【劇場めし 第15回】森下の“元祖カレーパン”
「劇場周辺の、おすすめのご飯屋さんをご紹介!」する、このコーナー。今回は森下駅周辺へ行ってきました。森下駅周辺には「森下スタジオ」という建物(稽古場)がふたつあります。ひとつはセゾン文化財団が運営する森下スタジオ。もうひとつは明治座が運営する明治座森下スタジオ。比較的近い立地にあり、名称も同じなので、訪れる際は注意が必要です。そして、森下で思い出されるのはベニサン・ピットという小劇場。2009年に閉館した劇場で、染色工場を改装して造られた空間には独特の雰囲気がありました。森下駅は地下鉄の都営新宿線、少し歩けばJR両国駅や都営大江戸線の清澄白河駅もあります。
森下駅周辺は、お酒好きが集う有名な居酒屋さんや立ち飲み屋さんがあり、それらにも惹かれたのですが、観劇前なのでグッと我慢。事前に色々調べてみて、今回はカレーパンを選びました。劇場めしの原稿でよく使うフレーズですが「さしいれに良し、小腹満たしに良し、お土産に良し」のカレーパン。実際カレーパンはそういうポジションだと思います。そのカレーパンの元祖を謳うお店、やきたてパンのカトレアへ!
閉店に近い時間帯に訪れたこともあり、店内の棚は売り切れが多く、このお店が人気店であることがうかがえます。それでもお目当てのカレーパンは残っているし、他のパンも美味しそう。トングをかまえながら目移りしまくりで、気が付くと数種類のパンを買っていました。これぞパン屋マジック。あとは極力つぶさないよう気を付けてパンを持ち帰るのみ。
観劇を終え、自宅へ戻り、早速カレーパンを取り出します。店頭では気づかなかったけれど、袋に説明が書いてありました。これはありがたい。ぜひ引用させて頂きます。
昭和2年は1927年ですから、90年以上の歴史を持つカレーパン! これはありがたくいただくことにします。先ほどの袋の裏面には「おいしい召し上がり方」の記載もあり、早速その通り温めてみました。
一口目の感想は「これは…、カレーだ!」でした。カレーペーストやカレー風味ではなく、がっつりカレーです。うわ〜、うまい! カレーを包んだパン、それがカレーパンというシンプルな真理。これは美味しい。衣は薄くカリッと、中のルーはたっぷりと、クリーミーな味わいと滑らな舌触り。カレーパンってドーナツ系というか、どっしり食べ応えのあるものもありますが、このカレーパンはさっくりまろやかでパクパク食べられます。油断すると一度に何個も食べてしまう食べ心地。これはリピートしたい。焼きたては絶対美味いだろうから、次は焼きたての時間帯を狙いたい!
ネット情報によると「冷凍保存後、温め直しても美味しさが落ちない」とのことで、せっかくなので試してみました。ぶっちゃけ今すぐ食べたいけど、我慢して冷凍庫にイン。数日後、冷凍庫から取り出し、レンジで解凍した後に温め直します。うん、美味しい。変わらずのサクサククリーミー。何故だろう? と考えたのですが、パン生地が薄めで中のルーが多めなんですよ。それもありクリーミーなのかな? と想像しました。結論。とにかくうまい。
冷凍保存できる点は近隣以外の人にとって大変ありがたく、次にお店を訪れたらつい多めに買ってしまいそう。これ、森下スタジオへ行く際はワンセットになる予感。地下鉄の地上口から程近く、利便性もばっちり。ぜひ立ち寄ってみて下さい。
文:園田喬し(演劇ライター・編集者・『BITE』編集長)
やきたてパン カトレア
東京都江東区森下1-6-10
TEL:03-3635-1464