、ビクと同じ意味で使われています。加工機の機械の名前が加工の名前にしっかりと結びついていて、面白いですね!
型も、機械も、抜き方法も、様々な種類がありましたが、特に皆さんにお伝えしたいのが「抜きの機械」についてですっ!
先程からたくさん名前が登場している”ビク”抜き機の模型がこちら!
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ビク抜き機は活版印刷機から改良されている機械。型をセットして、紙を差し、レバーを下げ、抜きをしていきます。
1人での作業が可能で小回りが効く機械ではありますが、餅つきのような流れで作業をしていくため、手を挟んだりなどの危険があり、東北紙業社さんには置いていない機械とのこと。
一方、東北紙業社さんはビクに対して、たおし、という機械をお持ちでした。工場見学冒頭で作業をされていた、写真の機械です!
(※印刷加工連YouTubeより)
2人1組になって、機械の真ん中に型をセットして抜き加工をしていきます。支点が1箇所しかなく力の加わり方が不均等になってしまうビク抜き機に対し、たおしは、地中に埋め込まれた機械の動力で持ち上げることにより抜き作業をしているため、機械の下支えが強く、6〜7mmほどの厚いものも、容易に抜くことができるそうです!
(※印刷加工連YouTubeより)
抜きの機械は、上の動画のように早く安く大量にできる自動機が主流のようで、たおしをもっている会社は少ないのだそう。たおしは、時間がかかってしまう一方で、細やかな抜き加工が必要な製作に適しています。
自動機・たおしの機械の両方を持つ東北紙業社さんは、各製作において、”やりたいこと”や”条件”に対する一番最適な方法を相談することができますね!
■「抜き」を使った製作をしたいと思ったら…
東北紙業社さんには、様々なところから、抜き加工の相談が届きます。デザイナーさんに…美術を学ぶ学生さん…そして、近所の方も。
①いくらくらい
②何個くらい
③いつまでに
④どんなもの
この4つをお伝えして、相談できると良いそうです!例えば「抜き加工をしたチラシをつくりたい!」という相談もOK。沢山の枚数を印刷するなかで、どうしても100部だけ特徴あるものつくりたい!と思った時など。おちらしさん会員の皆さまで、チラシをつくることにも興味がある方は、ぜひ一度、相談してみてはいかがでしょう…?
■工場見学で惚れた一言。
実はここまでで、工場見学、3時間近く経っています。お話をお聞きするたびに、わぁぁぁ!っと驚くことばかりで沢山質問をさせていただきながらの見学時間でした。
抜き加工では、紙だけでなく、布や薄いベニヤも抜くことができるのだそう。
布はよれてしまわないのかな…と、ふと疑問になり、見学も終わりに近づいていた頃、加藤さんに質問をしました。
布はよれることもあります。布に限らず、製作において不確定要素はよく起きることで、つまづいたときに「どうしよう」を、みんなで考えて答えを出すことができる”チーム”をつくる必要がある。
その答えが手間なのか、他の加工なのか、時間なのか、金額なのか。つまづいたときにどうしようか、最終的に落としどころを決めなければいけないプレッシャーは常にあります。
さらに、「クライアントまでもがチームでやっていく」と加藤さんが仰っていて、受けた仕事をただこなす、のではなく、受けた仕事に真正面から優しい強さで向き合っていらっしゃるお仕事に非常に胸が熱くなりました。
加藤さんご自身も、他の会社の工場見学によく参加されているそうで、見学するたびに質問をし、「これできるんだ、あれやりたい、なんでできるんですか、こういうことできるんですか。」と、なんで?を積み重ね、覚えていかれるのだそう。
製作の相談を受けたときに、自分の工場の範囲に留まらず、その製作にとって何がベストかを柔軟に提案してくださる、魅力に溢れた会社さんです!!
工場見学、非常に楽しい3時間でした!!
私を含め、おちらしさんスタッフ3名で伺いましたが、私たちの質問に1つ1つ丁寧に答えてくださいます。もっとお伝えしたいことが沢山あります!
気になられた皆さまはぜひ、東北紙業社さんへ見学に行ってみてください!
株式会社 東北紙業社(千歳工場)
〒130-0025
東京都墨田区千歳3-18-11
TEL:03-3634-5531
http://tohoku-shigyosya.co.jp/
◆ これまでの「『チラシ』から『紙』の世界へ潜ってみたら最高だった!」シリーズはこちら!◆
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