「世界報道写真展2021」で受けた衝撃
こんにちは、スタッフの吉澤です。
先日、東京都写真美術館で開催されている「世界報道写真展2021」
に行ってきました。
まず最初に、少し言い訳をさせてください……!私は恥ずかしながら世の中のニュースにとんと疎く、テレビも新聞も見ないので、「報道」と聞いても全然ピンときません。この展示も、最初から興味があって行った訳ではなく、たまたま恵比寿に用事があって時間が余ったので、寄ってみただけなのです。
そんな私が、ボケーっと何も考えずに展示室に入り、十秒後にどうなっていたかと言うと。
泣いていました。
本っっっ当にびっくりしました……。
「世界報道写真展2020」の大賞作品だというそれは、青年が暗闇の中、周りにいる人々のかざす携帯電話の光に照らされ、胸に手を当てて何かを喋っている写真でした。
説明文のおかげで、ざっくりとどんな場面かを知ることができました。説明文を読み、もう一度写真を見ると、写っている人物の表情や姿勢から放たれる恐ろしいほどのリアリティに心臓がギュウウウとすごい勢いで締め付けられ、気付くと目から涙が……。
目元を水っぽくさせたまま、ゆっくりと展示室内をまわり始めます。出来事を象徴する場面を切り取ってきただけあって、写真一枚から雪崩れ込んでくる情報量がハンパない!「このまま全部見たら頭パンクする!」と途中で一回外に出て休憩を挟んだほどです。
どれも心に残っているのですが、ひとつ挙げるとするなら、モスクワの親子を写した写真でしょうか。自閉症の娘とその父親が、玩具の飛行機を飛ばして見上げているだけの写真なのですが、構図が素晴らしく、優しさと希望に溢れていて、じんわりとこみ上げてくるものがありました。
そしてやはり、感染症に関する写真が非常に多かったです。医療従事者や自粛を要請された人々の生活などを通して、現在進行形で未曽有の事態に陥っているということを改めて実感しました。2022年の報道写真展では、感染症関連の写真が無くなることを祈るばかりです……。
最後に、自分自身の話になりますが、私は「フィクション」が好きです。舞台を観るのも、作家、演出家、役者など様々な人が関わって創りあげた架空の世界を堪能できるからです。
報道写真も、撮っている人がいる限り、私が現地に行った場合に見えるものとはもしかすると違うのかもしれません。それでも、レンズを通して届いたリアルは、フィクションとは全く別のベクトルでストレートに胸に刺さりました。ああ、恵比寿でたまたま時間が余っていて良かった!!
「世界報道写真展2021」は、東京で8月9日まで開催した後、志賀、京都、大分で開催されるそうです。
元々興味がある人はもちろん、私のように報道に疎い人でも世界に目を向けるきっかけとなる展示だと思います。お勧めです!